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「C.C.レモンAIで擬人化してみた」の舞台裏

「C.C.レモンAIで擬人化してみた」担当スタッフです。2023年7月27日、AIで擬人化したC.C.レモンのお披露目をさせていただきました。

このnoteでは、擬人化C.C.レモン誕生の舞台裏を掘り下げて解説してみたいと思います。ご興味のある方は、ぜひお付き合いくださいませ。


第一章 : 企画の起点

①AIはC.C.レモンのブランドイメージを把握していた

時を少しさかのぼり、今年の3月。ChatGPTの話題が私の耳に入った頃でした。"何を聞いても、驚くべき精度で返答してくれるチャットBot"と聞き、何となしに「C.C.レモンのイメージを教えてください」と聞いてみました。

※当時のチャット履歴

C.C.レモンのことをおおよそ正しく理解できています。

要約の精度も優秀。「テキスト生成AIにはブランドイメージという抽象的な共通認識を、具体的に言語化する能力がある」これは私たちにとって大きな発見でした。

②ブランドイメージは「口調」に変換することができる

さらに、こんなやりとりをしました

C.C.レモンのイメージをまとったキャラクターに変化した

ChatGPTはC.C.レモンのブランドイメージを「爽やかで若々しく、エネルギッシュ」と言語化した上で、「爽やかで若々しく、エネルギッシュ」な口調、つまりC.C.レモンっぽい口調で自己紹介してくれました。
ここで、ひとつのアイデアが思い浮かびます。「生成AIでC.C.レモンの人格つくったらおもしろいかも」と。 

そんなノリで、「C.C.レモンAIで擬人化してみた」プロジェクトはスタートを切るのです。


第二章 : C.C.レモンっぽい「セリフ」をつくりだす

③C.C.レモンに仮想の人格を与えるプロンプトづくり

ここからさらに私たちは「C.C.レモンの仮想的な人格」をより進化させるべく、トライ& エラーを繰り返します。具体的には「C.C.レモンが人格を持ったらこんなこと言いそう!」と、大勢が感じるセリフを生成するためにプロンプトの調整を繰り返しました。

以下に実際に使用したプロンプトの一部を引用します。

あなたは擬人化されたサントリーの炭酸飲料『C.C.レモン』のセリフの生成を行います。
以下の情報から、コンテンツに適したセリフの生成を行ってください。

【人格形成のための参考情報】
※以下の情報を元にC.C.レモンの仮想人格を形成してください
※パッケージカラーが人間に与える印象や、含有成分の効果効能など、ブランドイメージの形容に直接的につながる単語以外も人格を設計する一助として活用してください。
※ただしここで取り上げる情報を、セリフを生成する際にそのまま引用することは禁止します。

〈過去の広告コピー〉
・レモンの元気!
・ガンバレモン!!
・青春にはCがいる!

〈原材料〉
糖類(果糖ぶどう糖液糖(国内製造)、砂糖)、レモン果汁/炭酸、香料、ビタミンC、酸味料、ベニバナ色素、パントテン酸カルシウム、ビタミンB6、カロチン色素、
レモン果汁含有量 1%

〈その他商品情報〉
・たっぷり!レモン40個分のビタミンC! ※500mlペットボトルには、レモン40個分(800mg)のビタミンCが入っています。
・レモン感UPした新ボトル! ※レモンの形状をイメージした新ボトルを使用し、よりレモンらしさが伝わるデザインにしました。
・レモンらしい中味の強化! ※レモンらしいすっきりとした甘酸っぱさと、後口に広がるレモンの香りに強化しました。
・純水使用×保存料不使用

〈パッケージのイメージ〉
・メインカラー : 黄色
・サブカラー : 緑

〈発売開始年〉
・1994年

【セリフを生成するための基本情報】
今回生成するのは、AIによって擬人化されたC.C.レモンを世の中にお披露目するコンテンツ内で、C.C.レモンが自己紹介する際のセリフです。

〈想定している口調や口癖〉
・カジュアルな口調で、若者言葉やスラングを多用する
・自己肯定感が高く、自信に満ち溢れている
・一見短絡的な発言がユーモアにつながることも多い

〈キャラクターイメージの補足〉
※本企画は若者を楽しませるために企画されたものです
※このためC.C.レモンは意識的に若者言葉を使います

以上の情報を踏まえ、
コンテンツの目的に即したセリフ案を複数パターン生成してください。

※実際に使用したプロンプトの一部を引用

このようにC.C.レモンの情報をインプットしながら「C.C.レモンらしさ」を少しずつ強化し、各コンテンツに用いるセリフの生成を行いました。
また、最終的にはGoogle Bardなど、複数のテキスト生成AIをまたいだ制作フローを構築しています。

④AIが生成し、人間がセレクトし、組み合わせる

さて、上記のプロンプトからAIが生成したセリフを用いて制作されたのが、冒頭でご覧いただいた擬人化C.C.レモン自己紹介動画です。
 
「AIが生成したセリフを用いて生成した」と言っても、人の手が入っていない訳ではありません。生成されたパターンを確認し、良きフレーズ組み合わせることでセリフを構築していきます。

コンテンツの趣旨やC.C.レモンのイメージとの合致率が高いフレーズをマーキングする

こうして、百を超える生成パターンからいくつかのフレーズを抜粋。人力の並び替え作業により、完成したのが以下のセリフです。

生成AIを活用しつつ、最終的には人の手でディレクションと監修を行いながら、コンテンツを完成させています。

⑤AIが生み出す「C.C.レモンらしさ」を尊重する

たとえばプロンプトに「エネルギッシュな口調」と入力すると「〜だ!」「〜だぜ!」という語尾になることが多くなります。「爽やかな口調」と入力すると「やあ」という感動詞から文章が始まったり「〜ですね!」「〜だね!」という語尾が多くなります。

今回の企画では「C.C.レモンに関連する情報・C.C.レモンのイメージ」を口調として変換することで、「C.C.レモンが人格を持ったら言いそうなこと」をセリフ化する作業に多くの時間を費やしました。


第三章 : C.C.レモンっぽい「人物」をつくりだす

⑥C.C.レモンの「衣装」を生成する

C.C.レモンの衣装のモチーフは商品パッケージです。

パッケージカラーの「黄色・緑・赤」をプロンプトに追加し、この3色がバランス良く反映された衣装を着た人物が生成されるようにプロンプトの調整を繰り返します。その結果がこちら。

AIで生成したC.C.レモン擬人化イメージの一部

ご覧の通り、プロンプトの調整はひたすらに根気との勝負です。何度も調整を繰り返し、「C.C.レモンらしさを感じるコーディネート」が生成されました。

⑦C.C.レモンの「顔」を生成する

また今回は、C.C.レモンを担当するスタッフの「顔写真」をインプットすることで、C.C.レモンらしさを表現してみることにしました

C.C.レモンに関わる大勢のスタッフからベースの顔を生成。さらにAIを用いてC.C.レモンらしさを感じる髪型や年齢を反映して、擬人化C.C.レモンの見た目が確定されています。

⑧C.C.レモンに動きと声をインプットする

C.C.レモンっぽいセリフ、C.C.レモンっぽい見た目が揃ったら、最後にAIで動きと声を吹き込みます。セリフに合わせたモーションを1フレームずつ画像生成AIで書き出すことで動きが付き、セリフをAIボイスモデルにインプットすることで声が付きます。

いかがでしょう?皆さんから見てもC.C.レモンっぽく仕上がっているでしょうか?改めてですが、実際に動いている映像がコチラ。「これはC.C.レモンだ!」と思えたら、ぜひ拡散いただけますと幸いです。


第四章 : 最後に

思いつきから始まった「C.C.レモンAIで擬人化してみた」の裏側を解説してみました。こうして完成した擬人化C.C.レモン。期間限定ですが、彼が活躍するコンテンツの公開は今後も控えているので、みなさまぜひお楽しみにお待ちください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

関連リンク

C.C.レモン Twitterアカウント https://twitter.com/cclemon_suntory
「C.C.レモンAIで擬人化してみた」プレスリリース  https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF1399.html