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「製造業&ICT国内投資と賃上げ による日本経済の再生について」論考1

これまで、製造業とICT(情報通信技術)とはじめとしたサービス業の国内投資による生産性向上と新ビジネス勃興、これと不可分の賃上げによって、日本経済の再生を目指すべきとの論考を再三述べてきました。

先日9/2には、国際金融環境から為替動向を論じ、その上からも国内投資と賃上げから日本経済の再生へと進むべきを述べました。

本日9/3付け産経新聞の二つの記事から、この考え方について少し述べてみたいと思います。

1)経済成長不足の真の原因

一つ目の記事は、三面「国難日本 安倍氏「遺産」と命題」と題する記事です。
農業を含む規制緩和と金融政策により、見事なほど株価と雇用を大きく改善したことがアベノミクスの成果として述べられています。実際、若い人の雇用環境と高齢者の年金に対する効果はこれは驚くべきといってよいほどのものがあります。
その成果は政治の結果として認められるべきと思います。
しかし一方で成し遂げられなかったこととして、経済成長があります。長期の景気回復期を実現したもののその成長率は低く、消費も伸びませんでした。
この成長率不足には種々の原因がありますが、この記事に当時の経済再生担当相甘利明氏の言で引用していますが、産業界が「コストカットでしのぐ守りの経営からの脱却ができなかった」ということに尽きると思います。
アベノミクスで得た利益を、企業は賃上げをせずほとんど内部留保と株主還元に使用してしまったのです。

いまさらそれを元に戻そうということが言いたいわけではありません。そうではなく、原因がそこであると明確であるなら、今からでも遅くはないのです。
つまり、今後、利益を内部留保するのではなく、国内投資と賃上げに回せば、消費の回復と設備投資の回転により成長ドライブがかかり、日本経済の本質的成長が取り戻せるわけです。

では、国内投資と賃上げをできるのか、ということですが、これができる絶好のチャンスが訪れているのではないか、ということです。

2)経済成長へどうするか

これには、産経新聞9/3付け8面の「田村秀男の経済正解 凶弾はアベノミクスを殺すのか」を紹介しながら、述べてみたいと思います。

この記事では、この数年、特にコロナ禍の中での日米の財政政策に対する経済比較をしています。

米国は2017年トランプ大統領就任と共に、基礎的財政収支赤字のGDP比で日本より大きな財政拡大政策を進め、しかも2020年は赤字GDP比で10%以上もの大きな支出を行い、21年もそれに準ずる支出を行ったことが明らかにされています。

そして22年は景気浮揚効果が表れた米国と比較し、日本は財政支出が過少だったため、22年は財政支出が返って大きくなるという合成の誤謬的な現象を引き起こすに至っています。

これは純粋に数字上に表れるところによって経済成長の低さを説明していますが、実際には経済はマインドであり、どういう具体的な戦略をとるかといったことが裏付けとして必要です。

論考2に続く


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