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「小説 雨と水玉(仮題)(53)」/美智子さんの近代 ”転勤異動、、、”

(53)転勤異動、、、

新居の仮押さえをして近隣の様子を見ると三時近くになっていたので、ホテルに帰り荷物を受け取って美智子を東京駅に見送り四時過ぎの新幹線に乗せた。
美智子はその夜八時に帰宅すると父に、結納場所と時期の候補を決めたこと、新居を仮決めてきたこと、来週転勤希望の結果がわかることなども伝えた。
「決まったら忙しくなるから、啓一君も週末大阪に来るんやったら、ウチに泊まって土日を有効に使いなさい。それで二人ともあんまり疲れないように身体に気をつけてな」
「はい、そうします」
お母さんも、
「ほんまにそうよ、ウチに泊まってもらってね、お金も大事にしないといけないし」
「うん、ありがとう」

翌週が始まると火曜日には、配置転換希望の審査結果が発表になった。結果は課長を通して美智子に知らされたが無事東京渋谷店へ7月から異動ということに決まった。
その晩、啓一に電話し、結果を知らせた。
「もしもし、美智子です。7月から東京転勤が決まったよ」
「よかったあ、ホントによかったね」
「うん、いろいろとありがとう」
「いや、それはこっちの言うセリフだよ、ありがとう」
「いえ、ほんまにありがとうやの、わたし。ほんまに良かった。」
「結構二人で頑張ったね。これからもやけど」
「うん、式の話とか、はよ決めていかなあかんから大変。
早速今週末やけど、できればウチに泊まってもらっていろいろ進めていければ、と思うんやけど」
「うん、でもお父さんとかお母さんは大丈夫?あんまり頻繁でまずければホテルに泊まるけど」
「うん、お父さん、啓一さんとお酒飲みたいみたいやし、お母さんも若い男の人が珍しいんで歓迎やから是非お願いします。それにわたしもその方が安心やし」
「それやったら、そうさせてもらう。
それで式と結納とその準備とかも進めていかないといかんねえ」
「うん、そう、結構大変。寒いし、いろいろ忙しいし、仕事も大変やから身体に気を付けて良く寝るようにしてね」
「うん、ありがとう、美智子さんもね」

次の土曜日は早速正午過ぎに、相談カウンターに行き、仮決めしていたXホテルの式と結納の日程を押さえた。そのあとXホテルに向かい、準備の日程を相談し、準備を含めての日程表を決めてきた。
三月の結納は家族顔合わせで両家とも基本は家族だけで良いとのことで、間近だったが三月の春分の日、東京でということ、式の準備含めて纏めてやれることは五月連休に大阪ですることにしたが、三月末には新居への啓一の引っ越し、その他この他毎週大阪、東京ということで乗り切る臨戦態勢の形となっていた。
阪急に乗り美智子の家への帰路、
「忘れないうちに言っておかなきゃと思ってるんだけど、指輪はいつにしよ?」
「あっ、わたしすっかり忘れてたわ、どうしよ?」
「あとねえ、旅行の話もあるんだよ」
「わあ、もう混乱してきたあ、ちょっと休ませてえ!」

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