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「米雇用状況に変化の兆しか、との記事だが、、、もう少し様子見が必要かもしれない」

1.米国の雇用状況に少し変化の兆しが出て来ているようだ。

下記の記事をご覧ください。

まず、10/4アメリカ労働統計局の最新の求人労働移動調査で米国の8月の求人数が1100万件と7月から110万件減少したことを挙げている。コロナパンデミック初期の収縮以来のことで企業が不景気が始まったと感じて採用を絞っていると言っている。
この数字はFRBを利上げが効いてきたと喜ばせるだろう、とも識者に語らせている。
確かにグラフ上は求人数がピークアウトして減少に転じたように見える。

2.確かに雇用状況に変化の兆しが見えるとするも妥当と思われるが、その後の記事の記載は、少し複雑である。

1)8月の就業者総数が630万人で雇用率に変化なし、しかし、雇用全体は若干減少した、
2)8月の求人に対する求職者数は0.6と7月まで5か月連続で0.5より若干悪化だが、パンデミック以前の0.8よりは大きく下回っている(つまり良い)、
3)雇用ひっ迫と同時進行しているのが、米国人の大退職と言われる現象で、それは続いており8月も420万人が退職した、

以上の3つのことは、以前米国人が今の仕事を退職し、より良い仕事に転職する勢いを維持しているということだろうと思う。

3.そして、よくよく数字を見ると、

1.で110万人求人数が減ったと言うが、2.で見た退職者数も7月、8月と二月で100万人近く、ピークから減少している、という点も見逃せない。
この記事の最後に、意味深に、
「人を集めるのが大変であれば、人を逃したくないとなるのは当然だ」と識者の言で結んでいるが、
まさに、企業が内部の人の退職の確保に動いているということが既にかなり行われているのではないか。

それが、給与アップという形をとっているとすれば、今回の数字をインフレに終息の兆しというサインと見ることは完全に誤りと言うことになる。
雇用状況のひっ迫緩和のサインとの趣旨に見えるこの記事に素直に騙されてはならない。

ただ、退職者数の減少と、求人数の減少とが起きているということで後者の方が多いという状況は決してインフレが昂進しているということではない。

FRBとしては、今後もより注意深く、米国の雇用状況を見て11月初めのFOMCでの利上げを決めて来るであろうと思われるが、今のところやはり、0.75%が最も有力であろうと思われる。

しかし、雇用状況の緩和が見て取れれば、それは株式相場にとっても非常に良いサインということになる。
この種の情報にはより鋭敏になっておく必要がある。


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