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資源株の決算はどこを見るべき?

●まず「良い決算」は大原則。とても重視しています。

でも「良い決算」を出すことが決定的に重要かどうか? は、その企業が若いか?壮年か?ということで大きく変わってきます。

このように初々しい期間は、全てがデリケート。だからそういうもじもじ恥じらうような時期に「いい決算」出せない会社は、すぐに投資家からポイされます。機関投資家はそこまで暇じゃありません!操を立てない相手に、いつまでも執着しません!

これに比べてオールドエコノミーの株は長年連れ添った夫婦みたいなもんです。ちょっと顔色みりゃ(きょうは機嫌が悪いな)とか、すぐわかる。

こういう関係というのはスリルとコーフンは無いけれど……安定していて、ちょっとのことでは壊れません。

老夫婦にだって青春はあったわけで、いま「ブルーチップ」と呼ばれているエクソンとかP&GとかJNJという株にも来る決算、来る決算、「良い決算」を出しまくり、急成長した時期があるんです! その長期でのトラックレコードがあるから、投資家は愛想を尽かさない。



●だからエクソンやシェブロンが少々決算をしくじっても、投資家は性急にそれらの株を売ることは、しない。


特に石油株や資源株は売っている商品そのものが市況に左右されるコモディティーです。神様でもない限り、原油価格の先行きや銅価格の先行きはアナリストには当てられない。

それは別の見方をすれば「市況株の決算予想数字はアナリスト間で、とっちらかっている」ということです。これに対しハイテク株の場合は予想数字が団子になっている。

決算はずした場合、団子になっている予想数字から外れた場合のほうが、こっぴどく売られる。



●石油株の場合、これに加えてさらに不確実要因があります。

たとえば将来の生産分を先物などでどれだけヘッジしているか? によって、市況価格が騰がってもEPSはそれほど上がらない場合もある。ヘッジに関してはていねいに開示している企業も多いけど、不親切な会社も散見されます。

原油価格が下がった場合、不採算になった油田を評価損で落とさないといけない場合が出てきます。そのケースでは特損を計上することになります。これをアナリストが事前に予見することは至難の業。

石油株、鉱山株の決算が予想から外れた場合、かならず「生産量」と「平均販売価格」に分解し、「どこで予想からずれた?」を検証してください。おうおうにして、生産量はしっかり確保したものの、市況が軟化して販売単価が悪かったことが多い。

これなんかは会社の責任とは言いにくい。



●それからその企業が「配当を維持しつづけているか?」にも注目して。

なぜなら足下の決算が少々下ブレしても、経営陣が(これはすぐ元に戻る)と思えば減配しないから。そして配当をしっかり確保できるだけのキャッシュフローを生んでいれば、決算の少々のミスはめくじらたてるべきでない。

むしろ安定的な配当、そしてその裏付けとなる潤沢なキャッシュフローを買うというノリで、インカムゲインを手掛かりに石油株を買うのが王道。

現在のようにスルスル原油価格が上昇している局面では、①インカムゲイン狙いの投資家から、②値幅取りのモメンタム投資家へと物色の主体が入れ替わることが多々あります。②の連中は、含み資産などに注目しながら買い上がってゆく。

たとえば、いま世界でいちばん利益を出している企業であるサウジ・アラムコなどは典型的な資産株です。なぜなら確認埋蔵量が多いから。



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