いまは「ブームなきバブル」だ。
■現在の状況の異常さに気が付くべき。
「いまはバブルか?」「バブルは悪か?」…などの議論をする以前の問題として、現在の状況の異常さに気が付くべき。
その異常さとは、「ブームなきバブル」だ。
ブームとは、好景気です。
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普通、ブームの結末としてバブルが来る。
ドットコム・バブルが弾けた時も、まずドットコム・ブームが存在した。リーマンショックのときも、サブプライム・ブームがあった。
IMFによれば2020年の先進国のGDP成長率は−4.9%だった。
2021年は+4.3%、2022年は+3.1%が見込まれている。新型コロナで大きく落ち込んだ後の回復なのだから、過熱感を感じるような好景気ではない。
■イールドカーブのパンチラ度に注目せよ!
▼トレジャリー・イールドカーブ
ドットコムバブル崩壊直前の1999年、リーマンショック直前の2007年を見よ。スカートの裾が、ハレンチにまくれ上がっておるわい。2021年を見てみ。おしとやかに……まくれのかけらもない。
パンチラはいけない。
パンチラになってないということは…FRBはブレーキを踏んでないということ。 現在の阿波踊り状態は、しばらく続くかも。
FRBがブレーキを踏んでない理由は「インフレが無いから」。
つまり「サラリーマンやっていても…お給料は上らない」ということ。
失業者は...多い。食うや食わずの耐乏生活を送っている人も...アメリカの場合、4人にひとりもいる。だから利上げできない。1.9兆ドルの景気刺激策を可決し、国民ひとりひとりに14万円配っている。
生活に苦しんでいる家庭では、14万円なんて焼け石に水だろ? でもぜんぜん生活に苦しんでないリモートワークしている人は、そのカネをすぐにロビンフッドに送金し、株に突っ込んでギャンブルしている。
格差社会だ。
The rich get richer...
いまS&P500の株価収益率(PER)は向こう1年の一株当たり利益(ESP)に基づいて22倍だ。これは過去5年の平均(17倍)より高い。
でも......22倍が「鼻血ブー!」となるほどのフィーバーなのかといえば、、、それはなんとも言えない。
もっとクレイジーになるかも。
そんなわけで先行きは混沌だ。でもひとつだけ言えることがある。それはボンヤリしている奴はおいてけぼり。機を見るに敏な奴は...コロナ以降、ウハウハに儲けているということ。
■もうひとつ...日本人として憂慮していることがある。
それは今回の米国の「ブームなきバブル」で、日本の先端技術分野に於ける立ち後れは、取り返しのつかない状況が、はぼ確定したということ。
アメリカ見てみ!
「5年後には、わが社は1日1回、ロケットを打ち上げます、ハイ」と豪語する企業が出てきている。
「通勤? 無人ドローンでいいんでね?」という会社も出てきておる。
ゲノム創薬でモデルナは新型コロナのウイルスの実物を見るまでも無く、ウェブにUPされた新型コロナウイルスのDNA情報をもとにワクチンをリバース・エンジニアリングした。
日本に...これができる?
高付加価値の分野で...日本は敗退に次ぐ敗退。
その背景にはRisk capitalの問題がある。
アメリカには冒険的なプロジェクトに取り組むイーロン・マスクのようなアントレプレナーになら「是非ともお金を預けたい!」という投資家がウヨウヨ居る。
日本では、冒険的プロジェクトには資金は回ってこない。(どうせ失敗するだろ)という悲観論、諦観が蔓延している。最先端技術になればなるほど成功はおぼつかない。ハイリスク・ハイリターンにならざるを得ない。でも日本では社会が「失敗」ということにアレルギーをもっている。事業の失敗に対する非寛容がひどい。まるで犯罪者扱い。誰も緒戦しないから...当然成功もしない。
■SPACブームって......何だ?
それは、突き詰めて言えば
「持ってけよ、このカネ! 余り過ぎて...困ってんだよ。このカネで、一発どでかいコト、しでかしてみろや!」ということに他ならない。
そんなファンドが200社も去年は組成された。
アメリカ産業界は今、ワープスピードに乗って他国を置き去りにしようとしている。EVでも、宇宙でも、ヘルスケアでも、AIでも。
ラフに言えばSPACがターゲット企業を買収する際、ファンドの5倍の時価総額で合併します。つまりレバレッジがかかるということ。だから...いま先端技術を追いかけ回しているリスク・キャピタルというのは、これはもう途方もない金額だ。
▼トレジャリー・イールドカーブについての記事
▼格差社会についての記事
▼SPACについての記事
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