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18-19 PL 第35節 Arsenal × Crystal Palace

ELでナポリ相手に0-1で勝利を上げベスト4へ進出。良い流れで今節へ挑めるアーセナル。ナポリ戦からのスケジュールがわずかに中2日ということで、大幅に7人をターンオーバーで入れ替えたエメリ。ラムジーはナポリ戦でハムストリングを痛めて今節欠場、ジャカも臀部を痛めているということで同じく欠場となっており、過密日程に加えて選手のやりくりが難しいアーセナル。一つ上の順位にいるスパースが今節敗れていることで、この試合に勝てばアーセナルは3位に浮上することができる。現在10連勝中という好調のホームで積極的なターンオーバーを行った今節だが果たして。

PLでの前回対戦時レビューはこちら
18-19 PL 第10節 Crystal Palace × Arsenal

■チーム概要

【HOME】
・アーセナル(監督:ウナイ・エメリ)
フォーメーション
基本:3-4-1-2
ボール保持:3-4-1-2
ボール非保持:5-2-3

【AWAY】
クリスタル・パレス(監督:ロイ・ホジソン)
フォーメーション
基本:4-4-2
保持:4-4-2
非保持:4-4-2

■前半の試合展開

3CB+2CHでゆっくりとパスを回しながらビルドアップを行うアーセナル。クリスタルパレスが4-4-2で守るため、FW-SH間のスペースをマヴロパノス、ムスタフィが使いながらボールを前進、両WBを高めに上げてビルドアップの出口にしていた。

それに対してクリスタルパレスは前線から積極的にボールを奪いに行くことはなく、しっかりと自陣で4-4-2のブロックを敷いて守備。ボール奪取後は前線のベンテケに当てるか、ザハのスピードを活かしてカウンター狙いのように見えた。

試合スタートからクリスタルパレスの中央を締めつつ、DF-MFのライン間をぐっと狭くした守備ブロックを相手に、ブロック前でパスを回させられるアーセナル。なかなか4-4のブラック間にパスを出し入れできない時間帯が続く。

そして前半16分にマヴロパノスがカウンターを阻止してクリスタルパレスのフリーキック。そのセットプレーでクリスタルパレスが先制に成功。右斜め45°のタッチライン際からのキックがペナルティエリア中央へ。ここでフリーとなっていたベンテケがなんなくヘディングでシュートを決めてゴール。ゾーン気味で守っていたように見えるアーセナルだったが、ラインが揃っておらずジェンキンソンが残り気味に。ムスタフィが見ていたベンテケがギリギリのタイミングで抜け出しフリーになっていた。アーセナルはセットプレーでのミスからあっさりと失点を許してしまう。

その後も展開は大きく変わらず。4-4-2で守るクリスタルパレスの守備を崩せず、ブロックの外でボールを持たされるアーセナル。エジルが時折見せるアイデアから何度かチャンスにつながりそうなシーンはあったものの、ゲームはクリスタルパレスペースで進む。前半終了間際にはカウンターから2度ほど決定的なシーンを作られるが、レノのスーパーセーブやベンテケのシュートミスに助けられ、なんとか1点差で前半を終える。

■後半の試合展開

前半、クリスタルパレスの守備ブロックに入れなかったアーセナルは、後半早々に交代カードを切って一気に2枚替え。マヴロパノスに替えてイウォビ、ジェンキンソンに替えてナイルズを投入。フォーメーションを4-2-3-1へ変更する。

狙いはおそらくサイドの強化。サイドの枚数を増やしつつ、オフェンス能力の高いナイルズとドリブルで打開できるイウォビでサイドの深い位置へ侵入しようということだろう。

47分、早々に交代策が実る。サイドの高い位置にポジショニングしたイウォビへボールが渡り、そこからDF-MF間にいた横のラカゼットへパス。ラカゼットはマイナスへボールをコントロールしてマークを剥がし、裏へ抜けたエジルへスルーパス。これをエジル得意のインサイドキックでバウンドさせるシュートでGKの虚をつき同点ゴールを決める。イウォビ、ラカゼットがそれぞれ2枚ずつマークを引きつけることで空けた中のスペース。そこへするするっと入ってきたエジルと良い連携で崩したゴールだった。

アーセナルがサイドに枚数を増やしたことで、クリスタルパレスもサイドの守備に枚数を割かざるを得なくなり、結果、中央にスペースが生まれるような設計になっていた。エメリの狙い通りだっただろう。

この同点ゴールでアーセナルは息を吹き返し、サイドから深く侵入できる回数が増えてきた。ただ、SBを高く上げることでその裏のスペースも大きく空いてしまうため、そこをスピードのあるザハに狙われる形になり、試合はややオープンな展開に。

そして61分、まさかのシーンが訪れる。クリスタルパレス陣内からのセットプレー。大きくキックされたボールをベンテケがヘディングで競り、そのこぼれ球をムスタフィとザハが追いかける形に。このときにムスタフィはザハの前に体を入れてGKのレノにキャッチさせようとする。だが実際には体を入れきれておらず、ザハにするっと入れ替わられてGKと1対1の状態に。これをあっさりと決められてクリスタルパレスが勝ち越しに成功。同点ゴールから良い雰囲気になってきたアーセナルだったが、ムスタフィの信じられないような判断ミスであっけなくリードを許してしまう。また、この際にムスタフィがレノが出てくるタイミングが遅かったせいだと言わんばかりのジェスチャーで、自らのミスをチームメイトのせいにしていたのは非常に印象が悪かった。

その直後にもセットプレーからあわや失点というシーンや、セルフジャッジでプレーを止めてあわや失点というシーンなど、集中を切らしたようなプレーが散見された。

68分、アーセナルは早くも交代カードを使い切る。この試合いまいち試合に入りきれていなかったエルネニーを下げ、同ポジションにトレイラを投入。その直後、クリスタルパレスのコーナーキック。ミリヴォイエビッチが蹴ったボールをダンが競り、最後はマッカーサーがゴールに押し込みクリスタルパレスが追加点を挙げる。アーセナルは誰もマークについておらず、この試合で何度もセットプレーからピンチを迎えていたにも関わらず修正されず。結局ミス絡みのセットプレーから3失点を期すことになってしまった。

2点差となり苦しくなったアーセナルだったが、77分に巻き返す。右ワイドでパスを受けたオーバメヤンがドリブルでカットイン。1枚2枚と交わしてラカゼットとのワンツーパスを試みるが、これをカットされる。ただ、オーバメヤンはそのカットされたボールをそのままダイレクトでシュート。ボールはゴール左に突き刺さりアーセナルが2点目を奪う。オーバメヤンの決定力の高さが光ったゴールだった。

何とか同点ゴールが欲しいアーセナルは、引き続きサイドから深い位置へ侵入を試みる。89分にはオーバメヤン、ラカゼット、ゲンドゥージとつないでペナルティエリアへ侵入し、最後はイウォビが良い状態でシュートを放ったもののこれはGKの正面。結局このまま試合は終了し、2-3でアーセナルは敗戦。ホームで痛い勝ち点0となってしまった。

■試合結果

Arsenal 2 × 3 Crystal Palace

■得点
17分:ベンテケ(アシスト:ミリヴォイェヴィッチ)
47分:エジル(アシスト:ラカゼット)
61分:ザハ(アシスト:ベンテケ)
69分:マッカーサー(アシスト:ダン)
77分:オーバメヤン

■交代
45分:マヴロパノス → イウォビ
45分:ジェンキンソン → ナイルズ
68分:エルネニー → トレイラ
78分:ベンテケ → アイェウ
80分:マイヤー → タウンゼント

■まとめ

今シーズンここまで10連勝を挙げていたホーム、エミレーツスタジアムでの試合。勝てば3位浮上、スパーズの上に立てるチャンスだったが勝ち点は0。試合には敗れてしまった。

しっかりと引いてブロックを敷いた守備に対してきれいな連携からのゴールに加えて、個人能力の高さからの得点と、2得点を挙げたものの、3失点してしまうと勝ち点を獲得するのは難しい。それもすべてミス絡みでのセットプレーとなると、途中で改善できなかったのは非常に悔やまれる。

積極的なターンオーバーも結果がついてくれば称賛されるし、失敗すれば今回のように叩かれる。結果論となってしまうが、ジェンキンソンやエルネニーなどのサブ組をスタメンに使わず、ナイルズやトレイラを使っていれば、交代策でより前がかりな起用が出来たかもしれない。ただ、過密日程となっているELとの兼ね合いや、今節で最悪負けてしまっても4位は確保できるという状況をふまえると、シーズン通してのマネジメントではこのターンオーバーはエメリの強みの部分でもあると個人的に評価している。

悔やまれるのは、やはり2失点目だろう。これからという時の最悪のミスが生まれ、それが失点につながってしまった。しかもその責任をチームメイトに押し付けてしまうようでは、サポーターからブーイングが出てくるのは当然だ。実際にあの失点でゲームの勝敗は大きく左右されてしまった。

このムスタフィのミス、エルネニーのあわや失点というセルフジャッジなど、シーズン終盤の勝たなくてはならない試合でこれが出てしまったのは非常に残念だ。エメリが改めてチームを引き締め、残りの試合で同じことのないようにマネジメントしてもらいたい。

数少ないポジティブな面では、エジル、ラカゼットなど攻撃の中心となる選手が好調を維持し、戦う姿勢を見せてくれていることを挙げたい。こういった選手が必死に戦い、チームを鼓舞してくれるのは非常に心強い。

次も中2日と非常にハードな過密日程で、アウェイ ウルヴスと対戦。プレミアリーグも残り4節。アウェイ戦が多く残る厳しいスケジュールだが、すべてで勝利を挙げてCL出場権をもぎ取って欲しい。