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世界情勢、歴史、政治、経済、金融

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ときどきの世界の、政治、経済、金融などの情勢についての良し無しごとを語らせていただければと思います。日本の国益を主軸に置いたエッセイになればと思っています。
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2023年2月の記事一覧

『安倍晋三回顧録』読後感 その3/靖国神社総理参拝 恒例にすべきだった

これまで、『安倍晋三回顧録』に関して賛とも言うべき読後感を述べてきましたが、今回は功罪の罪の方を述べてみたいと思います。 それは、靖国神社総理参拝です。 安倍政権は、するすると言われていた第一次政権のときは、短命政権だったためもあり靖国参拝はしませんでした。 そして、直前の民主党からの政権交代を期した衆議院総選挙で靖国参拝を公約にした第二次政権のとき政権奪還から一年経った平成25年の年末に漸く参拝を果たしました。 しかし、その後約7年政権に有った安倍晋三は一度として靖国参

「金融経済記事には要注意、相反することがありながら平気で一方的な記事を書き国益を損するのがメディアがよくやること」

金融経済記事には要注意です。相反する事実がありながら、実はそれを知りながら、平気で一方に偏した考え方でロジックを組み立てて国益を損する記事を書いたりします。 これがマスメディアがよくやることです。 上の方の記事が日経、下の方の記事が講談社マネー現代の記事です。 いろいろと難しいことを書いているようですが、 日経の方は、近々の米欧のインフレ昂進に伴う高い利上げ圧力があるのに対して、現行日銀政策の継続では過度の円安圧力にさらされ舵取りが非常に難しい、とのことを言っています。 現

「少子化対策は、非婚化対策でもある、萩生田政調会長の趣旨は良し、やれるものはなんでもすべてやるくらいでないともう間に合わないし異次元少子化対策とも言えない」

少子化は端的に言うと今後近い将来日本が無くなってしまうというくらいの危機だと考えなければならないと思います。 もちろん、人口が半減したぐらいでは日本は無くならないという人もいるでしょうが、実際に半減したら、最も重要な点だけ言っても他国からみた安全保障上の侵略しやすさはとてつもなく大きく、間接侵略と言われるこれまでにも述べてきたOtherThanWarなる新たな戦術に日本が絡め捕られる可能性が非常に大きいと言えます。 そういう意味で、異次元少子化対策をやらなければならないとき

「日本はまだデマンドプッシュが弱い、ただのコストプッシュインフレ、日銀大規模緩和継続が妥当、そして財政の力でデマンドプッシュへ」

2/24に1月の日本の消費者物価指数CPIが発表された。4.2%で41年4か月ぶりのことだという。 たしかに、わたしがスーパーで買い物をしていても普段使いの食品が次から次へと大きく値上げされていて、みるみる上がっていくような状況だと感じる。 ただ、明らかにこれは原油や食料の値が上がっていることによるコストプッシュインフレで、デフレマインドが抜けてない日本はまだまだ本格インフレとは言い難いのだろうと思う。 事実、上記記事のコメント欄に、第一生命経済研究所首席エコノミストの永

「米物価&個人支出統計上振れ 3月FOMCは0.50%大有り ターミナルレイト市場予測5.25-5.5%も上振れするか」

インフレパラダイムの昂進 着々とインフレパラダイムが昂進している。 昨日の米国で発表された物価指数(CPI)と個人支出統計は予想を上回り、さらに前月値をも上回り、インフレがぶり返した様相を呈している。 円安の昂進 また、昨日の新日銀総裁候補の植田氏の、大規模緩和継続の考え方が国会質疑で確認されたことと、米統計の結果による更なる利上げ予測とによって、円安が一層昂進している。 円安が続き、定着する可能性 従来から本コラムで述べてきたように、やはり完全にインフレパラダイム

「ターミナルレイト 5.5%くらいに」/FOMCはあと三回0.25%利上げと金融スジは織り込んできている

米国のインフレがなかなか収まらない。このことは最近の本コラムでも繰り返し記事にしてきています。 市場があと三回0.25%の利上げを織り込んできている 日経などのメディアなども、国際金融スジの情報を繰り返し伝えてきています。例えば、今日などは下記記事で、市場はあと三回の0.25%の利上げを織り込んできている、との意を強調しています。 ターミナルレイトは5.5%を織り込んできているということでもあります。 ついに、FRBと国際金融スジの認識ギャップが逆転したということは既述

「三月のFOMCは0.50%も有り得る、本格インフレの時代が到来か」/日銀実質利上げしやすい環境へ

インフレが止まらないようです。 二月のFOMCの議事録が公開されました。数人のFRB委員が0.50%の利上げを主張したとされます。今年に入り、想定を超えたインフレ指標の発表があり、コアの因子である雇用情勢も非常に圧力が高い状況で、利上げしても景気後退さえ遠ざかる状況が続いています。 三月のFOMCは0.50%の利上げか? このままいけば、急激に景気後退が起きるリスクが高まっているので、三月のFOMCは0.50%の利上げでどうしてもそのリスク回避をしてくる可能性が高いと思

「どうした思惑か、GAMA等への労組尊重という株主の圧力」/好ましい動きだと思う

どうした思惑か、 GAMA等への労組尊重株主の圧力が加わっているらしい。 米社会主義者の民主党サンダース当たりが元気づいているらしいが、あす国際金融スジなどが関わっているのだろうと思われます。 記事によると、 スターバックスが労組結成に圧力をかけている疑いについて米国議会の公聴会への出席を拒否しているというサンダースの発言を掲載しています。 アマゾンは、創業者のジェフ・ベゾスが多くの株式を保有するがその他の株主である39%もの人たちが、労組結成の自由に関する情報公開株

「菅義偉前首相 ロング対談」/菅さんの透徹した寸言が光ってます。

菅義偉前首相がいろんなところで引っ張りだこですね。 田原総一郎氏のロング対談がダイヤモンドの記事になっていて、非常に楽しく読ませてもらいました。 全般にもちろん興味深い話でしたが、特にここで取り上げたいのは、菅さんが最後に放っていた寸言で、透徹した哲学が顕れた非常に良い言葉だと思いました。 それは、 「若い人が未来に希望を持って生きてほしい。何がやりたいのか、徹底して考えてみる、そのような時期が有ってもいいと思います」 と言っています。 厳しいことを言っていると同時に非

「異次元少子化対策 京都大学柴田悠准教授の提案」/なかなか良く調査検討している、政府は早急に検討着手せよ!!

2/16の衆議院予算委員会公聴会に 京都大学柴田悠准教授が、異次元少子化対策ということに対して、調査検討した方法論について出生率向上に対する期待値をエビデンスベースで意見陳述しました。 これは以下をクリックしていただければ直接動画で聞くことができますので是非ご覧ください。 ネット記事 また、このことを記事にしたものが下記に掲載されています。 この柴田氏の立論は、なかなかよく調査検討されていて、出生率向上に対する期待値と国としての目標値をすり合わせる形で仔細にわたってい

『安倍晋三回顧録』読後感 その2/弔辞 菅さんの弔辞は涙なしに読めませんでした

『安倍晋三回顧録』は、読売新聞の橋本五郎氏と尾山宏氏の安倍さんへのインタビューが第一次政権のときのことから経時的に順を追って記されています。内容については、内閣安全保障局長だった北村滋氏が監修してチェックしています。 一通りインタビューの記載が終わると、年表形式でこれも第一次政権と第二次政権の事柄が、続いて内閣の支持率、不支持率の経緯も記載されています。 そして、最後に、岸田首相、菅義偉前首相、麻生元首相、野田元首相の弔辞がこの順に掲載されています。 インタビュー形式で

「雇用情勢は変わった、インフレは持続する」/ポストコロナで働き手が戻らない

今日2/20の日経に漸く世界の雇用情勢をまとめた記事が出たようです。 米国、欧州共にポストコロナで働き手が容易に労働市場に戻ってこない情勢が統計を示しながら明らかにしています。 日本も相対的には離脱が少ない中で戻りが鈍いとの数値も出ているようです。 この事態については、半年以上前から本コラムでも示してきましたが、漸く日経も記事にしてきたのか、と思います。 (本コラムについては、最近では下記記事などを参照) 確かに実態を表しているような気がします。 雇用者側もなかなか満足

『安倍晋三回顧録』読後感 その1/失敗経験ゆえの長期政権

『安倍晋三回顧録』を読了しました。 失敗あっての長期政権 様々種々の重要なことが書かれていました。 その中で指南書という観点でもっとも重要なことは、「失敗あってこそ第二次政権」があったということです。 第二次安倍政権が、日本にとって死活的に重要な政策を実施し、日本の安全と日本人の雇用に引き返すことのできない立場を与えたことを考えれば、第一次政権のあのみじめな失敗はある種福音のような響きのある出来事だったとも言えます。 第二次政権の成果とその意味については、別途記事にするつ

『岸信介回顧録』/安倍晋三のおじいさんのものも面白いです、是非ご一読ください。

『安倍晋三回顧録』について、多くを記事にしてきています。あと少しで読了なのでまだ記事を出すつもりです。 ですが、ここで一つご紹介をしておきたいと思います。 岸信介回顧録 安倍晋三の祖父が岸信介だということは多くの人が御存じだと思います。 岸さんは、あの大騒動となった60(昭和35)年日米安保改定時の首相です。 21世紀になり、昭和三十五年の日米安保条約改定がその後の道行きの中でいかに日本の国益となったか、について歴史的意味での評価が改めてされてきました。 それは、戦後日