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書評

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読書の喜びは、他のなにものにも代えがたい魅力が有ります。そういった喜びを皆さんと共有すべく、知的刺激を受けた書、好奇心満載の書、ためになる書その他この他、わたしの狭い読書領域の中…
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2022年10月の記事一覧

「66歳、動物行動学研究家。ようやく『自分』という動物のことがわかってきた」竹内久美子(ワニブックス)ご購読のおすすめ

先だって、竹内久美子さんと白川司さんの対談youtubeについておすすめしました。 そこで紹介されていた、竹内久美子さんの新刊図書「66歳、動物行動学研究家。ようやく『自分』という動物のことがわかってきた」(ワニブックス)を読みました。 竹内さんの青春以来の、精神遍歴を吐露したような著作ですが、とても素直で心にしっくりとくる読み物でした。 そしていつものようにとても読みやすい!! これも、先般ご紹介した渡部昇一さんの「人間らしさの構造」に重要ポイントとして指摘している、

「『人間らしさ』の構造 渡部昇一」を読み直して

渡部昇一さんには、本当にいろいろなことを教えてもらった。 渡部さんにハマっていったのはちょうど結婚して子供を授かったころからだと思う。 前後十年以上は、全てのリアルタイム著作と過去の著作を読み通していた。谷沢永一さんとも仲が良く、共著が多かったので、谷沢さんのものも合わせて月に10冊以上お二人の本を読んでいたと思う。書棚の一つはお二人の本で一杯で溢れていて、床がしなっている感じだ。 今回読み直した「『人間らしさ』の構造」は、要は、内発的動機で人生を生きよ、というもので、

「谷崎潤一郎 細雪」意外に面白い現代性、精緻、緻密そして普遍性

最近、幾冊かの谷崎潤一郎小説を読んだ。 どれも西欧近代と日本が共存する普遍的なものを内蔵していて大変面白かった。 特に、直近で「細雪」を読んだが、意外に面白い現代性と精緻、緻密で普遍性あり、非常に面白かった。 若い頃谷崎は読む気が起こらなかったが、老年の域に達して読んでみると文章も良く、若い頃気になった上流階級の臭いが気にならなくなって、ぐっとこちらに近い息遣いが感じられる。 「細雪」は、次女幸子の目で見た四姉妹の話が展開されるが、実質三女の雪子と四女の妙子の縁談を中心