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書評

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読書の喜びは、他のなにものにも代えがたい魅力が有ります。そういった喜びを皆さんと共有すべく、知的刺激を受けた書、好奇心満載の書、ためになる書その他この他、わたしの狭い読書領域の中…
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2023年7月の記事一覧

「おそめ ー伝説の銀座マダムー」(新潮文庫)石井妙子著/京都女の銀座マダム畢生の一代を綿密に優しく記して人生の重さと軽やかさが心地良い

石井妙子氏は、あの「女帝 小池百合子」を書いた人で、その出版に関するニュースで名前を知りました。歴史の中に見つけられる女性たちを記した本などの記事がネットで出ていてそれを面白いなと思い、はじめてこの人の本を読もうと思いました。 アマゾンで検索したりすると、先述した「近代おんな列伝」よりも処女作に近いこの「おそめ」の方が面白そうだと思い、読むことにしました。 おそめ 「おそめ」にして良かったと思います。もちろん「近代おんな列伝」もいずれ読もうと思っていますが、この「おそめ

「ローマ人の物語Ⅹ すべての道はローマに通ず」/豊富な写真がイメージを形作る珠玉の一冊

本編は、これまでローマ帝国の歴史を編年体で記述してきたⅨ巻までとことなり、ローマ人がローマ帝国(正確には帝国以前の、建国以来)の歴史をインフラ構築について、特別に視点を集約して編纂してモノです。 ローマ帝国のインフラストラクチャー 1)ハード ローマ街道と上下水道について綿密に紹介してくれています。 「すべての道はローマに通ず」という言葉と、最も端的に現わし、代表中の代表と言えるものが、ローマ街道です。 帝政以前の最初のローマ街道である「アッピア街道」は紀元前4世紀末ア

「なぜモテるのか、さっぱりわからない男がやたらモテるワケ」(WAC 竹内久美子著)/面白くてためになる書

竹内久美子さんの舌鋒がまたもや心地よくさく裂しています。 「なぜモテるのか、さっぱりわからない男がやたらモテるワケ」(WAC 竹内久美子著)、今回の新刊もメチャ面白かったです。 不倫、不倫、なんで悪い? 世間は直接自身に被害が一切ないのに芸能界の美男美女の不倫を報道するワイドショーを見て、やたらと腹を立ててさも大将首でも取ったように騒ぎますが、本当にそんなに騒ぐほど不倫はそんなに罪なことなの? と私などは常々思っていましたが、 竹内久美子さんの、「人間といえども動物行動学的

「先の大戦終戦時の厳しい情勢、本土焦土化松代遷都親ソ派工作と保守派の行動」/『大東亜戦争と本土決戦の真実』(並木書房 家村和幸著)

今年も慰霊の夏がやってきます。 西村真悟さんに勧められ、家村和幸さんの『大東亜戦争と本土決戦の真実』を読みました。 大東亜戦を終戦にこじつけたことが実に困難なことであったか、これはさまざまな歴史家の研究の成果があることであり、将来に亘って日本人が拳拳服膺しつづけるべき文字通りの国史であろうと思います。 この『大東亜戦争と本土決戦の真実』もその中の重要な一つの著作だと思います。 ただ内容については、私などの理解や文章力より、西村真悟さんのFacebookを読んでいただいた方