見出し画像

18-19 PL 第7節 Arsenal×Watford

プレミアリーグ前節のエヴァートン戦で今シーズン初のクリーンシートを勝ち取り、カラバオカップではホームにチャンピオンシップのブレントフォードを迎え、これも無事に勝利したアーセナル。そこから中1日とハードスケジュールで挑む好調ワトフォード戦。
TOP6以外のチームと戦う8連戦もここまで4戦全てを勝利しているアーセナル。5戦目となるワトフォードは、プレミアリーグここまで4勝1分1敗と好調なスタートでTOP6に割って入る活躍を見せている。


試合結果:Arsenal 2 × 0 Watford

得点
81分:オウンゴール
83分:エジル(アシスト:ラカゼット)
交代
46分:チェフ → レノ(負傷交代)
63分:ラムジー → イウォビ
72分:グレイ → サクセス
76分:オーバメヤン → ウェルベック
85分:ナバーロ → キコ・フェメニア
■チーム概要
・アーセナル(監督:ウナイ・エメリ)
フォーメーション
基本:4-2-3-1
保持:3-1-4-2
非保持:4-4-2

・ワトフォード(監督:ハビ・グラシア)
基本:4-4-2
保持:4-4-2
非保持:4-4-2

■アーセナルのゲームプラン

【オフェンス】
ビルドアップは今までと同じように2CBとSCHの4人で3-1または2-2の形でつなぐ。出口はSBやSHだと思うが、ワトフォードが出口をうまく塞いでいたことであまりうまくいかず。前半はロングボールをCB裏へ蹴っていたので、もしかするとラインを下げさせたかったのかもしれない。

ワトフォードの2TOPのプレッシング、ビルドアップ出口を塞ぐ守備で前半は思い通りに進められなかったものの、後半途中からはエメリの采配で徐々にボールを前進させられるようになる。

今までと同様に大外、ハーフスペースをSBとSHの連携でうまく活用しチャンネルランでポケット侵入を狙う形。

【ディフェンス】
前線のプレッシングはラカゼットとラムジーが実行。サイドへ誘導。
ワトフォードはあまり繋がずにロングボール主体の攻撃を実行していたので、プレッシングではあまりはめられず。セカンドボールを多く拾われていた前半はピンチも多かった。

■ワトフォードのゲームプラン

【オフェンス】
ディフェンスからショートパスをつないでののビルドアップは行わず、2トップへロングボールを当ててセカンドボール回収での押し上げを狙う。
ミドルサードでボールを保持した時もそこまでつなぐことなく、DFライン裏を狙うボールを積極的に蹴っていた。
対人、ヘディングの強いディーニーをチームとして活かしており、まとまりを感じた。

【ディフェンス】
ビルドアップに対して2トップでプレッシングを行いサイドへ誘導。
ミドルサードからは全員が自陣へ撤退してブロックを敷く形に。サイドは基本マンツーマンでビルドアップの出口を塞ぐ。
ゴール前はライン間をグッと締めてブロック守備。アーセナルはなかなか中へボールを入れられず、ブロックの外でパスを回させられる時間帯が多かった。

■得点シーン


■試合に入れなかったラムジー

この試合でもトップ下に入ったラムジー。ラムジーをここで使う意図は、個人的には主に2つあるのかなと思っていて、1つ目はラムジーのインテンシティの高さ。前線でのネガティブトランジションの際にラムジーはすぐにプレッシングへ移行できる。これはエジルには無いラムジーのストロングポイントではないかなと感じている。
2つ目はチャンネルラン。特にSBが高い位置でボールを保持した際に何度もチャンネルランを実行し相手のDFラインを押し下げている。

この2つを1試合通して実行するにはラムジーぐらい運動量のある選手でないと不可能。ということで、エメリはこのポジションにラムジーを起用しているのかも?というのが自分の仮説。

で、この試合。ネガトラでのプレッシング、チャンネルランの2つは実行しているものの基本的に前に張り付いている時が多い。悪いときのラムジーのクセ。ビルドアップには参加せず、守備でも自陣まで戻ってくることがなくゲームに入れていなかった。

オフェンス面では前線に張り付いているので、中に絞ってくるオーバメヤンやラカゼットとポジションが被ってしまう事がしばしば。後ろと前のリンク役がいないのでエジルが中に入ってリンク役に。結果、右のベジェリンは孤立し、前線は渋滞という悪循環に。

途中、ラカゼットがサイドへ流れたりしてベジェリンをサポートしていたりしたけれど、フィニッシュの時にゴール前にいてほしい選手がサポート役に回るのはあまりにもったいない。

良いときのラムジーは、攻守にわたって活躍するものの悪いクセが出始めるとなかなか修正がきかないところがある。
結果、後半に交代を命じられたものの、皮肉にもその交代が功を奏してアーセナルは是が非でも欲しかった先制点をもぎ取る。

この試合が始まる前にアーセナル側からラムジーの契約延長を破棄したという悪い噂(信憑性はかなり高そうだけど)が出ていたので、そういったところもラムジーのメンタルに影響していたのかもしれない。

■チェフの怪我、レノの活躍

前半終了間際、ゴールキックを蹴った際にチェフがハムストリングを負傷。やむを得ずレノと交代。前節エヴァートン戦から、この試合も非常に良い入り方をしていたのでここでの離脱はとても残念だった。

だが交代で入ったレノもビッグセーブを連発する活躍を見せる。このクラスのGKを2人も抱えているのは本当に贅沢。さらにオスピナ(今シーズンはナポリへローン)までいたんだから贅沢極まりない。

今までレノはビルドアップでの良さは少しずつ見せ始めていたものの、あまりセービングでの活躍は見ることが出来ていなかった。だがこの試合では至近距離でのシュートにもしっかり反応し、1対1でもシュートコースを消しながら距離を詰める動きは非常に良かった。

おそらくチェフは3~4週間ほどアウトになる見込みなので、ここでしっかりとチームに馴染んでチェフを脅かす存在になってほしい。

■試合を動かしたエメリの交代策

前半終了時にチェフの負傷交代というアクシデントで交代枠を1つ失ったエメリだったが、残りの2枠を非常にうまく活用した。

残り2つのうち、1枚めは、ラムジー → イウォビ。
上に書いたように、この試合ポジショニングの悪さでゲームに入れていなかったラムジーに変えて、最近好調のイウォビを投入。これでエジルが中に入り、イウォビは左SHへ。

エジルが前後のリンク役を担い、イウォビ、オーバメヤンがハーフスペースを活用。ハーフスペースに人が居ることで大外レーンのベジェリンも孤立することなく、前線が整理された状態に。

最後の交代カードは、オーバメヤン → ウェルベック。
ラムジーと同様、この試合でなかなかゲームに入れていなかったオーバメヤンに変えてウェルベックを投入。これでイウォビが右へ移動し、左にウェルベックが入る。

結果的に右へ移動したイウォビとベジェリンの連携からサイドを崩して先制点が生まれる。追加点もウェルベックの頑張りから生まれるなど、エメリの采配がズバリ的中していたように感じた。

エメリは、選手交代の采配でゲームの内容を変えるのはとてもうまいように思う。ここまでも選手交代で流れを引き寄せて勝ちをもぎ取るゲームが何度かあった。ゲームを読む力と修正力が高いのかもしれない。スタートからそういった力を発揮してくれると良いのだけれど・・・笑

■雑感

これでTOP6以外と当たる8連戦を5勝と勝ち越しが確定。徐々にチーム戦術を浸透させながらも勝ち点を取れているのは非常に大きい。

あと、この試合でMOTM級の活躍を見せてくれたのがホールディング。とても落ち着いたプレーで何度もピンチを防いでいた。この調子で成長してくれれば今シーズン終盤にはムスタフィとスタメン争いしているんじゃ?と思うほど。これからに期待。

次戦はELアウェイでカラバフと対戦。移動距離も長いので怪我に気をつけつつしっかりと勝ち点3を取り、グループステージ後半は主力をがっつり休ませられる状態へ持っていきたいところ。