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攻殻機動隊 SAC_2045

速攻で見終わった。攻殻機動隊として、これまでの流れをくむもので、安心して見ることができる。速攻で見終わるくらい、引き込まれるものがあるのは間違いない。従来の攻殻機動隊S.A.C.ファンなら絶対にお薦めします。
注意点としては、
・3Dはネットの評価通り、チープでイマイチ、ただ、すぐに慣れるし、それほど気にならない。
・シーズン1は12話で終了しているが、完全にシーズン2につながるので、ストーリーは切れている。あまりに先が気になるなら、後で見ても良いと思うが、シーズン2がいつからになるか、現時点ではわからない。

以下、贅沢な無い物ねだりを書く。ネタバレはないが、見てから読んだ方が良いかも知れない。
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要点は2つ。押井守~神山健治と続くこの世界観に、そろそろ私が飽きてきた。もう一つは、3Dのチープさの背景に、日本の力が落ちたと感じざるを得ない。

前半。
まだシリーズは終わってないので、今後、驚きの新展開があり得る。だから、それを見てから論ずるべきで、現時点で書くのは早い。だから終わったら、ごめんなさいと撤回する可能性はある。

押井守~神山健治の系譜が、パトレイバーに始まり、国家観、政治観、社会問題のとらえ方で、輝きを放ってきたことは間違いない。パトレイバーでの「この国は、もう一度戦後からやり直すことになるのさ」という台詞は、今でも輝く名台詞だと思っている・・・そして残念なことに、日本はその台詞を未だに乗り越えていない。
だから、それにケチをつけるつもりは一切ない。文句を言いたいとすればおそらくは、彼らの描く世界観が進んでいない(シリーズが未完であることは繰り返しておく)ことではなく、日本社会が全く進んでいないことにこそ、問題があるのではないかと思ってはいる。
だからシーズン2移行で、新しい世界観を見せて欲しいと思っているし、正直、それが現代日本から遊離しても私は構わないと思っている。
今のところはそれが見えないので、期待はしている。

日本が進歩していないから、世界観は先へ行ってしまって欲しいと私は思っている

これは私の好み、なので、敢えて名前を挙げることをご容赦願いたいが、私にとって、PSYCHO-PASSは、正直、がっかりさせられた。もちろん、私のアニメへの要求基準がずれているのだろうから、それはクリエイターの責任ではないとは思う。

あくまで私の主観だが、いずれの作品も、警察ものを扱いつつ、PSYCHO-PASSには、警察、あるいは法を正義とする倫理観が厳然と存在し、攻殻機動隊にはそれが薄い。だからPSYCHO-PASSでは、登場人物が法の奴隷であり、攻殻機動隊では、登場人物が法から自由である。それが違いだと、私は感じている。

申し訳ないが、私は、奴隷に夢を見ることはできない。

押井守~神山健治は、ある意味、私の世代には神のような存在だ。だからこそ、より若い世代のクリエイターに、世界観ごと、彼らを越える作品を作って欲しいと、心から願っている。実はPSYCHO-PASSには、それを非常に期待して見た。だからこそ私としては、残念に感じた。

時代は進むし、世代も進むのだ。押井守の世界観には、私はもう40年以上も付き合ってきた。もちろんアップデートもされてきている。安心して見ていられる、それは間違いない。だが、そろそろ、世代交代があって欲しい。新しい、より希望を感じられる世界観を、次の世代に提示して欲しいと願う。若さからしか出てこないパワーを本当に待ち望んでいる。

もちろん、そういう作品を私が知らないだけかも知れないので、あったら教えていただきたい。

後半。
3Dはチープだ。それは否めない。技術的に、現時点ではこれが限界なのかも知れない。基本的には、それほど気にならないから良いと思う。作品の本質を損なっているとは全く思わない。
私はここ最近のアニメ業界のことを良く知らないので、安易に断定してはお叱りを受けると思うので、ケチをつける気は全くない。
ただ、先進的な絵だとは思えない。

別に、ハリウッドに対抗せよとは言わない。そもそも、日本にはそんな金もなければ市場規模もない。ただ、その差を埋めてきた、「超時空要塞マクロス」に象徴される「板野サーカス」のような先進的なクリエイターがいないのが問題なのかも知れない。あの描画を支えてきた多くの無名のアニメーターの存在も忘れはしない。今あれをやるのはもう無理だということは理解できる。

最後に。
私は、シーズン2を心待ちにしているし、始まったら息を詰めて見るだろう。そして間違いなく、最後まで楽しんで後悔はないだろうと思う。その点には一抹たりとも不安を感じてはいない。

ただ、新しい世界観、あるいは次の世代を築くクリエイターの出現。そろそろ、期待しても許されるのではないだろうか。

若者は、年寄りを軽く乗り越えて輝くものだと、私は信じている。

サポートしてくださるなら、それは奇跡としか思えません。心より、感謝申し上げます。