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みぞおちのやや右側が痛い~胆石~

右の肋骨の下あたり(医学的には「右季肋部」)に痛みがある場合、胆嚢や胆管に異常がある場合が多い。多くは胆石が原因だが、この胆石についてよく受ける質問を書いてみよう。

1. 胆石って何?

胆石とは、胆汁中の成分が結晶化したものである。
肝臓で作られた胆汁は胆嚢に貯められ、食事を摂ると胆管を通って腸に放出される。胆汁は食事中の脂肪を分解するのに重要な役割を担っているが、この胆汁の成分であるコレステロールやビリルビンが結晶化することでできるのが胆石だ。

2. なんでできるの?食事とは関係がある?

2-1. コレステロール結石

頻度としては、これが最も多い。胆汁中のコレステロールが結晶化した「コレステロール結石」の場合、多くは生活習慣に関係する。できやすい人としては、肥満、糖尿病がある人、中性脂肪が高い人である。食事に関して言うと、高カロリーであったり、摂取する脂質の量が多い人にできやすい。また食物繊維を摂る量が少ないことも関係すると言われている。
※食物繊維の摂取が少ない→大腸蠕動運動の低下→催石性の二次胆汁酸(デ オキシコール酸、リトコール酸)の産生が増加→胆石形成。

2-2. ビリルビンカルシウム結石

これは大腸菌などの細菌が、胆汁に感染することで形成される。

2-3. 黒色石

こちらもビリルビンを主成分とするが、感染とは関係なく、ビリルビンが増える病気(溶血性貧血、肝硬変症など)に合併すると考えられている。

3. 尿管結石との関係は?

「結石」と聞くと、尿路結石(おしっこの通り道にできる結石)のことだと思う人もいるが、別物である。尿路結石は衝撃波で石を壊す治療も行われるが、胆石では行わない。石を壊すことは可能かもしれないが、逆に小さくなると胆嚢の出口やその後の胆管を詰まらせてしまう可能性がある。

4. できた場合の治療は?胆のうって取っても大丈夫なの?

石が胆嚢の中にだけある場合と、胆管という管に落ちてしまった場合とでは治療の順番が異なる。薬で石が溶けたら・・・と思うが、実際に治療として胆石を溶かすことはしておらず、実際薬で溶けたという話は多くない。

まず、どちらの場合にしろ、胆嚢にある石だけを取り除くことができないので、手術で胆嚢自体を取ってしまうことになる。もし、石が胆管に落ちてしまった場合は、まず内視鏡(特殊な胃カメラ)を用いて石を取りにいくことになる。胆管に石がなくなったらら、その後に胆嚢の手術である。

となると出てくる疑問が「胆のうって取っても大丈夫なの?」である。胆のうがなくなると、脂肪の吸収などに影響が出るような気もするが、今のところ、胆嚢を取ることで消化吸収が明らかに低下する、といった報告はない。もちろん、手術なので手術自体の合併症として、出血や他の臓器を損傷することは可能性として挙げられ、また術後の傷の痛みはある。

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