X. 感覚を守る
調香師になるまでの勉強は、生活の中で歪められていた本来の感覚を取り戻す修行だった。技術や知識はある程度独学で手に入れられるが、いくら技術と知識が増えようとも、自分の感覚に乱れがあればスニャータの調香はできない。調香師になった後も感覚が歪むことはあって、その歪みは面白いほど香りに現れ、ひどいことになる。調香ができるようになるまでの修行の過程は企業調香師のそれとは全く異なる。
ここから先は
600字
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?