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長野県大町市、Ferme36、ヤマノヴァンセ、モンロゼペティアン、2021

大町市は、松本から北西に伸びる平地を進んでいくとたどり着く、登山好きにはよく知られた市である。そのさらに北には、聖地巡礼でおなじみの木崎湖がある。アニメの名前は知らない。そして、さらに北に行くとスキー好きの聖地として白馬がある。

白馬まで来ると冬は雪深く、新潟県境の小谷村まで来てしまっては、もう視界は真っ白という感じになる。県境を越えると糸魚川市で、根知というこれまた辺鄙なところに出る。ここは新潟だ。

さて、大町に話を戻すが、大町市は気持ちがいい都市である。今の季節が一番好きな時期だが、そんな大町でもワイナリーが何件かできている。一つはノーザンアルプスヴィンヤード、一つはこのFerme36だ。

今年のリリースでは、ノーザンアルプスヴィンヤードさんの貴腐シャルドネを買い、Ferme36さんからは混醸赤、混醸白、そしてこのペティアンロゼを購入した。

松本在住時代からお世話になっている島内の緑屋櫻井酒店さんにご紹介いただき、ロゼが到着。かなり暴れん坊であるということを聞いていた。暴れん坊とは、常温かつ振動後だと噴き出すという意味だ。したがって、到着後、新聞にくるみつつ冷蔵庫に縦に静置して、1週間待った。

とうとう開ける機会があった。

おもむろに王冠をずらす。あっ、何かが漏れ出る音がする。シュー。

中で泡が沸き立っているときは放置し、水面が落ち着くのを待つ。待つこと5分、またはがす、出る5分待つのくり返し。

しびれを切らしてグッと王冠を傾けると、隙間から泡が出る。こうなると一度落ち着くしかないので、冷蔵庫に入れて、家族とデザートを食してまた戻った。

さらに、少し開け、放置してをくり返し、だいたい30分くらいやっただろうか、王冠の脇から吹き出る泡の音が少し変わった気がして、そこで一気にあけた。すると泡は口までは盛り上がるものの、吹き出ずに開栓に成功したことを知る。

セパージュはメルロとシャルドネなんだ…と思いつつ、口に含むと、アプリコットや綿あめ。グレープフルーツのような酸味に皮のほろ苦さ。

色は濁りある鴇色。かわいい色。

長野県だと、巨峰によるペティアンは多いが、メルロを使ったペティアンはあまり試したことがない。今回飲んでみて、とても美味しかった。よく杯が進む。何となく杯を重ねたくなる雰囲気の味わいなのだ。

個人的にナイアガラは、味わいの核が薄いような気がするし、巨峰はなんとなく香りに含まれる成分が気になってしまうのだが、メルロのこれは気にならず、さらに後味にあるタンニンがちょうどよく、日が経つとより、ミネラル感が感じられるようになる。

しかし、飲みやすさとは裏腹に、度数は高い。12。普通、日本のペティアンだと8~10というところだが、普通のワインくらいはある。

ちなみにオリを混ぜ込むと、ラムネのような味わいも感じられて、これはこれで美味しい。

いやあ、美味しいですね。

これはいい。


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