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「BSテレ東 『男はつらいよ』第二十二作『噂の寅次郎』」/大原麗子の可愛さと、男は男の純情がわかってしまうということ

『噂の寅次郎』、大原麗子の飛び切りの可愛さ

この『噂の寅次郎』はやはり大原麗子の飛び切りの可愛さなのだろうと思います。

我々世代ではやはり思い出すのは、1980年代一世を風靡したサントリーレッドのCM「すこし愛して、長ーく愛して」ですね。当時すでに中年になっていた大原麗子でしたが、その可愛さは超強力で完全にやられてしまいます。もう胸の奥から離れない。
この作品でも、離婚届を出し哀しみに泪を漏らした早苗(大原麗子)が、その日とらやで寅やさくら、老いちゃんおばちゃん、ひろしと夕食を共にして、寅の冗談に笑い転げ、心慰められて帰り際一旦外に出たあとすぐに戻って来て、玄関に残っている寅に向かって、「寅さん、好きヨ」というセリフ、、、、、もう渥美さんでなくても、たまりませんなあーーーーー

男は男の純情がわかってしまう

寅の恋はいつになく順調に見えたが、早苗を想うもう一人の男がいた。従兄の添田(室田日出男)、これまで早苗を兄のように見守ってきたがそれはいつの間にか恋に変わって10年以上が過ぎていた、、、、
心に傷を負った早苗に、男はまごころを告げにとらやを訪れる、寅は男の純情に気付く、、、、
寅でなくとも、身に覚えがあれば、この場合この男の至情に感じ入るはずであり、早苗への恋をあきらめようとするだろう。それが男気をいうものなのかもしれない。しかし、切ない、これ以上の切なさは考えられない、、、

作品上ではここに至るまでの序盤で、ひろしの父親(志村喬)との邂逅中、最愛の妻を亡くし出家までした男の至情を教えられる、この話が寅の中では添田の純情と繋がっているのですね。
ここに日本人の心の美しさを観るのは私だけでしょうか?


美智子さんとの一回きりのデートの中でよぎった思い

実は私にもこの種の思いを持った瞬間があります。もちろんそれは私の消極性の、いけてない思いだったと言えるのですが。
あの梅田のデートの時、何もすることができない自分に幻滅していく中で、彼女の仕合せを祈る心だけは残り、自分にはできそうにないが彼女を仕合せにしてあげてほしい、との切なる思いは、無しにはできないものとして今も私の心の中に残っています。









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