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製品に使う塗料の話「その1」(61/100回)

サビを抑えたり、経年変化を緩やかにするために金属には塗装をする。

塗装をしたからといって完璧に錆が出なくなるわけでは無いけど、金属製品にとってはとても大切なものだ。

なので塗料には結構こだわっている。

といっても塗装のプロでは無いので、1番良さそうなものを選びとにかく丁寧にやっている。

2液型ウレタン塗料

使っているのは車の車体を塗装する「2液型ウレタン塗料」というもの。
通常の塗料とは違い硬化剤を混ぜて、化学的に硬化させることによって頑丈な塗装膜を作る。

完全に乾燥すればアルコールなどの薬品に強く、耐候性はとても高い。

もしかしたら他にももっと良いものがあるかも知れないけれど、屋外で雨ざらしになる車用であれば屋外看板の用途にも合うと思う。

それに比較的入手もしやすいし、スプレーガンで少量づつの塗装もできる。
高価な塗料だけど、長く使ってもらいたいからできる限り良いものを選ぶようにしている。

それでも固いものが当たって塗料が剥げたりもするので、完璧ではない。
作ってから自分の手を離れ、簡単にメンテナンスもできない場所へ行く。
もしかしたら雨ざらしの過酷な環境かもしれないし、乱雑に扱われるかもしれない。

看板が置かれる状況を想像すると、ちょっと不安な気持ちになる。
依頼してくれたお客さんにはもちろん、お店を訪れる沢山の人々にその(素敵な)姿を見て欲しい。
自分にできることはできる限り良い塗料を使い、丁寧に作業をして送り出してやることだけ。

自分の手元を離れてしまうまでは万全を尽くす。
手を離れてしまえば「あとはしっかり仕事してこい!」という気持ちで出荷している。

可愛い子に旅をさせるような気持ちで。


自分の娘が一人暮らしをする際は、たぶん一緒に内見に行くと思う。

少し家賃が高くても、周囲の環境が良く、駅近そしてオートロック。
近所のコンビニに悪そうなヤツがたむろしていないか、ゴミ集積所は綺麗に管理されているか、etc,,,。

娘には嫌がられる父親だけど、遠く離れて暮らす娘にしてやれるのは環境を整えてあげることだけ。
あとはしっかりやれよと送り出すしかできない。

ベストを尽くして天命を待つ


以前働いていたお店で海外に製品を出荷することがあった。
扱いが悪いと破損してしまうようなもので、大きくて重たい。
それでいて高額な商品。

できる限り丁寧に梱包して、破損しないように神経を張り巡らせる。
一緒に作業をした先輩に「無事に着きますかね」と弱音を吐くと「人事を尽くして天命を待つ!」と怒られた。

自分たちができるベストを尽くして、それでも何かあれば責任を取れば良い。
手を離れてからのことはコントロールできないので、自信を持って送りだせるだけのベストを尽くすだけだと言われたのを思い出す。


看板を作っているといつも頭の中でこんなことを考えている。

自分にできるベストを尽くす。

ただそれだけ。

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