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「一技術者が仕事の意義について考えてきた一側面 (1)プロローグ」/定年講演

 昨年(2021年)11月に技術者として34年間勤めてきた大手精密電機メーカーを部長として定年(60歳)となりました。

 その定年の時のイベントとして、通常はそれまでやってきた仕事の歴史を振り返るというのが通常ですが、私は昔の話をしても面白くないだろうとも思い、むしろ私がどういうことを考えてきたかをお話しした方が自分らしくもあり良かろうとそういったお話をさせていただきました。100人を超える方々に聞いていただきましたが、半年以上過ぎた現在もその話の感想をいただけたりしており、私自身としてとても有難いことと思っております。

 今回、会社の機密情報にきちっと配慮した上で、その話をこのブログで公開して若い方々の多少の役にでも立ちたいと思い、ここに改めて述べてみることにいたしました。

 私自身は、昭和61年3月に有機化学専攻の大学院博士前期課程(いわゆる修士)を卒業し、いったん化学メーカーに就職しましたが、実際に機能材料製品を市場に出すセットメーカーで機能材料開発をやりたいと思い、昭和63年7月に、現在勤めています大手精密電機メーカーに転職し、昨年11月まで34年間一貫して精密電機機械装置に搭載する新規な機能材料の技術開発に従事してきました。

 プロファイルに記載のように、2勝5敗ですが、新規技術を開発し基幹事業の主力製品への搭載に漕ぎ着け部長として60歳定年となりました。

 もちろん技術に入れ込んで仕事をしてきたわけですから、その方面のことに注力して日々過ごしてきたわけですが、若い頃から、歴史、人間、社会科学あるいは多少の文学を好んでおりましたし、また一人の人間が近代社会そのものである企業人人生を過ごしていくうえでは、そういったリベラルアーツ(いわゆる教養)は不可欠のものとならざるを得ません。この話の内容はそういう領域での内面の葛藤や思考を辿ったものになります。

 さて皆さんにとって役に立つものか不安もありますが、一人の技術者の正直な心の内をご紹介させていただければと思います。

 (2)から本論となります。

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