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バリウム検査(胃透視)と胃カメラについて

1. どちらがオススメか

検診としてはどちらがよいか。どちらにもメリット・デメリットがあるが、もし可能なら胃カメラを受けることをオススメしたい。地域によっては、バリウム検査しかやっていないこともあるので確認が必要である。また、胃カメラは辛いからと検診を受けないよりはバリウム検査でも毎年受ける方がよっぽど良い。

2. バリウム検査のメリット・デメリット

バリウム検査のメリットは、カメラを通すわけではないので嘔吐反射(オエっとなる反射)が少ないこと、手軽にできること(バスによる巡回検診も可能)、費用が安いこと、検査時間が短いことが挙げられる。デメリットは、早期癌の発見率が胃カメラに劣ること、何かしらの病気が見つかったときに、組織をとって顕微鏡でみる検査(生検)ができないため、カメラでの再検査が必要になることである。また放射線を使用した検査のため、少量ではあるものの放射線被爆があり、下剤を飲んでバリウムを出さないと腹痛などの合併症が起きることも挙げられる。検査後に腹痛があれば病院を受診して、レントゲンを撮ってもらうのがよい。腸にどのくらいバリウムが残っているか分かる。

日本対がん協会が2010年に行った胃がん検診のデータによると、受診者243万1,647人のうち精密検査が必要と判定された方は20万7,877人(8.5%)で、このうち実際に精密検査(胃カメラ)を受けた方は15万4,167人(77.4%)だそう。胃の検査をもう一度受ける、という二度手間のためか、4人に1人くらいが精密検査を受けていないことになる。

3. 胃カメラのメリット・デメリット

バリウム検査には欠点が多く、初めから胃カメラを受けたらいいんじゃない?と思うかもしれない。私もそう思う。ただし、胃カメラには最大の欠点がある。それはやはり、ツライことである。苦痛が多いと思われるのが、喉を通る時の嘔吐反射と、お腹の張りである。胃内をよく観察するため、胃カメラから空気を送り、胃を膨らます必要があるのだ。ただ、検査にかかる時間は5~10分程度であり、鎮静をかけることもできる。癌が早期で発見されれば、胃カメラで取り除ける場合もある。受けたことがない人はぜひ一度、定期的に受けている人は今後も継続を強くオススメする。

胃カメラを受けるときのコツ

最後に胃カメラのコツについて。大きく分けると2つある。それは①呼吸、②顎の角度、だ。嘔吐反射等を軽減するのに、最も役立つのは深呼吸である。口からカメラを入れる場合、鼻から大きく吸って、ゆっくり吐く練習を検査前に行うことが重要。検査が始まり、苦しくなるとなかなか深呼吸をすることが難しくなる。逆に言うと、鼻が詰まっている状態でのカメラは非常にシンドイ。風邪をひいているときや、花粉症のシーズンなどは避けた方が無難。次に顎の角度について。カメラが喉元を通る時には顎を突き出すように、喉を越えたあとは顎を引くようにする。顎を突き出したほうがカメラが通りやすく、顎を引いた方がゲップが出にくいためだ。上記の通り、胃の観察時に空気をためるが、ゲップがでてしまうと再度空気を入れる必要があるため、検査時間が長くなってしまう。検査中、カメラの画像を見ようと顎が上がってくる人が多いが、グッとこらえて顎を引いている方が早く終わる。どうしても検査結果が気になる場合は、生検(せいけん)が行われるかどうかに耳を澄ましていること。生検とは、診断のために組織を採取することである。行うときには専用の道具を看護師さんに用意してもらう必要があるため、「生検します」と言った言葉が聞かれるはずだ。もし言われなければ大きな問題はない場合がほとんど。もし言われてしまったら、検査後にどこから組織をとったのか聞いてみよう。きっと教えてくれるはず。

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