『麦わら帽子は冬に買え』とは?
■米国経済は好調
米国経済は好調です。好調の理由は去年新型コロナで遊びに行けなかった人々がワクチン摂取とともに街に繰り出し積極的に消費しているからです。
▶︎家計のバランスシートは健全
米国民のフトコロ事情は意外にもたいへん健全です。新型コロナで(自分もそろそろクビになるかも…)という不安が出たこと、そもそもお店が閉まっていて遊びに行っても楽しくなかったこと、米国政府から国民ひとりひとりに見舞金が出たことなど要因が重なり、可処分所得の何%を貯蓄に回したか?という指数である貯蓄率は4月の調査で14.9%と高水準でした。
可処分所得のうち何パーセットが住宅ローン、自動車ローン、クレカ・ローンなどの借金の金利ならびに元本の返済に充てられたか? を示す家計のデットサービス比率も、折からの低金利の影響もあり歴史的に低い水準にあります。
それはつまり自由になるおこづかいが多いということを示唆します。
そんなわけで消費は好調、経済にも俄然活気が戻ってきています。企業業績も素晴らしい伸びを示しているし、すべてがバラ色のように見えます。
■すべてがバラ色のように見えるが……
しかし今から景気敏感株や経済再開株を買うのは止したほうがいいと思います。その理由はそのグループに属する銘柄の大部分は、こんにちの復活を見越して、ずっと昔から買われてきたからです。「麦わら帽子は冬に買え」という相場の格言がありますが、ベテランの投資家は徳の昔にこれらの銘柄を仕込み済みなのです。
いまこれらの銘柄に飛びついているのは経験の浅い投資家達だと思います。
今年、米国経済は6.5%前後で成長すると見られているのですが2022年は3.3%前後、2023年は2.2%前後の成長に落ち着くと思われます。つまり足下のきわめて強い景気は持続困難なのです。
▶︎インフレ懸念から金融引き締めも
実際、6月10日に発表された5月の消費者物価指数は前年同月比+5.0%ときわめて強い数字でした。これは去年の今頃は在宅勤務で経済活動が鈍化しており、需要の減退から物価も凹んだことの反動という側面があります。それを考慮した上でも連邦準備制度理事会(FRB)が米議会から与えられている使命はインフレを2%前後に収めるということなのですから今の水準はオーバーシュートし過ぎていると言わざるを得ないでしょう。
それは長期で見ればFRBは金融の引き締めに着手しなければいけないことを意味します。
FRBが金融を引き締めはじめれば、おのずと景気も今のフィーバーした状態からやや沈静化すると考えるのが自然です。
■セクター・ストラテジー
そんなわけでむしろ今は景気後退局面に強いディフェンシブなセクターのほうが安心かも知れません。典型的なディフェンシブなセクターということになると薬品株、公益株、食品株などになります。とりわけ薬品株は出遅れ感が強いです。
以上です!!
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