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小さなお店が街に増えるとちょっとうれしい(42/100回)

オープン前の薄暗い店内で掃除を済ませ、溜まったメールをチェックする。
1日の予定を確認してからSNSを更新する。

お店の開店準備を整えて、置き型看板を店先に出す。
まだお客の入る前のがらんとした店内で、事務作業をしていると店の電話が鳴る。

店先では入ろうかどうしようかと悩んで、中を覗き込む人の姿。
しげしげと看板を眺めてから、恐る恐る店の扉を開けて入ってくる。
驚かせないように、でもきちんと届くように「いらっしゃいませ」と挨拶をする。


毎日毎朝こうやってどこかの街で、店の一日がスタートする。

お店はいつもそこにあってやってくるお客を迎え入れる。
ネットでなんでも買える世の中で、実店舗の役割はなんだろうかと考える。

ただ必要なものを買いに行くだけでなく、店に並んだ商品との偶然の出会いや、店主との何気ない会話。店で過ごす時間やお客同士の情報交換。

利便性以外の価値が実店舗にはあるのだと思う。
人同士のふれ合いは面倒な時もあるけれど、街にひとつくらいはふらっと訪れることのできる小さなお店があって欲しい。


看板の依頼を受けるたびに、街で愛される小さなお店のことを想像する。
人それぞれに人格があるように、お店には「店格」が表れるらしい。

新しいお店が歳を重ねて、どんなお店になっていくのだろうとワクワクする。

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