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18-19 PL 第26節 Huddersfield × Arsenal

前節でマンチェスター・シティに完敗したアーセナルは6位に順位が後退。今節対戦するのは、最下位のハダースフィールド。アーセナルはCL出場権が獲得できる4位以内を、ハダースフィールドはプレミア残留をかけて勝ち点3が欲しい両チーム。アーセナルは今シーズンのアウェイで未だクリーンシートが無く、ハダースフィールドはプレミアリーグの全チーム中で最も得点が少ないチーム。アーセナルがクリーンシートを達成するのか、はたまたハダースフィールドが得点するのか、試合の勝敗以外にも注目の一戦。

PLでの前回対戦時レビューはこちら
18-19 PL 第16節 Arsenal × Huddersfield

■チーム概要

【HOME】
・ハダースフィールド(監督:ヤン・ジーヴェルト)
フォーメーション
基本:4-3-3
ボール保持:3-4-1-2
ボール非保持:4-4-2

【AWAY】
・アーセナル(監督:ウナイ・エメリ)
フォーメーション
基本:3-4-2-1
ボール保持:3-4-2-1
ボール非保持:5-2-3

■前半の試合展開

試合開始からホームのハダースフィールドがスピード、フィジカルを活かしてインテンシティ高く積極的な入りを見せる。トランジションでも優位に立ち、アーセナルにボールを保持させない。

ハダースフィールドが前線の高い位置から枚数を多くして強度の高いプレッシングを行うため、中盤のフィルターを越されると一気にCBがさらされる事になっていたが、ギリギリのところでなんとか守り切る展開。アーセナルはボールを保持して落ち着かせるようなことはせずに、このオープンな展開につきあう形で試合が進む。

開始から10分が経ち、アーセナルが少し動く。イウォビとムヒタリアンの左右のポジションを入れ替えた。ボールをなかなか保持できなかったので、守備面の強化を考えたのかもしれない。ハダースフィールドが右サイドのディアカビを中心にショートカウンターを狙ってきていたので、そこの守備だとイウォビよりもムヒタリアンが良いと判断したのかもしれない。この時間帯からムヒタリアンのポジションで奪い、右のイウォビサイドからショートカウンターという場面も何度か見られた。

そして16分に試合が動く。アーセナルが自陣からのフリーキックを早くリスタート。左サイドのムヒタリアンから大外で縦に抜けたコラシナツへ展開。相手が下がりきっていないタイミングでコラシナツが大きく逆サイドへクロス。走り込んできたイウォビにぴったりと合い、イウォビはそのままダイレクトボレー。これが相手に当たってGKの逆をつく形になりボールはゴールへ吸い込まれる。なかなか主導権を握れなかったアーセナルだったが、ここで大きな先制点をものにする。

ここからアーセナルペースの試合になるかと思われたが、ハダースフィールドは失点前と変わらずインテンシティ高い守備からのショートカウンターを積極的に展開。ボールを保持した場合は、CHのモーイを中心にタメを作り、右サイドのディアカビがスピードを活かして勝負を仕掛ける形を狙う。お互いにショートカウンターの応酬でオープンな展開が続く。ゲームプラントしてはハダースフィールドの方が狙い通りに進めているように感じた。

そして44分。ハダースフィールドのパスミスからアーセナルがショートカウンター。ピッチ中央で受けたイウォビから前線のムヒタリアンへ。ムヒタリアンから中央ラカゼットへのパスは一旦止められるもそのままボールをキープ。タメを作る間に外を駆け上がってきたナイルズへパス。そのままダイレクトで早いクロスから中でラカゼットが合わせて追加点。試合展開自体はハダースフィールド寄りだったと思うが、アーセナルが2点を奪い前半が終了する。

■後半の試合展開

両チームともに選手交代は無く後半がスタート。
試合展開自体も前半と同様、ハダースフィールドがインテンシティの高いプレッシングから主導権を握り良い入り方をする。

49分、ハダースフィールドがミドルサードでパス交換を交えつつ右サイドから左サイドへ。左SBに入っていたコンゴロが持ち上がりモーイとの壁パスでペナルティエリアへ侵入。グラウンダーのクロスがフリーのディアカビに渡るがシュートはレノがストップ。きれいな崩しから決定的なシーンとなったが得点は動かず。得点にはならなかったものの、ハダースフィールドはボール奪取も早く、縦に早い展開ながらボール保持する時はしっかりと保持し、ゲーム内容ではアーセナルを圧倒していた。

66分、この試合フォルスナインのようなポジションで攻守に躍動していたパンチョンが下がりドゥポワトルが入る。ドゥポワトルはパンチョンとは異なり前線に張って高さと強さで起点にする狙いに見えた。このあたりからハダースフィールドがより前がかりになったこととパンチョンの守備が効かなくなったことで、アーセナルが左サイドを中心に何度かチャンスを迎える。70分頃にはカウンターからイウォビが決定機を迎えたものGKとの1対1を決めきれなかった。

その後も互いにカウンターを中心に何度か決定機を迎えるもののアーセナルは枠内にシュートを飛ばせず、ハダースフィールドはアーセナルのGKレノやDFコシエルニーなどの活躍でゴールが奪えず。

このまま試合終了かと思われたロスタイム、ハダースフィールドの自陣深い位置からフリーキック。このセカンドボールをハダースフィールドが拾いライン間ハーフスペースにいたモーイにパスが渡る。モーイが巧みなトラップで前を向きダイアゴナルランでDFをラインの裏に入ったディアカビへ絶妙なスルーパスを通す。ディアカビのシュートにレノが反応するも防ぎきれず最後はコラシナツのクリアがそのままゴールに入る形でハダースフィールドにゴールを許す。最終的にアーセナルがクリーンシートを逃し試合終了。

■試合結果

Huddersfield 1 × 2 Arsenal

■得点
16分:イウォビ(アシスト:コラシナツ)
44分:ラカゼット(アシスト:ナイルズ)
90分+3:オウンゴール(コラシナツ)

■交代
56分:コンゴロ → ドゥルム
59分:トレイラ → エルネニー
66分:パンチョン → ドゥポワトル
76分:ムヒタリアン → デニス・スアレス
83分:カチュンガ → グラント
88分:イウォビ → ウィロック

■アーセナルがボールを保持できなかった理由

試合は1-2でアーセナルが勝利したものの、内容はハダースフィールドの方が良かったように見えた。実際、ボールポゼッションはハダースフィールドの方が55%となっており、シュートもアーセナルの9本に対してハダースフィールドは15本。ボールタッチやパス数、タックル数などを見てもハダースフィールドの方が上回っていた。

アーセナルがボールを保持出来なかった最も大きな要因は、中央のかみ合わせにあるのではないかと感じた。

ハダースフィールドの守備で効いていたなと感じたのは、FWに入っていたパンチョン。守備時にはポジションを下げてトレイラにマンマーク。その分、両WGは少し内へ絞ってアーセナルCBの持ち上がりを阻止。4-3-3から4-4-2のような形にシフトしていた。

比較的自由に動き回ってビルドアップするゲンドゥージに対しては、バクーナがマンマークにつき前を向かせない。トレイラ、ゲンドゥージの両CHが前を向けないことで思うようなビルドアップが出来ず、ロングボールを蹴らされるシーンが良く見られた。これをまたハダースフィールドに回収され、ボールを保持できないという状況が続いていた。

ただ、ハダースフィールドが前線から守備に人数を割いていたことで、アーセナルが中央の守備ラインを突破すれば数的同数になることが多く、一気にゴール前まで持っていくことができていた。そのため、試合は常にオープンな展開になり終始落ち着かないゲームになってしまったように思う。

また、守備ではハダースフィールドのビルドアップに対してアーセナルの前線3枚の規制がかからず、簡単にミドルサードまでボールを運ばれていた。これにより重心が後ろに下がってしまい、前線が遠く間延びしてしまう。

結果、ボールを奪取しても深い位置になり、ハダースフィールドのインテンシティが高い守備をかわせず、パスをつなぐことが出来ないのでクリア。またハダースフィールドボールでスタート。このような負のサイクルが続く試合となってしまった。

■まとめ

アウェイとはいえ最下位相手に内容が伴わない辛勝となったアーセナル。
この試合、エメリはあえてハダースフィールドのゲームプランに真っ向勝負を挑んだのか、それとも打つ手がなかったのか。
真っ向勝負を挑むのであればかなりギャンブル性が高く感じるし、打つ手が無いのであれば非常に大きな問題だと思う。怪我人が多いので選択肢が少なくなってしまっているということもあるのだろうと思うが、最下位相手にこの内容はいただけない。

次はいよいよELの本戦がスタート。BATEボリソフとのホーム&アウェイを戦う。しばらくはプレミアリーグが休みになるので、このELでうまくターンオーバーしつつ、しっかりと次のラウンドへ進んで欲しいところだ。