小さなことを積み重ねること
「小さなことを積み重ねることがとんでもないとところへ行くただ一つの道」
この言葉はイチローがメジャーリーグ年間安打記録を破った際の記者会見での言葉だ。
このような世界にインパクトを与えるような人は自分を厳しく律し、地味で小さなことをコツコツと続けている。
でも、僕みたいな普通の人にとって自分で目標を設定し、それを達成するために努力することは非常に難しい。
僕は学生時代、英語が話せるとかっこいいと思っていたので英語が話せることを目標に英語の勉強を続けようと試みたが、ざっくりした目標なのでモチベーションが湧かず何度も挫折を繰り返した。
こんな調子で何か目標を立てて取り組もうとはするものの、それを続けることが出来なかった。
そんな僕に気づきを与えてくれた言葉がある。ファッションブランド「ミナペルホネン」の皆川明さんの言葉だ。
ファッションを仕事にしようと思い定めたとき、一つだけ心に決めたことがある。それは、「絶対にやめないこと」ということだった。
そもそも、苦手なことをしようと決めた理由は、数年ではなく数十年もつづけていれば、何とかなるだろうと思ったからだ。それを途中で投げ出してしまったら、自分の人生を相当つまらない、軽いものにしてしまうのではないか。 「生きる はたらく 作る」
皆川さんは何かを達成するためにコツコツ続けているのではなく、長く続けるためにコツコツ続けている。
目標を設定し、それに対して努力することはよくある。しかし、続けることを目標にしてコツコツ続けることはあまり聞いたことがない。
でもよく考えみたら、続けることを目標にすることで短期的な成果が表れなくても「続けている自分」をしっかり肯定してあげることで、続けることに意味を感じモチベーションを維持することは可能なのかもしれない。
ぼくは6月からジムに通いはじめた。
自粛期間中に、急激に太ってしまったからだ。そんな体を引き締めるべく4か月間ジムに通っている。
この期間、僕は一度も体重計に乗っていない。
それは体を引き締めることと同じく「続けること」も目標にしているからだ。
体重計に乗って体重が下がっていればモチベーションに繋がるが、体重に変化がなければやる気が下がってしまう。
自分のモチベーションを体重に左右されないためにも体重計には乗らない。とにかくジムに行くことを続けている自分を褒める。
このように取り組むことで心の負担なくジムに行くことができている。そして、ひとつのことを続けている自分をちょっと好きになってきた。
そんなジムのトレーニングで気づいたことがある。
それは自分の体の変化に気づく面白さだ。
筋力トレーニングを続けていると徐々に体に筋肉がついて来ているのを感じる。ランニングも最初は長く走ることが辛かったが、今では体に軽さを感じていて気づいたら目標の距離を走り終えている。
目に見える変化ではない、自分にしかわからないけど、確かな変化。
そんな変化に気づくことがジムに行くことの新たなモチベーションになっている。
振り返ってみると、僕が本を読み続けるようになったのも同じようなプロセスだった。サークル選びに失敗し、友達はいないしやることもなかった大学生一年生。とりあえず本を読もうと生まれて初めて本を読む習慣を作ろうとした。りあえず本を読もうと生まれて初めて本を読む習慣を作ろうとした。
カントやニーチェなどの社会に影響を与えた哲学者の本を読もうと試みたが、読み進めても知らない言葉ばかりで読んでいて5分すると睡魔が襲ってくる。
だが、わからないことが出ると調べることを繰り返しているうちに、徐々に彼らが伝えたいことが浮かび上がってくる。
そのように時間をかけて理解した彼らの思考は僕の考えにいろんな変化をもたらした。この本を読む習慣は僕の日常を支えてくる人生におけるかけがえのない行為である。
続けるためにコツコツ続けること、そしてその過程で見える色々な変化に面白さを見出すこと。これらを意識することはなにかを続けるためのコツなのかもしれない。
電車の中吊り広告を見れば「必ず成功する〇〇」や「最短合格」などの文字が目立つ。短期的に効率よく成果を上げることが美徳とされている現代の日本。
続けることに重きを置きその中での変化に面白さを見出す行為はスローで目に見えない。そのため、意味を見出すのは難しいかもしれない。
しかし、その行為は確かな手応えとなりこれからの自分を支えてくれる豊かな経験になるはずだ。
Yuto Furuta
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