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XXII.

思考狭窄にならぬ様に
恐れることは何もないのだから

この世に溢れる未知 未知 未知
毎日のルーティンが感覚を鈍らせる
全て識った気になって 識った風に喋る 
そんなのはもう僕にはたくさんなんだ

空ひとつが刹那
二度と繰り返されない 

瞬きの後はすべてが新しい

宇宙が存在し得た過程の延長だよ 僕が馨しい花に鼻を近づけるのは
この惑星の息吹 荒ぶる大地 
物質がこの全ての意識を生むまで
僕の中を巡る分子

Tokyo冬晴れ
凍える朝に選ぶ音楽

この坂を上がればもしかしたら見えるかもしれない星
街の明かりの上の広がる闇の中
音が止む まばらな街灯の光が届かぬ影に溶け塀に凭れ白い息を見送る

「地獄の様子って、きっと地球が赤ん坊だった時代の記憶ね」
軽い足取りで進む彼女の髪に光が降る

そうさ、僕らは時を疾走する刹那の生命
精一杯、分子を繋げて切ってまた繋げ、

きっとどこかで、また会えるとそう信じた宇宙のために

息をする 
食べる
恋をする


あの時以来、星の数よりきっとずっと多く、細かく 散り散りになってしまったけれど
分かれた二つがどこかで元の一つに還れると信じて分子は船となり永遠の組み合わせを試し続ける
揺れる弦が奏でる音楽は
尽きぬ希望に満ちている


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