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「バイオ株、薬品株に火がついたらラリーはしばらく続く」とは?バイオジェン(BIIB)アルツハイマー治療薬のFDA承認について

いま、眼前に迫っている、自・分・の・問・題・としてアルツハイマー治療薬承認の動向に注視しています。

ホント、「Lumiがいいんじゃないの?」とか「油絵やりなさい!」とか「フランス語会話やれば?」とかワイフから色々提案されている。



■「今回のバイオジェン暴騰について」

いまバイオ株、薬品株は歴史的な割安に放置さてれています。


だからバイオ株、薬品株に火が付いたらラリーはしばらく続く。

今回のバイオジェンのアルツハイマー薬、アデュカヌマブがそのキッカケになるかどうかは「?」ですね。

ただし、希望もあると思います。

僕はイーライリリー(LLY)がプザロックを出したときを思い出しています。

それまでも抗うつ薬は進歩が少なく、リチウムくらいしか無かった。でもプロザックが登場したことで新しい抗うつ薬が続々と登場し、カテゴリー自体が急成長した。

バイオジェンのアルツハイマー薬も、カテゴリーを出現させるきっかけになるかも。

それを断った上で今回の承認の異例さに言及しないわけにはゆきません。



■FDAの承認について

FDAは新薬を承認する際、外部の識者による諮問委員会の投票を参考にします。これは新型コロナワクチンの際にもみんなその様子を観察したので記憶に新しいと思う。

普通、諮問委員会の投票で圧倒的多数の支持を得た薬が、承認さらる。
バイオジェンのアルツハイマー薬は諮問委員会からの評価はメタクソでした。「エビデンスが無い!」と。

ただ、アルツハイマーの原因…とまではいわなくても、それをひきおこしているひとつの原因はすでに明らかになっています。それはアミロイドのプラーク(歯垢)みたいなのが脳細胞の回りに固まり、シグナルを阻害するから。

ところが年老いてもぜんぜん頭脳明晰の人もいる。そういう、アルツハイマーに罹らない人の脳を調べてみるとアミロイド・プラークを破壊する抗体(antibody)を持っていることがわかった。

この抗体を人工的に製造し、アルツハイマーの人に投与するとアミロイド・プラークをきれいにすることがわかった。

でも、わからないのは「それでアルツハイマーは治ったの? アタマが回るようになったの?」のエビデンスがなかなかとれない。
FDAと承認委員会の意見対立が先鋭化したのは、この部分を巡ってです。

FDAの立場は「アルツハイマーの原因であるアミロイド・プラークが除去されたのは確認できるのだから……たくさんの被験者にこれを投与していけば自ずと成果は実証される」というもの。

だから今回「繰上げ承認」と呼ばれる仮承認を与え、実際にたくさんの患者に投与を開始し、バイオジェンにはその臨床データを収集することを指示した。

「副作用はないのだから……ダメモトでやってみよう!」…そういうノリに、FDAは、なっている。

これに対して諮問委員会、医学界、医療保険界などは「それは手堅いやり方ではない」と反対している。

ある意味、FDAは新型コロナワクチンの成功で自信を深めているのかも。

「そんな短期間では無理だ!」「それは見切り発車では?」……そういう批判を押しのけて新型コロナワクチンを承認、市場に出したら……効果てきめんだった。

医療保険の話をすれば、そもそも「この人、アルツハイマー気があるのでは?」という患者候補の人の頭にアミロイド・プラークがたまっているのか?を測定するには脳のスキャン、もしくは脊髄の液を細い針で採り、分析する必要があります。

この作業には米国では保険が下りない。これだけで100万円くらいかかるらしい。

それとバイオジェンのアルツハイマー薬は毎月、注射みたいなカタチで病院で注入する必要があります。



■治らないから良いんです! アルツハイマー薬。

治らないからいいんです。投資家目線では。
完治してしまうお薬なんて、投資目的には鬼門です。

もうみんな忘れていると思うけど、C型肝炎治療薬、ハーボニーという素晴らしい薬が出たことがありました。ところがあまりにも効きすぎ、患者が居なくなったので売れなくなった。ギリアドのお薬です。

バイオジェンのアルツハイマー薬が「効く、効かない」という論争は、重要ではないです。昨日のニュースで重要なのは「アメリカは社会としてアルツハイマーのコストを国民全体で負担する」という方針が打ち出された事。

いやしくも投資家目指すなら、その程度の事に「ハッ!」と気付けよ。

それは日本語に翻訳すれば「みんなの健康保険料の掛金は、上る」ということ。



■米国株バイオジェン(BIIB)の株価

とりあえずバイオジェンの株価をチェックしておきます。2021年6月9日の終値は406.94ドルでした。ニュースが流れた日は、終値ベースで前日比+38%も上昇しました。


2021年度予測EPS18.53ドルで計算すると現在のPERは21.96倍。
2022年度予測EPS20.79ドルで計算すると19.57倍です。



以上です!!


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