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映画を鑑賞した感想シリーズ

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『蜜蜂と遠雷』を鑑賞した感想

はじめに 『蜜蜂と遠雷』は恩田陸による同名小説の映像化作品である。今回、原作未読であることはご了承願いたい。 空前の〈音楽コンクールブーム〉 今日、インターネット配信が盛んになったことで、音楽コンクールの知名度は急激に上昇している。これまでクラシック音楽にあまり興味関心が無かった人々も含め、多くの人々が音楽コンクールに関心を寄せるようになった。若手ピアニストを「推し」とし、「推し」を全力で応援しながら音楽コンクールを楽しむといったように、音楽コンクールをエンターテイ

『Girl Shy』(邦題:猛進ロイド)を鑑賞した感想

サイレント映画・デビュー興味を持ったきっかけは、YouTubeでラヴェルの「ハイドンの名によるメヌエット」を原題で検索した際に偶然見つけた動画。 どうやらその動画は、サイレント映画(無声映画とも呼ばれる)なるもののワンシーンに「ハイドンの名によるメヌエット」を劇伴として後付けしたもの。サイレント映画はその名の通り音声が無い映画で、音声を入れられる映画フィルムが発明されるよりも前、つまり大昔に作られていたらしい。 (サイレント映画のフィルム自体には音声が入っていないが、上映

『流浪の月』を鑑賞した感想

私はもともと、2020年本屋大賞受賞作である凪良ゆうの同名小説『流浪の月』のファンであった。主演の広瀬すずと松坂桃李は、原作小説から受けていた更紗と文のイメージから遠すぎることもなく、原作が好きな私でも抵抗なく鑑賞できるだろうと考えた。 原作小説で描かれた多様な愛の形を映画はどう表現するのか。誘拐事件の加害者と被害女児の再会、病への絶望、過去のトラウマといった重いテーマをどのようなバランスで描くのか。メインキャラクタではない安西さんや梨花の存在をどの程度取り入れるのか。鑑賞前