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はまぐり


「潮干狩りやったことないからやってみよう」
と軽いきもちで行ってみたらば、
予定した日がちょうど大潮だし、獲れた貝はあさりかと思いきやあさり大のはまぐりで、それはそれはおいしいもので、
人生のボーナスステージのような一日だった。

なんてぜいたくな酒蒸し
もうお店では注文できないと思わされたうまさ
ボンゴレビアンコ
じんわりうまみ。炊き込みごはん
(といただきものの巨大ズッキーニの
バター醤油焼き)


はまぐりはこれまでたべたことがなかった。
テレビで芸能人が、こぶし大ほどもあるようなでっかいはまぐりを磯焼きしてうまいうまいとたべるのを、
どんなものか想像もできずただ見ていた子ども時代のじぶんが報われたような気持ち。
たべてみたくてハンカチ噛んでたわけじゃないけど、
こころの隅にあった小さな願望が叶ったしとっても美味だったのでうれしい。

海無し県育ちなもので、はまぐりだけじゃなくいろんな未体験の海産物があるんだけども、
それらをひとつずつ潰していくとたのしいかもしれない、というあらたな野望がわいた。


よく晴れたまぶしい浜辺。水平線、途方もない量の塩の水、思ってたよりかなり大きなテトラポット。いつもの生活にはまったく見あたらないものばかりで景色が構成されていた。濡れた重い砂。表面は生ぬるく、深く掘るほどひんやりする。わたしの体温より冷たいところに貝がいる。そんな暗いところでやたらきれいな色と柄をしている。
掘っているときはたくさん獲るために必死だったけど、落ちついて思い返すと現実感のない風景ばかりでなんだかぼーっとしてくる。


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