膝が痛いだけで孤独死寸前→入院→今日生還したITコンサルの怖い話(第2章:入院初日、サービス価値について思わず考えた件)

さて、この記事では2021年5月8日(土曜日)、第1章の死闘から奇跡的に救急車を呼ぶことに成功した時点から話を続けることにしよう。その日の夕刻、救急車で日大病院に搬送され、検査を受けるところまでがこの記事のカバー範囲である。

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俺はやっとの思いでマンション玄関までたどり着き(1Fでエレベータ降りる時にふらついて倒れそうになり、入れ替わりで乗ろうとしていた知らないお兄さんに「大丈夫ですか!」って支えてもらった。マジで人の優しさに感謝。マスクしていたとはいえコロナかもしれないのにね。日本も捨てたもんじゃないね。

そこで、119コール(注1)。
消防の人「はい、消防です、火事ですか、救急ですか?」(注2)
俺   「救急です。」
消防の人「住所はどちらですか」
俺   「江東区〇〇のマンション玄関前です」
消防の人「ご本人ですか、怪我ですか病気ですか」
俺   「本人です、膝が痛くてほんと歩けなくて」
(だいたいこんな流れだったかな、あまりよく覚えていない)

すぐに出動するので、近づいたら本人とわかるように合図してくれとのことだった。

7、8分経っただろうか、サイレンも鳴っていたような気がする。俺は玄関前のツツジの生垣に倒れ込んだりして服に枯れ葉等が付着し、5日分の無精髭、脂ぎってボサボサの髪、ヨレヨレの長袖Tシャツと7分丈パンツに財布とiPhoneだけを握りしめ、救急車のストレッチャーに乗せられたのであった。パッと見では住所不定無職の人に見えたかもしれない。

救急隊員「膝が痛いんですね?」
俺   「そうです。ちょっとこういう荷重がかかると吊ったみたいになってズキーンって激痛が5秒くらい続いて」
救急隊員「ぶつけたりしました?」
俺   「いや、その覚えは全くなくて、ただ4日の朝起きたら痛かったんです。あ、思い当たるとしたら、2日の夜にちょっと重たい荷物(注3)を背負って急な階段を下りた時に負荷がかかったかもってくらいですね。でもその時は全く痛いとかなかったですし。」
救急隊員「わかりました。近辺の病院に向かいますのでしばらく我慢してくださいね。」

しばらく走った後、
救急隊員「日大病院で受け入れできるそうですが、それでいいですか?」
俺   「(大学系列の総合病院ならすぐ点滴してくれそうだし、内科、外科両面から診てくれそうだな)はい、お願いします。」


と、日大病院に到着。病院側のストレッチャーに移動する必要があった。

「1、2、3。グイッ」

俺「あ、イテテテ、それダメっ ズキピキーン くうっ(絶句)」
俺「はあはあ」

救急入り口から小さな処置室的なところに運ばれたようだ。

看護師の女性が現れた。
「体温と血圧測りますねー」
「あ、熱ありますね。ご存知かもしれませんけど、熱ある場合は必ずPCR検査受けてもらうことに規則でなっているので、、、」

別の看護師さん?に鼻の奥の方まで何かを突っ込まれ(入れ方が上手で、すんなり終わった)、何かを採取されたようだ。
俺   「あの、すっごい入れ方上手ですね」
看護師 「あら、そう?(照れ)」

しばらくして、、、

ちょっとベテランな感じの看護師が現れ、こう言った。

「今日は休日で、PCR検査の結果出るのは月曜日まで待つ必要があります。なので、それまで個室で入院していただくことになります。で、これにサインお願いしたいんです。」

入室申込書0508

お分かり頂けるだろうか。要するに、「歩けないという理由で救急車でやってきた患者に、患部の診察おいといてまず、今帰るか、12万円払ってとりあえず月曜まで入院して待つか」の選択を迫って来たわけだ。

俺   「なるほど。これって入院なら個室以外の選択肢ないってことですよね。」
看護師 「そうです。熱が出ちゃってますから。その様子ですと入院ですよねー」
俺   「そこそこの高級ホテル並ですねえ笑。でも仕方ないんでサインしますね。」
(なんかすごい嬉しそうなんだよな。そりゃまあ病院経営のビジネス的には空いてる個室埋めて、ほぼ真水利益の1日4万の売り上げgetだし当然か。ここでゴネる客とか結構いそうだなあ)


看護師 「(嬉しそうに)ありがとうございます!それでですね、こちらもご記入いただきたいんです。」

入院申込書

(ふむふむ、高額なホテル代を請求しても取りっぱぐれたら大変だもんな。一見客に対し与信が発生するなら担保が必要なのは当然だ。)

俺はもう、退院時にカード払いでさっさと済ます気満々だったので、
俺   「手続き上必要というなら書きますけど、そもそも与信発生しないと思いますよ」
看護師 「すぐではなくて良いので、時間ある時に書いてくださいねー」

そこへ、ちょっと吉高由里子の面影を感じさせる女医の先生らしき人がやって来た。

採血をして、痛みを訴えている左膝を触診する。

女医  「ここ痛い?」
俺   「いえ」
女医  「ここは?」
俺   「ちょっと痛いです」
女医  「ここは?」
俺   「イタ、イタ、うっ ズキィィィン くぅぅう」
俺   「はあはあ。それ痛いです。そこ押すと吊ったみたいになって。」
女医  「じゃあここは?」
俺   「結構痛い」
女医  「ここは?」
俺   「ほとんど痛くないです」
女医  「ここは?」
俺   「イダダダ、うっ ズキィィィン くぅぅぅう はあはあはあ」
俺   「そこ触ると吊ったみたいになって激痛が来るんです。あとこの角度でここに足先の重さが掛かったり、筋肉が張ったりすると必ず来ます。」
女医  「うーんなんだろこれ」
俺   「なんか外科的というか、靭帯筋肉系の痛みなんですよねー。でもたまに足首が痛くなることが今までもあって、痛風なのかもって思ったりもしてます。ほら最近コロナで仕事もずっと在宅続いてて、ほとんど運動もせず1年で7.8キロ体重増えちゃって。あと3日くらいろくに栄養取ってないんでいろいろ栄養とかミネラルとか不足してるんじゃないかと思ってて。」

(救急車の中で、3日ほとんどカロリー取れてないこと、ちょっと動かすと激痛なこと、外科的要因としては2日前に重い荷物を持って階段降りたのが思い当たるくらい、ということは説明していたのだが)

女医  「とにかく痛いところをはっきりさせないと。これはどう?」
俺   「イダダダダ ズキィィィン くぅぅぅぅ はあはあはあはあ」
俺   「あのー3日くらいほとんど栄養取れてなくて、ミネラルとか不足してるから吊りやすくなってるかもしれないです。あとこれ(触診)いつまで続きますか?」
女医  「痛いところわからないとなあ」
俺   「さっきから何度も痛いところ触ってますって(語気強め)、、、」

女医  「えーと、階段で転んだんですよね」
俺   「いや転んでないです。思い当たるとしたら階段降りた時の負荷くらいって言いました」
女医  「点滴必要だね」 
俺   「そうですね」

俺   「この状況なのでちょっと仕事に影響出そうなんで会社に連絡しとかないといけなくて、ただ携帯のバッテリー残量が不安で、充電したいんですが、コンセント借りられますか?」
女医  「えっ 仕事、、、してるんだ、、、(蔑むような目線で)」
(まあ、ホームレスみたいな感じになってるからね)
看護師 「無理です。」
俺   「え?じゃあ入院する人はみんなどうしてるんですか?」
看護師 「病室に入ればコンセント使っていいです。」
俺   「なるほど、ただ、充電用のアダプターとコード持って来てないのでどこかで買わないといけないですね。そういえばこの部屋来る時にナチュラルローソンありましたけど、あそこに売ってますかね。」
看護師 「うーん、わからないけど、代わりに買って来ましょうか?」
俺   「お願いできますか、Type-Cじゃなくてライトニングの、コンセントに刺すタイプのやつが欲しいです」

看護師 「ありましたけど、4500円くらいします!」
俺   「それでいいので買って来てください。はい5千円。」

看護師 「コード付きで2700円でした!」
俺   「お、やった!」
看護師 「お釣りです(2300円)」

看護師 「点滴刺しますねー」
俺   「お願いします!(ようやく栄養補給できる、、、)」

点滴の袋を見ると、「ソリューゲンF注」と記載がある。
俺   (ミネラルうまー)(これって栄養補給なってるんだろか)

ネットで検索すると、電解質補給、つまり水分補給専用の点滴であった。。。
またも栄養補給の夢が虚しく潰えたのであった。


女医  「CT撮るんで移動しまーす」
看護師 「このまま移動しますねー」
 ガラガラゴロゴロ、、、エレベーター乗って降りて、、点滴吊るす移動式ハンガーみたいなやつと一緒だったかどうかは記憶が定かでない。

CT室へ到着。

チーフらしきおっさん技師と若手技師が待っていた。
そして、ここで俺はこの病院最悪の経験をすることになる。

CT撮影のためには、乗って来たストレッチャーから、CT用のベッドに移動する必要がある。

おっさん技師がいきなり無言で俺の足を抱え移動しようとした!
俺   「イテっ、うっ ズキィィィン くぅぅぅ ふぅー」
おっさん「何? 痛いの? じゃ自分で移る? 痛いなら先に言わないと!」 

なぜか怒られている俺。

看護師 「自分で移った方がいいですよね。ゆっくりでいいですよ。」
俺   「ちょっと待ってくださいね。」

左膝の角度を変えず、足先が浮いて膝のあの辺に荷重がかからないように、足を引きつける力で吊らないように、、、そぉーーっと。

俺   「お待たせしました、、、」
おっさん「はい、じゃ始めるよ」

おっさんが何か、キックボクシングのキックを受けるようのミットみたいな形の板を当てていろいろやっている。どこか向けたい角度があるらしく、横を向けてくれと言われる。

おっさん 「こうしてくれる?(膝を内側に倒す仕草)」
俺    「はい、ちょっと待って。ヨイショ、あ、イタタ、ズキィィィン くぅぅぅ はあはあ」
おっさん 「・・・」
俺    「えーと、結局この角度になればいいんですかね、体全体横向いていいです?」

もぞもぞ、、、なんとか成功!

おっさん 「(激昂して)だから! 体全体でやるんだよそういうのは!!」

は? 何で俺怒られてんの? てか、一応俺って病院にとっちゃビジネス上の顧客だよね。そういう意識全く感じられないけど。つーか、そういうの抜きにして医療従事者的な職務上責任感てやつだけ取り出しても、患者を無駄に威圧したり萎縮させるのって悪手じゃないの?患者の気持ちを楽にしてうまく誘導して、結果的にしっかり正確な検査につなげるとかの発想ないのかこいつは。

あーなんか外れ引いちゃった気がするなあ。タクシー拾う時にチェッカーのリストラされて運転手始めました的なの(注4)に当たった気分に近い。タクシーは運転手によって満足度天地なのに選べず料金も一緒。医療も同じ構図だ。要するに、提供者に対する選択の余地がない環境下で、継続的な関係が発生しないがゆえに、真のサービス価値と対価のギャップが修正される機会がないってやつだ。

とかとか思いながら検査を進めていると、若手技師が何やら疑問を呈している。

若手技師「これって、下、フリーのままでいいんです?」

どこの何がフリーなのか俺には判別できなかったが、疑問を呈すべき何かがあるらしい。

おっさん「ん? いいんだよ! フリーで、わざとだから!わざとフリーにしてるの、わざと!」

ははーん、このおっさん、若手に舐められてるの自覚してて、俺がイタタとか言うと、うまくやってないっぽく若手に思われそうでイラついてんのか。
マジでクソだな。つーか舐められてる以前に普通に嫌われてんじゃねーのかこいつ。

といった感じで、何かがフリーなまま、膝のCT撮影は終了したのであった。
(続く)


注1
ちなみに、119の9って、今はもうほとんど絶滅した回転式ダイヤル電話時代に、ジーコジーコって戻るタイミングが9だと長い、その間に落ち着けって意味で決まったらしいね。110の0もそういう理由らしい。
筆者本人の属性がクイズ研OBだったりしてひけらかし欲旺盛な嫌な人格でして、この辺からちょいちょい意味もなく脱線していく所存でございます。

注2
この、火事ですか救急ですか、みたいな決まり文句の110番バージョンが「事件ですか、事故ですか」で、相棒のシーズン7「越境捜査」(名作と名高いようだ)で電話ジャック先のニセモノ県警がこう応答して本物らしさを演出するっていう使われ方をしていたのが印象に残っている。

注3
ボードゲームには、プレイに2時間以上かかるような複雑なものがあって、重ゲーと慣例的に呼ばれている。そういうゲームはボード自体が大きく、木やプラスチックの駒、大量のカードやタイル類を使用するため、物理的な重さもかなりのものであることが多い。そのようなゲームを複数プレイするために運搬する際によく使われるのが、「カホンバッグ」である(Uber Eatsのバッグに近い)。その日、suohはティオティワカンとその拡張、オンマーズキャピタルラックス2などを詰め込んで運搬していたのだ。

注4
なんなんだろうな。都内でタクシー乗った時の「車本体の性能」、「運転手の経路知識」、「運転のスムーズさ」、「余計なことを言わずほっといてくれる度」を総合した時に、チェッカーグループのあの車にヒットしてしまった時に外れ度が異様に高い気がしている。逆にカタツムリの個人タクシーは外れなしの快適さ。これが同じ料金てのは経済原則から見て不均衡で、いいサービスを提供してる側からしたら報われないと思うのだが(タクシー会社側から見たら安い給料で質の悪いドライバー使うほど得)、これもサービス満足度をダイナミックプライシング的に反映する仕組みを誰か考えてくれないかな。


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有料にしてるのは、個人的に尊厳が問われたりしそうな恥ずかしいとこは誰が読んだか知っときたい、くらいの軽い気持ちですんで、そのうち全部無料公開にする気がします。

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