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父の幕引き 13 せん妄の父

2020年6月24日

新幹線から在来線、タクシーを飛ばし

病院に着いたのは夕方17時すぎ

5階の病室にいる父のもとへ
エレベーターを持つのがもどかしい

先月はコロナで病棟には入れず
談話室での面会のみだった

今は病室に入れる

滑り込むように父の部屋へいくと

2人部屋に1人
父の意識ははっきりしている

右腕に点滴
ベットサイドにオシッコの管
左手の指先で
脈や血圧や心電図を測っている

「おぉきたきた」ってくらいで
拍子抜けする

熱があるから氷枕をあてているが
血圧は変わらず低いようだ

意識ははっきり
普通に話す 
が、
すぐにウトウトする
薬の作用かな
眠たいのか
元気なのか

そのうち

右手につながる点滴を 
ベッドの左側に移動して欲しいと言い出した

管が繋がってるからムリムリーーー
と言っても聞かない

言っても埒が明かない(ラチがあかない)と思ったのか
身体を起こしたい!起こせ!と言い出した

兄が動かないのを
嘆いてる

なんでわからんねんーと
イラついてる

ベッドサイドの柵を掴むが手に力が入らず
起き上がれない
ムリムリーーー辞めときーーと言っても

聞かない

しつこく言うから
ベッドのリモコンをつかって
背中を起こすが
身体がいうことを聞かず座れない
体がずり落ちる

枕を背中に差し込んで
なんとかもたれかけさせると 

次は足を下ろして
立とうとする

でも片足がだらりと
ベッドから落ちた状態で
ここからどうしようもない

どうやら
隣の空いてるベッドに移動したいようだ

危ないし言うこと聞かないので
ナースコールを探すがどこにも見当たらない

兄に看護師さんを呼びに行ってもらう

白い制服の看護師さん2人来てくれた

事情を話すと
やってみようとするけれど、、難しそう
だよね、点滴とか管とかね

紺色のパンツの看護師さん登場

父に呼びかけて
血圧低いから起き上がるのは
辞めといた方がいいと説明してくれた

父はアッサリ諦めた

私たちの言うことは聞かないけれど
看護師さんの言うことは 聞く

そして看護師さんが言うには、

いつもこんなこと言わない人だから
これは せん妄 と言って意識が混濁してると思う

薬や脳の酸素状況などで
一時的に痴呆みたいなことが起こってるらしい

あ!たしかに!

意識がはっきりしてるから大丈夫と思ったけれど
大丈夫ではないようだ

父をよく見ると
ベッドに横たわる病人なのに
眼鏡と時計をしっかりつけて
枕元の充電中のガラケーを
しっかり握って離さない

興奮してる様子
かと思えばウトウトする

電話をくれた担当医がやってきた

血液製剤を入れてること
浮腫が出てるのと
オシッコがあまりでてないので
薬で体の中の水分を集めて出そうとしてること
などを説明してくれた

へぇースゴイなぁ
そんなことできるのかぁ

父は
「先生はすごいで、
土日も返上して頑張ってくれてるねんで」
と先生を信頼してる

父は普通に話してる

先生が「頑張りましょうね!」 
って父の足の辺りをトントン叩くと

「はい!」と父は元気に返事した

そしてしばらくすると

入院時に持ってきた
ボストンバッグをあっちの棚に入れろと
言い出した

そっちの棚は違うよ
隣の人のための棚だよと
教えても聞かない

こりゃあかん
子供たちの言うことは何も聞かない

そのボストンバッグを
持って帰れと言い出した

洗濯物が入ってるの?入ってない
持って帰ってしまうと
退院の時どうするの?

いいから持って帰れ という

もう話にならない

これは、、
逆に興奮させるから
退散、退散!!

看護師さんってホントすごい
ありがとうございます

飛んできた私たちですが
退散します
ボストンバッグは持って帰ります
が、また明日持ってきますね

 
とにかく
まだ生きていた 

これからのことはわからない

姉と2人で
病院から徒歩5分の
父の家に泊まる事にした

姉はバタンキューで
寝てしまった

 

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