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世界情勢、歴史、政治、経済、金融

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ときどきの世界の、政治、経済、金融などの情勢についての良し無しごとを語らせていただければと思います。日本の国益を主軸に置いたエッセイになればと思っています。
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2022年6月の記事一覧

「『私』という男の生涯」(石原慎太郎)

 危機深まる日本のいまを思い、石原慎太郎が亡くなった後を誰か埋めることができるのだろうか、との憂慮が湧いてならない。危機において、国内はもとより海外へ向けての発信能力を十全に持った政治家の貧弱を思い、まさに憂慮に堪えない。  しかし、死後の公開を企図した自叙伝が出版され、ベストセラーになるというのもまた、石原慎太郎をして欣快だろうと思う。読了して、まあ、その値打ちのある一冊かとは思った。  しかし、この男は本当にやりたいことをやりつくした稀有な才能を持つ仕合せな男だったん

「第三次大戦はもう始まっている」(文春新書) 購読のおすすめ

 ウクライナ戦争及びその後の世界を透徹した視線で射抜こうとしています。練達の知恵者、エマニュエルトッドの重篤な危機感がひしひしと伝わってきます。書名がそれを最もよく表現していると言えます。   近々の情勢の推移、歴史、人口動態それに著者畢生の研究である家族構造からウクライナ戦争の意味を解き明かしていきます。著者は70年代に旧ソ連の崩壊を予測し世界を瞠目させたように、これからの世界像を提示して日米欧に警告を鳴らそうとしています。  いわく、この戦争はウクライナ対ロシアの戦争

「海外投資家と個人投資家は日本株買いに」

 本ブログでも日本株、特にバリュー株への投資をお薦めしたきたが、本日付け日経「株、個人の買越額が4年4カ月ぶり高水準 逆張り鮮明・6月第3週」の記事にあるように、先週の大幅相場下落の中、個人投資家が買い越ししているとの記事が掲載された。認識を同じゅうする個人投資家の方々がかなりいらっしゃるということに勇気づけられた。  https://www.nikkei.com/article/DGXZMSFL23HJHTT20C22A6000000/  また、6/21の日経「日本株、

「金融情勢について 追伸/石炭埋蔵量も米国ダントツ」

 昨日は、ウクライナ戦争、インフレによる原油高騰で米国、ロシアがウハウハであると述べましたが、ここのところ石炭も需要が急伸して石炭産出のための投資も活発化してきているとのことです(下記記事参照)。  石炭の場合もやはり米国が埋蔵量はダントツで世界一位です。そして次にオーストラリア、三位はロシア、、、、、(下記記事参照)。  やっぱり、という感じですね。誰かが仕組んだようにウクライナ戦争が起こり、米国、ロシアにとってすごくおいしい情勢になってきております。  

「金融情勢について」

 株式市場は日米欧とも先週末(6/17)に比べ今週に入り多少の落ち着きを取り戻したように見える。  米欧のインフレと株式のジレンマの苦しい中で金融政策を進めるFRBや欧州当局にしてみれば、日銀が変わることなく大幅な金融緩和を継続してくれているのはこれほどありがたいことはないのではないか。世界中のマネーが自由に行き来する現在、そのマネーの供給が細っている中、日銀マネーにより米欧の株式市場が支えられていると言って過言でないと言える。これが継続的な円安の構造にもなっている。  

「ここのところの相場の弱気のセンチメントに対して」

  本日6/20のyahooニュースで、馬渕治好(ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト)による「それでも「アメリカ株は年内上昇に向けて動く」と予想するワケと」なる記事が掲載されたが、見たところなんというか、言い訳がましいというか、以前に自分の予想したと異なる展開にうろたえと悔しさがにじみ出ていると見てとれる。  なんとこの記事、会社四季報に掲載されてるとのこと。  アナリストや機関投資家、ファンドマネージャの方々は相当、うろたえているのだろうと思う。

「FRBパウエル議長の会見と今後」

  昨日(6/15)米国FRBパウエル議長の会見(詳しくは、日経本日6/16付「FRB議長「予期せぬインフレ」機敏に対応 会見要旨」を参照)があったので今後についてコメントしておきたい。  どうも、近々のインフレ昂進により、金利引き上げが左右され、それが事前に漏れたのか、先週末にかけてのニューヨークダウの大幅下落があったようだ。確かに6/10の米消費者物価指数(CPI)は予想を上回る40年ぶりの水準だったことが影響としてはあったのだろう。このため、従来0.5%と言っていた利

「この夏の参院選は日本にとって、そして世界にとっても非常に重要な選挙です」

 今年7月の参院選は、日本にとって、そして世界にとっても非常に重要な選挙だということは既に述べてきた。  それは、今21世紀の世界がどうなるかというターニングポイントにあるからかと思う。一つは最も大きな世界史のうねりであるロシア、ウクライナ戦争における有象無象の動きが最悪の場合第三次大戦へと繋がるリスクを孕んでいること、そして世界経済がインフレトレンドへパラダイム転換したこと、さらにはその重要な岐路となるであろう米国中間選挙が11月にあるということである。  第一次大戦や

「リーマンからの成功投資家たちはうろたえているが、心配はいらない」

 リーマンからの投資参入した成功投資家たちはうろたえている。  昨年の今頃、日経やら彼処やらに笑顔を振りまきながら、投資のすすめを語っていた彼らの声がほとんど聞こえなくなっている。聞こえないだけでなく、うろたえているんだろうと思う。     それにしても、昨日(6/14)の日経の記事には呆れた。ここ数日、ニューヨークの下落と日経の下落は最近では特に大きく、ショックを受けているのはわかるが、6/14付の日経「米国株、ダウ続落し876ドル安 主要3指数が年初来安値 S&P500種

「ダウ、ナスダック大幅下落と今後の世界情勢、そして参院選」

  6/10(金)のニューヨーク株が大幅下落した。ダウが880ドル00セント(2.7%)安、ナスダックが414.202ポイント(3.5%)安となり、先行きはかなりネガティブな雰囲気に捉われている。  直接の原因はもちろんインフレ懸念であり、CPIは前年同月比8.6%上昇と4月(8.3%)から伸びが加速し予想を上回ったことによるとされる。週明けの日本市場もおそらく大きな影響を受け、悲観マインドが覆う形で6/10(金)に引き続き下落するものと思われる。  これまでも述べてきた

「トヨタ自動車の株主総会招集通知を読んで」

 昨日5/31(火)トヨタ自動車の株主総会招集通知が届いて、先ほど通読した感想を記しておきたい。  3つの点で今後引き続き期待したいとの念が湧いた。一つは自己認識の深さである。歴史視点に立つとき、社稷性のある組織の継続発展性に不可欠なものは、何があっても失わずに保持していく自己の認識に他ならないと思う。その点で冒頭に二頁にわたり、そのいの一番に根幹となる自己認識が今の言葉、新しい時代に向けた言葉として書かれ、最も株主に伝えたいものとして提示されていた。これは経営の見識の高さを

「一層進む円安について」

 5/29付で本欄で円安について記してきたことを纏めてみたが、さらに別の角度から、昨日、今日と続く円安について述べてみたい。  これまで円安について、それが日本にとってメリットの大きいこと、チャンスであること、そしてこれからの期待も込めて日本が復活するだろうことを述べてきたと思う。  また、これからも円安が継続するだろうというのは、世界の金融情勢から推してそう読むべきということも述べてきたが、今日の1$=134円を超えるところまで再度進んだ円安への動きを見て、今後一層の円