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イカロスは太陽に手を伸ばさない ~あたしがARMYになるまで~


 ナムさんのセンイルまであと数日なので、今の内にいい加減あたしのバンタンとの出会いを書こうと思います。
何から話せばいいのか。とりあえず去年の7月から話します。



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7月の頭。かなり暑くなってきた頃でした。その頃のあたしは某アイドル育成ゲームのミツバチギャンブラー男、天城○音に大狂い(現在進行形)していました。
(↓ソイツの話はコチラから。割と繋がるところもあるかもしれないです。)

我が家で推し活をしていたのは私だけでした。

私だけだったんですけど。


ある日から、何故か暇があるとテレビからCSの音楽チャンネルでDynamiteが流れるようになりました。見る番組がないと決まって流れていました。

流していたのは母でした。

 「なんかね~ずっと見れるねんな~。最近ずっとこの子ら見てるわ~」
なんて言ってました。
娘としてはまぁ、よくある気に入った曲を繰り返し聞いちゃう~みたいな事だろうと思ってたので、このブームも1ヶ月あれば去るだろうな~、しかしK-POPなんて珍しいな~。くらいに思ってました。

予想は大きく外れ、収まるどころか加速するばかりでした。無数のBTSのMV特集(1時間)、TBSチャンネル1で繰り返し放送されているあらゆるBTSのライブ映像、ボンボヤ4、SOOP1など……気が付けばテレビから流れる言語の3分の2は韓国語になっていました。


いや大ハマりしとるがな!?

あまりスマホを見ることの無かった母が、まさかスマホを横向きにしてかじる様に見てはケタケタ笑っている未来があったとは……。

しかし、娘としては少し嬉しい事でもありました。あまり母に元気の無い日が続いていた時でもあったので、こんな風に何かにハマって楽しんでいる姿を見ていると、前までの母より長く生きてくれるような気がしたのです。BTS…あっバンタンって言うの?まぁどっちでもいいけど、でも母が楽しめる物に出会ったのは良い事だと思ってました。


一方のあたしはというと、相変わらず天○燐音に心は囚われたままでした。日々の供給に苦しみ喘ぎ、愛憎を更に煮詰めて鍋底の焦げになるまで火にかけたような気持ちを引きずっていました。

そんな彼を見てあたしは「あっ彼はイカロスだ」と思った。

太陽に憧れ、ロウで出来た翼で飛び、その熱に溶かされ落ちていく、哀れな少年。

あたしはその時咄嗟に「彼の溶けない翼になりたい」と思った。彼が本当になりたい自分になれるように。彼が本当にやりたいことが出来るように。彼が本当に生きたいと思える素晴らしい世界になれるように。

https://note.com/sunnyside_912/n/n25876e36dc50

(↑かなり綺麗にまとめていますが、ホントは
「こいつの幸せの中にあたしがいる事が解釈違いだ」だの
「こんな奴を好きになってる自分を愛せるようになりたいのに全然出来ない」
だのほざいてました。情緒死にすぎ)

あたしは今まで彼の事を「イカロスの翼」に比喩していました。彼はイカロスなのだと思っていました。ですがある日気付いてしまうのです。

これイカロスなのはあたしなのでは?

途方もなく遠く違う世界にいる、焼き切れそうなくらい眩しい人に「消えろ!!消えろ!!」と言いながら手を伸ばしている自分の姿を見てしまったのです。

ひどく自分が哀れで恥ずかしくなりました。

「近付くだけ苦しむのに、そんな自分を愛する事も出来ないのに何をしてるんや。少し距離感を正そう」と思い直しました。

あたしはイカロスで、推しというのは太陽なのだ。自分がどこまでも飛ぶ為には推しとの距離を見誤ってはいけないのだ。
その時のあたしは教訓として深く心に刻み付けました。1月末。学年末が終わり、あたしの身に少しずつ流行り病の足音が近づいて来る頃でした。


そんな時、いつも流れるBTSの歌番組から、ある歌が流れてきました。

いつもそれなりに聞いて母に「へぇ~素敵な曲だね~」「この人歌上手だね~」となぁなぁに返すだけだったのですが、その時は同時に流れてくる和訳テロップも見ていました。

툭 까놓고 말할게
正直に言うよ
.나도 모르게 힘이 들어가기도 했어
僕も知らないうちに
力が入りすぎていたこともあった
높아버린 sky, 커져버린 hall
高くなってしまった空
大きくなってしまったホール
때론 도망치게 해달라며 기도했어
たまに逃げたいと願うこともあった
.But 너의 상처는 나의 상처
君の傷は 僕の傷
깨달았을 때 나 다짐했던걸
気づいた時 僕は誓ったんだ
니가 준 이카루스의 날개로
君がくれたイカルスの翼で
태양이 아닌 너에게로
太陽ではなく君の元へと
Let me fly
羽ばたかせてくれ

@luv_musik_ (アメブロ  https://ameblo.jp/translatemusic/entry-12624295029.html
 より)

「Boy With Luv」のRMさんのパートでした。

霹靂とはこれか。なんて事だ。
初めて和訳を見たあたしは衝撃と感動と5パーセントの畏怖を覚えました。

イカロスの翼を用いて推しを語っていたあたしに、あたしに言ってくれているような気がしました。こんな事があるのか。

彼らは太陽じゃないのか。
むしろあたしを、あなた達がどこまでも飛べる翼にしてくれるのか。
更にはその翼で飛んでいく先が、地位や名誉という太陽ではなく、あたしなのか。

刻み付けた教訓が、それこそ蝋のように溶けてばらばらになっていくのを感じました。こんなに応えてくれるのか。なんて人達だ。

9ヶ月弱経った今でも言葉に出来てないほど、当時のあたしにとっては大きな衝撃であり、救いでした。推すという行為を苦しむ事でしかカテゴライズ出来なかったあたしに、彼らはゆっくり降り立ってくれたのです。

そんなの手を伸ばさずにはいられないじゃないですか。だってあたしはイカロスで、ずっと輝くものに手を伸ばしてきた者なのだから。


コロナウイルスに感染し暇を持て余していた2月の頭。こうしてイカロス同士、手を取り合い、太陽ではなく優しい陽光のような愛を共にすると決めたのでした。

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かなり小っ恥ずかしい言い方になってしまったのですがそんなこんなでARMYになりました。この時はナムさんの歌詞にドタマぶち抜かれてますが推しは決まっていませんでした。なんなら「ジョングクっていうマンネの子、めちゃくちゃ顔可愛い!!歌もダンスも上手~!!」とか言ってました。

あたしがナムペンになったのはこれからすぐ後の事でした……続

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