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「谷崎潤一郎 細雪」意外に面白い現代性、精緻、緻密そして普遍性

最近、幾冊かの谷崎潤一郎小説を読んだ。
どれも西欧近代と日本が共存する普遍的なものを内蔵していて大変面白かった。

特に、直近で「細雪」を読んだが、意外に面白い現代性と精緻、緻密で普遍性あり、非常に面白かった。

若い頃谷崎は読む気が起こらなかったが、老年の域に達して読んでみると文章も良く、若い頃気になった上流階級の臭いが気にならなくなって、ぐっとこちらに近い息遣いが感じられる。

「細雪」は、次女幸子の目で見た四姉妹の話が展開されるが、実質三女の雪子と四女の妙子の縁談を中心に、近代を生きる女性の姿を克明にしかも優美に日常に即したものとして、今に十分通用する現代性をもって表現されていると感じる。
精緻で緻密、流麗、これまでと違う心地よさが漂う。
私などの文学方面の門外漢でも、年をとると、谷崎がわかってくるんだなあと思った。

ちなみに、私は、昭和58(1983)年市川崑監督作品の映画のキャスト、長女鶴子を岸恵子、次女幸子を佐久間良子、三女雪子を吉永小百合、四女妙子を古手川祐子を、しっかりイメージして読みました。

また、「瘋癲老人日記」も60となって性の衰えを自覚したいまとなってなんとも「よろしい加減」が感じられた。

書きたかったものを書いたんだなあ、という気がしてくる、いいモノでした。

書きたいという気持ちはこういう気持ちのものなんだなとほの分かったような気がする。
こういうふうに自分書きたいと思ったものに執着よろしく書くことができればいいのだろうと思った。
一つ、肝に銘じておきたいと思う。

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