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この宙のどこか

  ただいまー
僕はそう言って鍵を閉めた
腕時計を見ると、短針はもうちょいで7だった
僕は急いで鞄を置き、外へ出た
そして、家のそばの公園でベンチに腰をおろした
北の空を国際宇宙ステーションが通り過ぎた
──────これだけだった
僕の楽しみは、これしか無かった
国際宇宙ステーションとか、月食とか、流れ星とか
それだけが僕の友達だった
世間は、そんな僕のこと馬鹿にするだろうけど
でも星は、そんなことない
何も言ってくれないけど、何も悪いこと言わない
悩みを話したって返事は返って来ないけど、
僕は言葉が嫌いだから
言葉って簡単に言えちゃうけど、
言った事が実現するとも限らないし
どんなに綺麗な言葉を並べても、
見ないと感動しないし
言葉の暴力って、ずっと残るし
その点星は何も言わないから楽だ
僕は励ましの言葉とか、全然嬉しくない
でも、星を見ることで心が安らいだことはある
人間の歴史なんて大したもんじゃない
地球が出来てから46億年経ってるのに、
人類が生まれてから1億も経ってない
それにこの広い宇宙には友達なんていくらでもいる
別に人間じゃなくたっていいし、
それは何も恥ずかしいわけじゃない
人間と合わなけりゃ動物や植物でもいいし、
星でもいい
宇宙人だっているかも知れないし、
宇宙人にも僕と同じような人がいるかもしれない
いつか宇宙人と会えたらな
友達になれるのかな
こんな僕とも






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