徒然物語114 解けない謎

「この世に解けない謎はない」

誰かが、そう言った。

けれども、これは解けそうにない。

解けるはずがない!

二つの繋がった金属。

くねくねと折り曲がっている様は、

まるで路地裏にある、むき出しの折り重なったパイプを連想させる。

そんな金属が、複雑に絡み合っている。

一見、そう見える。

しかし、特定の条件を満たすと両者は分離する。

そう、それが”知恵の輪”という代物だ。

だが…こいつはどうだ?

本当に外れるのか?

もう何時間格闘したか知れない。

ムムム…

ムムム…

ムッキー!!

インチキ品じゃないのか?

そう思った、矢先だった。

「すみません、お客様、もう2時間もそうされてますよね?

お買い上げになりますか?ならないようでしたらそろそろ…」

店員さんが、恐る恐るといった様子で話しかけてきた。

そうだった。

ここは〇ー〇ューハ〇ズ。

いい大人が、試供品で遊んでいい場所ではなかった。

「そ、そうですか。すみません…」

知恵の輪を戻し、いそいそと別コーナーへ向かう。

どうやら、永遠に謎は解けないようだ。


店員さん(買わないんだ…)

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