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なぜ強いデッキを過小評価してしまうのか

こちらはToby (@toby_24ss) さんのアドベントカレンダー2022の記事となっております。


はじめに

 始めましての人も多いと思いますシャドバ歴6年の綾鷹です。自分は競技シーンに取り組み始めて4年ですが、未だに一部の環境デッキを過小評価してしまう癖があります。

 皆さんもデッキの評価を低く見積もったせいで、適切なデッキ選択ができなかった経験が一度はあるのではないでしょうか。

 そこで今回は、自分の思うデッキを過小評価してしまう要因を、過去の体験談と合わせて見ていこうと思います。

1.偏差が大きい

 いわゆる”運だけデッキ”と呼ばれがちな奴です。例としては、特定のキーカードに依存していたり、コンボのために必要な枚数が多いものなどが挙げられます。相手に都合の良い引き方をされると気分が滅入ってしまう人も多いのではないでしょうか。

 自分はそういうデッキの”引けなかった時”に目が行きがちなので、触っている時に弱いムーブしかできなければ、デッキに欠陥があると思いすぐに捨ててしまうことがあります。ではこの要因で自分が過小評価したデッキを見ていきましょう。

ケース1.1 FOH異形エルフ


大会上位デッキから

 元々は当時環境で猛威を振るっていた魔道具専門店ウィッチに対するメタデッキとして出てきました。地を裂く異形(以下異形)にフォロワーを融合し続けた後、その異形をだしてフィニッシュするデッキです。当初出てきた際は魔道具を倒すためにここまでするかとぶっちゃけドン引きしました

 最速6tでのOTKは魅力的に見えましたが、このデッキを弱そうと思ったのにはいくつかの理由があります。

・早めに異形を引かなければほとんど打点が出ない
・2面以上の守護で簡単に止まる
・挙句の果てに相手にもメリットが大きい頂きの闘技場に大真面目に頼り始める


お互いの!?

これらの点から見た感じ弱そうなデッキでした。

蓋を開けてみると

・2面の守護を立てれるデッキが環境に少ないこと
・スピアーエルフで削っておくことで異形を引き遅れたとしても打点が足りること
・さらに頂きの闘技場と<世界>ゼルガネイアのかみ合わせがよく防御力が高い点

これらの要因から攻守ともに隙のないデッキと仕上がってました。

 当時の自分も何回か使いはしたのですが、勝っても負けても異形引くか否かでしかゲームが決まっている感じがせず、いまいち評価が上がりませんでした。そのため、ずっとレートで対面に1tから異形を引かれて負けるたびにストレスが溜まっていました。

 今思えばマリガンすれば5割くらい引けるので(多分)、その分の勝率は最低限担保されることを考えると下手でも素直にこのデッキ握ればよかったと思いました(冷静にナーフされるデッキが弱いわけないでしょ)。


ちょっと喜んだ

ケース1.2 VECアマツエルフ(アディショナル後)


大会上位デッキから

 フェアリーブレーダーアマツを出し、手札のフェアリーに疾走をつけ、バフした後それらを場に出しまくり相手を殴り倒すデッキです。



 出た当初はアマツを出しても20点削り切れるか怪しいデッキでしたが、神鉄圧錬法によりパワーアップを果たしました。


2枚引いたらめちゃくちゃ強い

しかし

・神鉄圧錬砲だけでは火力が足りないので結局フィニッシュにアマツが必要
・アマツの効果を起動するために手札を空けながらフェアリーを揃えなければならない

という欠陥がありました。これらの要因からアマツは所詮”運だけデッキ”の域を出ないと決めつけ練習するのをやめてしまいました。

 実際は皆さんも知っての通り、レートで人気になり、世界大会でも大活躍した正真正銘の強デッキでした。あの jupi さんの神鉄圧錬砲は今でも多くの人を感動させ続けています。




今思えばアマツなしで勝つにはこれが鍵だったのかも


 これらの事例からそのデッキが勝つ過程の多くは運でしかなくとも、デッキを正しく認識し、選択する過程には実力が反映されると痛感しました。


2.相性認識の不足

 各マッチアップの相性認識はデッキ選択においても欠かせない要素です。これを間違うと本来環境で優位に立てるデッキを手放してしまったり、立ち位置の悪いデッキを持ち込んでしまったりします。自分もたまに相性認識を間違えてしまうことがあります。

ケース2 DOC連携ロイヤル


大会上位デッキから


 当時はスタン落ちしていなかった、SOR(レヴィ―ルの旋風)の乗り物アミュレットを駆使して打点を出していくアグロデッキです。ラディカルガンスリンガーで連携を稼いだ後ミストリナ&ベイリオンの疾走で勝ちます。DOC(災禍を超えし者)のRAGEはこのデッキを持たなかったことが敗因でした。


いつ見てもすごいカードパワー
1tに置くことができればは暴力的な強さを誇る

当時の環境は
スペルウィッチ
ラストワードネクロマンサー
マナリアウィッチ

が主流でした

 連携ロイヤルはこの中でスペルウィッチに有利でしたが、マナリアウィッチに不利でした。ここまでは確定だったのですが、ラストワードネクロマンサーとの相性を考えた際に自分は不利だと判断しました。なので主要な3つデッキの内2つに不利を取っているならば環境に合ってないと判断し、連携ロイヤルは練習しなくてもいいという結論に至りました。というわけで

 脳内と軽く回した感じ
・ラストワードネクロマンサー側がオミナスタイラントを結晶でプレイするとミストリナ&ベイリオンをケアできる
・人外魔境クリストフから出てくるゴーストライダーが連携ロイヤルの疾走に対して強い


しかし



現実
・アグロムーブが強すぎてオミナスタイラントの結晶が開くまでに殴り倒される

クリストフとゴーストライダーの面をラディカルガンスリンガーの必殺とミストリナ&ベイリオンのランダム5点が吹き飛ばしていく

 諸説あるかもしれませんが連携ロイヤル有利でした。マナリアウィッチに不利が付いてるとはいえ、母数の多い環境デッキ2つに有利が付いていたのでRAGEDay1には持っていき得だったと思います。

 RAGEの結果はスペルウィッチとラストワードネクロマンサーを持ち込んで2-2Day1落ち。実際対面した連携ロイヤルにはフルボッコでした。ここら辺の環境のごたごたはRyuさんのブログに乗ってるので興味ある方はぜひ

相性を自分だけで決めつけるのは避けた方がいいですね

3.練度不足

 デッキは、皆様の知っての通り使い手次第で強くなったり弱くなったりします。当たり前ですね。たまに練度が高くともどうにもならないデッキがありますが、大抵環境に出ているデッキはそれに該当しません

 自分は練度が足りていないせいで適切な出力がでなければ、そのデッキを捨ててしまう傾向にあります。これによって別のデッキに時間が割けて得する場合もあるのですが、短絡的に捨てるのも考えものです

ケース3.1 DOVアリアエルフ


大会上位デッキから

 DOV(暗黒のウェルサ)で新規に追加された瘴気の妖精姫アリア(以下アリア)と宿命の狐火セッカ(以下セッカ)で戦うアーキタイプです。

 まず初めに、アリアのリーダー付与効果でフェアリーに突進とバーンを付与し、盤面の処理しながら相手のライフを削ります。その後、セッカを自身が加えるトークンを用いて疾走させてフィニッシュするデッキとなっています。

 最初はフェアリー生成カードの弱さと、同クラスでTier1だったロキサスエルフの存在から環境に姿を現すことはないと思われていましたが、Rumoi/AXIZさんがこのデッキでグラマスに行くと評価が一変、DOV屈指の人気アーキとなりました。大会での母数はロキサスエルフと同数か少し少ない程度だったと思います


 当時の自分はバーンで殴るライドドラゴンを使っていましたが、天穿の銃槍騎・ラスティナのおかげもあって非常に有利に戦えていたのでこのデッキの存在を気にも止めていませんでした。

フェアリーがこいつに当たるたびラストワードによるバーンが大きくなる


 後で実際に使いもしたのですが、アリアを引いてもリソースが足りなくて勝てないませんでした。アリアが引けない時盤面の処理もフィニッシュすることもできないという悲惨な状況になることから、Rumoiさんのプレイングが強いだけでこのデッキ自体は弱いと決めつけてしまいました。

対面これで4ドローしてくるのに自分は良くて2ドローだった


 ダメ押しとして、これまたアリアエルフに刺さるネレイアを搭載した進化ヴァンパイアも現れたことから、「アリアエルフが環境に出てきてもこの2つのデッキを使えばいいし、最悪ロキサスを練習すればいい」と思っていたのですが・・・・・・・・・・・・・・・

 レートも後半戦になり、ロキサスエルフよりもセッカエルフの方を多く見るようになりました。というわけで、進化ヴァンパイアとライドドラゴンを握るのですがどうも勝てません。この現象はアディショナルまで続きました。一体何が起こったのでしょうか?


画像はでぃーさん(d_sv)から。DOV環境初期のJCG予選の様子
見ての通りセッカエルフの予選抜け数が増加

 なんとみんなしつこくアリアエルフを練習して練度をあげていたのです。そのためライドドラゴンも進化ヴァンパイアも、既にアリアエルフへのメタデッキとはなり得なくなっていたのです(それでもライドドラゴンはアリアエルフに微有利くらいついてたと思います)。

 時既に遅し。自分は対抗策となるAFネメシスを練習していなかったので、ただただアリアエルフに対して、アリアを引かれないことをお祈りするしかありませんでした(情けなさすぎる)。

 最終的にはチームの人から教えてもらった庭園ドラゴンでアリアエルフを倒すことはできたのですが、これからの事も考えて素直に練習するべきだったと思います。


 アリアエルフがプレイングさえ極めてしまえばほぼ全体面有利なことを見極められなかった自分のミスと言えます。


 一方その頃、このデッキを広めたRumoiさんは、RAGEの配信卓にてアリアなしでライドドラゴンを叩き潰していました。人間をやめているのでしょうか?


ケース3.2 CDB 結晶ビショップ


大会上位デッキから。GxGはこのリストで出場した

 ずっと昔の話が続いたので最近の話を。今環境で使われている結晶ビショップもこのケースに該当します。実装当初は、武装ドラゴンと同じく環境の地の底デッキだったのですが、それを受けてかジュエルシュラインなどの主要パーツがアッパーをもらいました。

結晶ビショップは言わずもがな、フォロワーを結晶でアミュレットとしてプレイし、その回数に応じて様々な効果を持ったフォロワーでフィニッシュするデッキです。



元々2コスだった
テキストが一見では分かりにくい


 しかし結晶アミュレットの効果が弱いことと、廃滅のスカルフェイン(以下スカルフェイン)がないと打点が足りないことから、ランクマでは当たれど競技シーンで使われることはほとんどありませんでした



ストラテジーピックで効果を知った


 自分も環境の覇者AFネメシスでランクマッチの結晶ビショップを狩りまくっていたので、このデッキを強いとは1ミリも思いませんでした(金剛の拳聖はマジで強かったです)。そんな結晶ビショップに転機が訪れます。


とれない

そうRAGE shadowverse  Pro tourでの登場です。当時のメタゲームからAFネメシスの相方は序盤に強力な盤面を形成できるテンポエルフが優勢でした。当然の流れとして持ち込みもテンポエルフとAFネメシスが主でした。


 そんな中結晶ビショップを持ち込んだチームが存在しました。GxGとYFMです。

 序盤の面展開に弱い結晶ビショップは明らかにテンポエルフに不利に思えましたし、AFネメシスにも勝率が出ないと思っていました。パワーもスペルウィッチなどに比べ大きく劣っていました。

 

 ぶっちゃけボコボコに負けると思っていました。しかし、当日ちゃんと結果を出し、競技シーンでも見る機会も多くなりました。

 AFネメシスやテンポエルフにも露骨に不利をとらない理由としては、スカルフェインが絡んだ上振れが強力な事やギルネリーゼによる回復で防御力を底上げしている事が挙げられます。


 自分も使ったのですが、スカルフェインを引かなければ結晶アミュレットによる除去が思うようにうまく行かず、かつリーサルにもたどりつかなかったので使うのをやめてしまいました(スカルフェイン引いてもフォロワーだらけになって負けたりした)


 実際は、時にはスカルフェインも返す柔軟なマリガンや結晶を置くタイミングなどで様々な対面に勝てるデッキでした。一時は数が減る時もありましたが、アディショナル直前は結晶ビショップで勝った人が多いのも見ると練習して得するデッキだったのかなと思います。スタン落ちの影響も少ないので、来期も出番があるかもしれません。





全体のまとめ

 今回取り上げたデッキは、自分が数回使用したらすぐに評価を上げたり、環境が進むにつれて評価を上げて使うようになったものは除外しています。

 その他にも過小評価してしまう要因としては、環境を読み間違えたり、自分の使う構築が弱かったことなどが挙げられます。全体として言えることは試行回数の不足です。

 どの人も時間は有限なので、自分に合わないデッキに早々に見切りをつけることも選択肢の一つですが、デッキに間違った印象を持つと対面した際の大局観にも深刻に影響してきます。

 2,3回とは言わずにより多く回すことで、本来のターゲットであるデッキと戦うことができたり、そのデッキ本来の力を引き出す方法を理解できたりすることもあります。

 効率よくデッキを試したいときは、デッキの相性と回し方を自分で予め調べて、ルームマッチで特定の対面と実際に戦ってみるのも有効だと思います。

 環境に出ているデッキは、必ずしもデッキパワーが高いとは限りませんが、全てのデッキが何かしら環境で活躍している理由というものがあります

 ランクマッチにしかいないデッキならいざ知らず(そういうデッキにもちゃんとした強みがあります)、JCGやレートで使われる全てのデッキは強いから使われていると思います(当たり前)。

 試行回数の不足にも関わってきますが、自分の使っていないデッキへ先入観を持つことは間違った評価をすることに直結します。

 先入観を持たないようにするためには、そのデッキを使っている人と使ってない人の両方の意見を聞くことが大事だと思います。

 デッキの長所と短所を理解できれば、自分の評価が世間とずれていること、そしてなぜずれているのかが見えてくるはずです


最後に

 昔の記憶があやふやな部分もあるので、一部デッキ認識や環境を勘違いしているかもしれませんが、そういう点があれば教えていただけると幸いです。

 今回の記事は自分の体験談も多いので、普段の取り組みにおいて参考にならないかもしれませんが、デッキ選択の際の一助となれば幸いです。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。では皆様良きシャドウバースライフを



 明日のアドベントカレンダーの記事は、
昼の部はArufuさんの「大局観を掴もう!~試合を通したゲームプランを考える~」と

夜の部は山本さんの「耳かきが上手そうなキャラ3選」です







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