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スクエニ最後の砦・FF7Rを振り返る【一般ユーザー感想・レビュー】

4月10日に満を持して発売した話題の『FINAL FANTASY VII REMAKE』。

既に各地でEDの展開を軸に考察・議論されているが、一FFファンとして自分も思いを書き綴ることにした。というより、正直吐き出さないと気が収まらないと書いた方が正しいだろうか…。

※ 普段記事を書かないため拙い文章になりますが予めご了承下さい。(しかもちょっと辛口)
また、FF7およびFF7REMAKE(以下 FF7R)のネタバレを含みますのでクリア後の閲覧を推奨します。

FF7Rとスクエニの姿勢

本作は1997年にPlayStationで発売した「FINAL FANTASY VII」の主要スタッフが手掛ける『FINAL FANTASY VII REMAKE』。壮大な物語や魅力的なキャラクター、当時の最先端技術が駆使された映像で多くの人を魅了した不朽の名作が、時を経て「新たな物語」として生まれ変わります。
コマンドバトルと直感的アクションが融合することで戦略性は高くなり、現代のグラフィック技術によって「FINAL FANTASY VII」の世界をリアルに再現、再生しております。


――――こちら公式サイトからの引用なのだが、「リメイク」なのか「新たな物語(オリジナルストーリー)」なのか、再現なのか再生なのかぶっちゃけどっち付かずな文章となっており、「まぁタイトルにリメイクって書いてあるし純粋にリメイクだろ」と事前情報無しで本作を手に取ったユーザーが完全に裏切られる内容となっていたことが、今回物議を醸した原因となっている。

結論から書くとFF7Rは「新たな物語でFF7を再構築する」ストーリーだったのでこの紹介は決して嘘ではないのだが、正直こちらからすると
「FF7  ラーメン」と書かれた商品を注文したら何故か つけ麺 が出てきたようなもので、「いや、つけ麺もラーメンの一種なんで・・・」と後から言われても素直に納得出来ない。この例えなら もはや返品されても文句は言えない商売だと分かるだろう。
売り逃げ商法ならまだ理解出来るのだが今作は分作であることを踏まえるとこのやり方は逆効果でしかない。

分作批判も然り、タイトルにpart1と入れるなりプロデューサーがハッキリ新作宣言するなりしていればここまで賛否が別れることもなかったと思うと本当にやるせない。

そしてあまりにのやるせなさにクリア後公式サイトを徘徊しているとこんなものを見つけた。

DIRECTOR & CONCEPT DESIGN 野村 哲也 Tetsuya Nomura
自分がこの企画を立ち上げたのは『COMPILATION of FFVII』の頃でした。
AC,BC,CC,DCと続き、5作目のコンピレーション最後のタイトルとして1年程1人で企画していましたが、他タイトルが多忙になって行く中、この企画は一時凍結となっていました。それから数年後、プロデューサー陣の強い希望により企画が再始動した訳です。ですので10年以上抱えていた大荷物の一片をようやく降ろせる発売日を一番心待ちにしているのは自分かと思います。

いやこれもっと大々的に主張しとけよ!!
これ読んでいたら心構えが180度変わってたわ!!
ちなみにこれ、公式サイト→ABOUT→STAFF→野村哲也と遷移してようやく辿り着けるところにある。プロデューサーよ、これ伝える気あったのか?

いや、分かってる。
さっき「詐欺」と書いたが、開発的には「サプライズ」だったのだろう。

「運命が変わるってことはエアリス生存ルート!?」
「ザックス生存!?別世界線もしくはループ説!?」
「未知の旅は続く…ってことはここからは完全オリジナルストーリー!?」

確かにEDを見た後は驚きを隠せなかった。
しかし申し訳ないが、これは決してワクワクではない。
ただただ不安なのだ。

開発陣には2作目を完成させる前に今一度自社の置かれている状況を理解して欲しい。
FF13、FF15、KH3で散々叩きのめされてきたユーザーの一体誰がオリジナルストーリーに期待すると思う?まともに考えて出来るわけないだろう。

今のスクエニに求められていたのは「土台(シナリオ)があれば120%のクオリティを提供できる」ということをユーザーに証明すること。そしてそれは、誰でも出来ることである。

「グラフィックはマンパワーで向上します。 
才能はいらないのです。」

原作厨と言われてもいい。
開発スタッフ、主にディレクター陣にはまずこの声を真摯に受け止めて欲しい。

何故なら、新しい物語を生み出す才能が本当にスクエニにあったのなら、そもそもこのFF7Rはこの世に生まれてこなかったのだから。


要素別評価

ストーリー:★★★★☆ 20/25点
システム:★★★★☆ 21/25点
グラフィック :★★★★★ 25/25点
サウンド :★★★★★ 25/25点
総評価 91点

鬱憤は晴らせたのでここからは申し訳程度にレビュー。
計40時間程プレイしたが、満足度は91点という感じ。
いや高いやんけ!!と突っ込まれそうだが、正直最後の1時間を除けば原作をほぼ忠実に再現していたので滅茶苦茶楽しかった。特にサウンドチームの貢献は素晴らしい!上で散々書いておいてアレだが本作のサウンドを聴けただけでも購入して良かったと満足している。この20年間で生み出された全てのアレンジを上回った完成度だと言える。FF7Rは今後も浜渦氏を中心にサウンド班をしっかり囲っておいて欲しいところ。

ただ、念を押しておくがこの評価はあくまで満足度であり完成度の評価ではない。何故か他ではあまり触れられていないが、このゲーム、一般的な家庭用ソフトより2千円程高い自信たっぷり1万円のフルプライスでの販売となっている。なんならその他AAA級タイトルより高い。であれば、金額も含めた費用対効果としての評価をしないと他ゲーに失礼ではないだろうか。

ということで、一応1万円のソフトとしての完成度の評価もしておく。
確かに1本のRPGとしては申し分ないクオリティだったが、市場の値段に釣り合っているかと問われるとやや首を傾げる内容だった。

・やり込み要素の不足
・大量のカットシーンと1本道MAP
・サブクエストのシナリオの薄さ
・本当にテストしているのか?という致命的なバグ(ダクトバグ)の存在、一部バトルの調整不足
等々、上げたら切りがないので省略するがとにかく十分な品質を満たしていないと感じた。

それでも評価が高いのは、ただただ思い出補正としか言いようがない。
本作にはこれでもかと言うほど「原作への愛」が詰め込まれており、随所にその本気度を感じたからである。
これを見せられてはもはや掛け値なしに評価する方が難しい。
(そしてだからこそ、原作を捨てる宣言をしたEDは許し難いのだが)

◆サウンド 25/25点
本当に良かった。エアバスター戦で鳥肌が立たなかった人はいないだろう。
原作で初めて「更に闘う者達」が流れるのが確かエアバスター戦で、原曲寄せのアレンジをここでぶつけてくる辺りにも原作愛を感じる。新規の人も満足出来るクオリティ・演出だったと思う。
正直FF13もFF15もBGMは素晴らしかったのだが本作は+物量という感じで正に求めていたものを最高の形で届けてくれたのがサウンドだった。サントラ待ったなし。
閑話だがオリジナルで特にお気に入りなのは陥没道路のEDM調の曲。
世界一カッコイイ下水道で有名なのはイトケンだが
世界一カッコイイ陥没道路と言えば浜渦となったのは間違いない。

◆システム 21/25点
戦闘システムは爽快感あり、程よい戦略性もありでとても面白かった。
クラウドがバスターソードで斬りつける感覚、バレットがガトリングを撃つ迫力など、プレイヤーの爽快感を意識したスタッフの意気込みを感じた。
ただEDまでプレイした段階で2つだけ不満点がある。
1.詠唱中にノックバック攻撃を受けるとATBゲージがリセットされてかつ不発になってしまうところ。
最初は戦略で解決出来る問題だと目を瞑っていたが、カメラワークの制限でどうあがいても画面外からの攻撃に対応出来ない仕様になっている。そしてATBゲージがリセットされてしまう状況を打破するにはATBゲージが必要、という最悪のループが起こっている。ATBは戦闘で重要を担っているため2本分消費するアクションが止められた時はもうゲーム―オーバーを覚悟しなければならない。
クラシックモードでプレイしたほとんどの人は1度はこの仕様で全滅したのではないだろうか。
詠唱完了時にATBを消費する仕様にするか、ATBゲージの本数を増やして1本辺りのリスク分散させるなど改善して欲しいところ。

2.敵が操作キャラしかターゲットしないところ。
ただケツを殴るだけの単調なゲームにならないよう入れた仕組みなのだと思うが、上記の仕様も相まって難易度が上がり敵が増えてくると「プレイヤーは常にガード、ATBは仲間が使う」というアクションとコマンドバトルの融合とは一体?という状況になっていた。R1(ガード)を押しながらコマンドを選択するゲーム………ってそれ結局コマンドバトルやないかい!
挑発マテリアで多少解消できるものの一部の敵には効果がないため、もはや仕様そのものを撤廃するのがベストだと感じた。現状では近接が圧倒的不利。

◆グラフィック 25/25点
必要な箇所に必要な労力を割いてくれたという感じで、満点です。
メインキャラに関しては顔アップも全く気にならないリアリティだった。
"現代の技術で再現されるFF7のキャラクター"も本作に期待していた要素なのでこの力の入れ方は高評価。リヴァイアサンおにぎりはなかった。
あと音声を読み取って自動的にリップシンクする仕組みがあるらしく(今ではメジャーなのか?)、日本語に対応した動きになっていたのも良かった。
グラについてはもはや語ることはないので割愛。

◆ストーリー 20/25点
原作を忠実になぞりつつも、「90年代に生み出された物語を現代に合わせて再構築する」という意味では上手くまとめられていたのでそこを評価した。
新左翼のアバランチ……
売春婦のエアリス……
PTSDに悩まされる元兵士のクラウド……
ティファの胸サイズを制限出来る倫理部がダマってなさそうな並びだが、変に改変せず盛り込めている辺り開発の本気が伝わったように感じる。

特にアバランチのテロ行為への言及はミッドガル脱出後だったのでどうするのかと気になっていたが、加筆されたシナリオが上手くバランスを取っていた。

ちなみに今後も
自我崩壊、植物人間、大地震で消滅する街etc...
このリアリティで描けるのか?どう表現するのか?という部分が山ほどあり今後どう展開していくのかは注目したいポイント。


ただ、ストーリーに関しては最後にこれだけ言わせて欲しい。
キャラクターは開発の代弁者ではない。
原作の運命を変えるだの、主人公に運命を変える動機付けがされていない以上これはただのメタ要素でしかない。そしてメタでこの大作を締めくくるというセンスにもう既に今後が不安でたまらない。
ゲーム内のキャラに言わせるのではなく正々堂々商品の概要欄に書いてくれ…。

4000文字を越えてしまったのでこの辺りで。
次回作への期待よりも不安のほうが勝ってしまったので辛辣な感想になってしまいましたが、レビュー冒頭に書いた通り本作への満足度は非常に高いです。無事神ゲーとして完結を迎えられることを一ユーザーとして切に願っています。
そして、本作の開発に関わった全ての人に感謝しています。

以上、ご覧いただきありがとうございました。

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