マガジンのカバー画像

WAISETU

23
あなたの美しい毎日に泥を
運営しているクリエイター

2019年4月の記事一覧

ウオノメ

部屋には髪が散乱している。荒々しく扱われたであろうゴミ箱は中のティッシュを吐き出す。なぜか垂れた液体はだんだんと私の方へと近づいて、かおる。人間が出したものが腐敗しきった嫌な臭い。気持ちが悪い。私の目はなぜか潤んで涙が垂れた。この目の違和感には即座に気づくくせに鼻を覆うことはしない。きっとそんな自分の臭いなんてどうでもよくって、あいつのことを思って流すこっちの方が意味があるんだ。手のこうは濡れたと

もっとみる

4月14日

私の家の隣には荒れた畑がある。これは昔この家の大家が趣味でやっていた跡で、彼はかなり前に亡くなってしまったのでなにもされない。趣味という言葉はなにかと萎縮するようなニュアンスがあるが、この荒地はかなりの大きさを誇っており、大家の趣味に対して熱さがあったのだろうと思う。今ではたまに子供たちが走り回り、争う、平和の戦場になっていてそれを傍観するのが好きだった。でもその趣味もやろうとは思わない。

もっとみる

通り雨

線路の上に落ちた奥歯
私のものだったのでしょうか
雨足は強くなっても
小さな靴跡は引きませぬ

もっと素直になれたらな
もっと真面目になれたらな
たらたら未練がましいこの鎖
錆びたハサミと共にある。

叶えられないよ
所詮は雲の鬱らごと
でもね忘れられないことばかり
傘なんていらないよ
そのまま水に変えるから
そのまま家に帰るから

私に対してぶつけた言の葉
今のためのものだったのでし

もっとみる

青を守らなくても素敵じゃないか。

またうなだれた格好をしてこの通りを歩く。体の節のオイルはキレにキレて、軋む音が耳に遅く聞こえる。足は一歩を出すことに無駄に偉大さを強調するせいで、全くというほど進まないし、よたよたと歩いてしまって夕日で伸びた影は元以上に不安定で脆いものに見える。かばんももう重くて金銭や身分は捨ててもいいから置いてしまいたい。
前をねこがひょいと抜かす。彼女はとても身軽で、ワンツーワンツーと早いテンポで進んでいく。

もっとみる

ただのゴミ

最近、本棚が欲しい。すごく欲しい。電車に乗っている時にも、風景を見て…あゝ本棚欲しいと思ってしまうくらい欲しいのだ。なぜかというと単純に本がキャパオーバーしてしまっているので、それをきちんとしまいたいからだ。今の本棚は棚の付け替える単位が使いずらい(多分僕がこいつときちんと向き合っていないので、最高の組み合わせができていないのが原因だ。)下のだんは画集でいっぱいになっていて、一番上は趣味のガチャガ

もっとみる

🔵

布団の上で僕は天井の表層に沁みたカーテンの影をうつらうつらと眺めている。形はいつまでたっても定まらない。日が落ちてきていて、微妙な変化がこの中で動き続けている。客観的に見るとまるで高尚な物事をまじまじと考え続けているようにも感じるかもしれないけど、頭の空にはピンクな妄想をしている。ピンクというと何か勘違いを浮かべてしまうので、細やかに注釈を加えると、ピンクといってもその色はJKが同じ仲間の中で自分

もっとみる
2の死

2の死

猫っていうのは死ぬ時、主人の前からふらりといなくなってそのまま死ぬという言い伝えがある。この噂は猫が放浪しやすく、その途中で事故や災難にあってしまい死んでしまうというのが大半で、実際はそんなことないのだと思う。しかし私はその噂はあながち嘘なんではないと思う。猫はあまり特定の人との関係に重視せず、関わりを持たず放浪するような性分だ。飼っている間はそんなところが魅力であり、少し困ったりもするところだ。

もっとみる