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18-19 PL 第16節 Arsenal × Huddersfield

プレミアリーグ過密日程の3連戦も今節で一区切り。エミレーツ・スタジアムで行われたノースロンドンダービーに劇的な逆転勝利を収めた後、中2日でオールド・トラフォードでのユナイテッド戦を引き分け、さらに中2日で挑むハダースフィールド戦。

アーセナルは公式戦20戦無敗と、結果は出ているもののここ数試合でけが人が続出している。この試合もエジル、ラムジー、ホールディング、ウェルベックが怪我で欠場となっている。そんな中、コシエルニーとモンレアルが遂にベンチへ復帰。
対するハダースフィールドは、前節終了時点で降格圏ギリギリの17位といまいち成績がふるわず低迷中。

けが人が多く、過密日程で選手に疲労が溜まってきている中、アーセナルはどのような試合を見せてくれるのか。


試合結果:Arsenal 1 × 0 Huddersfield

得点
83分:ルーカス・トレイラ(アシスト:オーバメヤン)
交代
45分:リヒトシュタイナー → ムヒタリアン
45分:ラカゼット → イウォビ
52分:ホッグ → バクーナ
60分:スミス → ハデルジョナイ(負傷交代)
66分:ムスタフィ → モンレアル(負傷交代)
70分:ダニー・ウィリアムズ → ドゥルム
■チーム概要
・アーセナル(監督:ウナイ・エメリ)
フォーメーション:3-1-4-2

・ハダースフィールド(監督:デイヴィッド・ワグナー)
フォーメーション:4-4-2


■試合の流れ(前半)

開始早々、ハダースフィールドは前線から積極的にプレッシングを行う。アーセナルの3バックに対して同数プレッシングを実行しビルドアップを規制する。また、ハダースフィールドのフォーメーションは、かなり流動的に感じた。4-4-2がベースに見えたが、守備時に5-2-3だったり攻撃時に4-2-3-1だったりと状況によって変えてきているように見えた。

アーセナルは、リヒトシュタイナーは慣れない右CBに入ったことでビルドアップに苦戦しているように見受けられた。普段は中央のソクラティスも不慣れな左CBに入ったことで同じくビルドアップに苦戦する。3バックシステムで重要な両サイドCBのビルドアップがなかなか機能せず、アーセナルは上手くいかない時間帯が続く。

左CBのソクラティスがドライブで持ち上がるも、そこから次に繋げられず何とかファールを誘いプレーを切るので精一杯。受け手のポジショニングや距離の問題もあるかと思うが、開いた位置でパスを受けていることでWBへの角度が無くなっていることがビルドアップに苦戦した一つの要因のように思えた。

今まで左CBを担っていたホールディングであれば、ドライブする際はハーフスペースをメインに持ち上がりWBへ角度をつけた状態を維持していたように思う。また、前が詰まれば逆サイドへのロングキックを選択するなどビルドアップでの貢献は大きかった。早くも怪我で長期離脱となってしまったホールディングの存在の大きさを痛感。彼が恋しくなる。

アーセナルは3-5-2のフォーメーションを採用したことでシャドーのポジションが無いため、ビルドアップ時に後ろ~前線~サイドをつなぐリンク役がいない。たまにラカゼットが下がってきていたが、そこからレイオフを受けるレシーバーが不在でアーセナルはなかなか思ったようにボールを前進することが出来ない時間が続く。

なかなかうまくいかない中、24分にジャカがシミュレーションでイエローカードをもらってしまう。非常にもったいないし、残念なプレーに感じた。
ジャカよ、そんな上手さはいらんのだ。

そして28分、ようやくこの試合で初めての決定機が訪れる。
カウンターから左サイドをコラシナツが前進。判断が遅くロストするもこぼれ球をゲンドゥージが拾ってジャカへパス。バイタルでジャカが前向きでパスを受けられたもののボールは利き足とは逆の右足。しかしジャカはそのまま逆足でキック。シュートだったのかクロスだったのかは不明だが、結果的にゴール前に入ってきたオーバメヤンへの素晴らしいクロスになる。オーバメヤンはワンタッチでシュートを試みるもあえなくボールはゴール右へ外れてしまう。オーバメヤンのポジショニングの良さが光った場面。

更にその直後に再度ビッグチャンスが訪れる。
相手GKからのキックをベジェリンがパスカット。そのままオーバメヤンへパスし、自らは縦へオーバーラップを仕掛ける。そのままオーバメヤンからリターンを受けるもパスが浮いてしまうが、ここでベジェリンが機転を利かせダイレクトで中のゲンドゥージへヘディングパス。ゲンドゥージは落ち着いて中を確認しフリーのラカゼットへ。GKとの1対1を決めるだけだったラカゼットだったが、トラップが少し流れてしまったことでシュートをふかしてしまいゴールならず。徐々に試合がアーセナルペースに傾き始める。

37分、アーセナルのビルドアップ時にトレイラに対してウィリアムズが後ろから危険なタックルでイエローカード。このあたりから試合が荒れはじめる。ソクラティスも危険なタックルでイエローカードをもらい累積警告で次節欠場が決定。ソクラティスはベテラン枠なので、こういった時にチームを落ち着かせてもらいたいのだが・・・次節欠場も非常にもったいない。

そして前半ロスタイム、さらなる試練が。
コーナキックのこぼれ球に反応したムスタフィが倒されるもジャッジはシミュレーション。ムスタフィもイエローカードをもらうことになり累積警告で次節出場停止に。足は当たっていたけれどオーバーリアクションだったのが印象良くなかったのかもしれない。これで次節はCBがいない状態に。

■試合の流れ(後半)

後半頭からアーセナルは2枚替え。リヒトシュタイナーとラカゼットを下げてムヒタリアンとイウォビを投入する。
フォーメーションは3-1-4-2から4-3-3へ変更されていた。

前半と比べるとムヒタリアン、イウォビがDF-MFのライン間でボールを受けられる頻度が高くなり、徐々にアーセナルが相手陣地に押し込む時間帯が長くなってくる。おそらくエメリが狙っていたのは、ビルドアップから前線へとつなぐリンク役になれる2人を投入することで、DF-MFのライン間でのプレー頻度を増やし、かつハーフスペースから大外レーン、ポケット侵入という今シーズンはじめに取り組んでいた形を再現したかったのだと推察する。

それでもなかなか決定機を作り出せないアーセナルにまた悲劇。ムスタフィがハムストリングを痛めたようで負傷交代を余儀なくされる。CBなのでコシエルニーが復帰後すぐにプレミア出場かと思われたが、エメリが選択したのは2ヶ月ぶりの復帰となるモンレアル。コシエルニーは大事をとってここでは出場させなかった。ソクラティスを右CBへ移動させてモンレアルを左CBへ変更する。

69分、ようやくアーセナルがハダースフィールドのDFラインを崩す。大外でボールを受けたゲンドゥージが中へドリブルで運び、DF-MFライン間に位置取りしたイウォビへパス。ボールをコントロールしつつ大外のコラシナツが上がる時間を作りポケット侵入へつながるスルーパス。コラシナツのトラップが少しずれてしまったことで相手に寄せらせてシュートまでは持っていけず。ただ、ライン間のポジショニングが上手いイウォビの投入が実った場面だった。その後もこの形は何度も狙っていたように見えた。ゲンドゥージが左ワイドに開いており、イウォビ、コラシナツと数的優位を作り、意図的に左サイドを突破しようとしているように見えた。

サイドを中心に徐々にアーセナルペースになってきた80分、ゲンドゥージがドリブルでペナルティエリアに侵入したところで倒されるも、またシミュレーションでイエローカード。確かに当たってはいるもののムスタフィと同様オーバーアクションが悪印象だったと思う。

そして83分、アーセナルが今まで攻め続けた左サイドから待望の先制点が生まれる。イウォビがドリブルで仕掛けてハダースフィールドのDFラインを一瞬押し下げてバイタルにスペースを作る。そのバイタルで待っていたゲンドゥージへパスが渡り、ゲンドゥージはハーフスペースから斜めのDFライン裏へのパスを選択。狙ったのはオーバメヤン。オーバメヤンの秀逸なトラップでDFをかわし、一旦ボールがこぼれるも粘って中へクロス。ボールウォッチャーになったハダースフィールドDFの後ろへポジショニングしていたトレイラへクロスが届き、美しいバイシクルシュートで先制点。今まで狙っていた左サイドを起点にした、素晴らしい崩しとシュートだった。

その後もアーセナルは時間を使うようなことは少なくオープンな展開になるものの、スコアは動かず1-0でアーセナルが勝利を収めた。

■あとがき

試合自体はやきもきする内容だったが、なんとかアーセナルが勝利。
こういったなかなかうまくいかない試合でも勝ち点3を取れるチームになってきたのは非常に大きい。

しかし、この試合で散見されたシミュレーション。これはとても残念。たしかに微妙なジャッジなものもあるにはあったが、それでも屈せずに無理やりこじ開けていくぐらいの気概が欲しい。
アーセナルにシミュレーションは似合わない。

この試合でムスタフィが負傷。ハダースフィールドもけが人が出てしまい、お互いに意図した選手交代が出来なかったのは残念だ。直接的な関係はないかもしれないが、これだけ怪我人がでてしまうとやはりプレミアリーグの過密日程の弊害が出てしまっているのでは?と考えてしまう。
好きなチームの試合がすぐに観られるのは嬉しいが、やはり選手には出来る限り万全の状態で挑んで欲しい。怪我で選手が潰れてしまうのは見たくない。

次、アーセナルはすでに首位通過を決めているELのグループリーグ最終戦をアウェイで戦い、その後セインツ戦だが、ホールディングは前節の大怪我で今シーズン絶望、ソクラティスがは累積警告で欠場、ムスタフィも累積警告&負傷で欠場。ついこの間までレギュラーでやっていた3CBがここにきて全滅という、なんともカオスな状態に。CB本職は怪我明けのコシエルニーのみだがエメリはどう乗り切るのだろうか。