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「BSテレ東 『男はつらいよ』第二十七作『浪花の恋の寅次郎』」/最も美しい女優と言っていい松坂慶子、その泪の美しさ

瀬戸内海の島での出会い、大阪の再会そして

第二十七作「浪花の恋の寅次郎」は、大阪を舞台に最も美しい女優といっていい松坂慶子(当時29歳)をマドンナに迎えての作品となります。
瀬戸内海の島で育てのおばあさんの葬儀を終えたところを二人は出会う。そして”ふみ”(松坂慶子)に惹かれるように大阪に長逗留する寅。

そして、石切神社境内で「売」をする寅のそばに、”ふみ”が現れ再会を果たす。再会というものはここまで二人を近づけるものなのか、、、、

宝山寺へのデート、”ふみ”の弟探し

一層仲良くなった二人は宝山寺へデートにいくが、”ふみ”にわずかに残った一人の身内、弟がいることが寅に告げられる。可愛がっていたが幼いころ別れて久しい弟が大阪にいるという。
今すぐに弟に逢いに行こう、と寅、不安がる”ふみ”を元気づけて弟の働く工場へと向かう二人。
しかし、、、、、
弟はつい最近亡くなっていたということが告げられる、、、、

美しい松坂慶子の目に、哀しみのあまりの美しい泪。
(ラストに結婚して対馬で寿司屋の女将をやる”ふみ”のもとへ、寅が訪ねて再会したときの、松坂慶子の泪も秀逸です)

”ふみ”は芸者としての職場、料亭に出勤するが、哀しさに耐えきれず、寅がいる新世界の安宿に向かい、寅にすがるようにして哭く、、、、

でもやはり意気地のない寅は、一緒に寝てやることができない。

迷惑をかけたと感じた”ふみ”は書置きを残して早朝に宿を出る、
それを読んだ寅はいつものように、大阪を去る。

芦屋雁之助に恋の指南を受ける寅

このとき大阪を去る寅に、芦屋雁之助が地下鉄駅まで連れ添いながら恋の指南をする場面がある。
「なんでやねん、なんでそない逃げるようにして帰らないかんねん。
(中略)
そないかっこばかりつけてたらおなごはんはものならんで、
ちょっとぐらいかっこ悪うてもアホやなあと言われても、
とことん付きまとって地獄の底まで追っかけていくぐらいの根性が無かったらあきまへん、この道は」

ここは隠れた名場面です。

このあと、寅が、
「ありがとよ、いいこと教えてくれて」
と笑顔で返すセリフもさすが渥美さんです。
奥行きがあってとってもいい。

昭和62年4月の美智子さんとの梅田のデートのときに、骨の髄までわかっていたら、、、、

この作品は昭和56(1981)年夏の作品ですが、私は大学の二回生でした。美智子さんに巡り合う三年前の作品ですが、私にとっては大阪を舞台にした大事な作品であったはずです。
昭和62年4月の美智子さんとの梅田のデートのときに、
芦屋雁之助の言葉が、骨の髄までわかっていたら、、、、

美智子さんの水玉のワンピースの意味もいずれにしてもわかっていたのだと思います。

寅さん映画で出て来る、寅に向けられた言葉の中にこのように自分自身の非常に大事な縁(えにし)に関わるものが結構たくさんあります。
笑いながら観ていて腹に納めないこともありますが、中途半端に分かったつもりの場合もあります。
あのときの私は、中途半端に分かったつもりになっていたのだと思います。

(このジャケットの松坂慶子は美しすぎる)




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