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千と千尋の神隠しを改めて振り返る


この天気のアップダウンになんとなく身体がやられてしまうこの頃。

仕事もなんだか切れ目なく忙しかったので
気づけば土日もぐでぐでとおうちで過ごしてしまうのだけれど
まあこういう時期もあるよね、と言い聞かせている。なんせ何をしてもだるいし眠いんだ。

でもなんとなくだらーんと過ごす休日も
大好きな舞台の配信がある、となれば、突如QOL高めの休日に変貌するのである。


7月3日と4日。
舞台「千と千尋の神隠し」の配信があった。

残念ながらコロナ感染が確認され、大千穐楽の前日までの公演は中止されたのだが
奇跡的にも大千穐楽に出られないキャストが勢揃いした公演が帝国劇場で一度収録されていたとのことで、
7月3日はそちらが配信されることになった。

こんなこともあるんだなあ…!


実は3月に一度生で観劇することが叶ったのだが
とにかく原作に対するリスペクトを強く感じた舞台だった。

幼い頃にテレビで見ていたあの光景ひとつひとつが
舞台上で見事に蘇っている。生きている。

そしてマンパワーをこれでもか!とつぎ込んだ演出の数々。
ひとつ動作を間違えたら事故になりかねないだろう舞台を、
軽やかに動かしてみせる出演者の皆様にもう惚れ惚れしてしまう。凄すぎる。

やはりジョンケアードという演出家は魔法使いだな、と。
改めてそう感じる。


そして一部キャストにも触れさせてほしい。
(全部書くとめちゃくちゃ長くなってしまうので3人に絞らせていただく)


まずは千尋役の上白石萌音さん。

びっくりするくらい千尋だった。
所作ひとつ、喋り方ひとつに
原作のコピーでもないのに、でも「あ、千尋がいる」と思わせる力がある。

千尋って、なんだか目が離せないし、
思わず手を差し伸べてしまうような女の子だと思うのだけど、
彼女の千尋は、そこにとても説得力があるなあ、と思った。
台詞回しもそうだが、セリフとセリフの間を繋ぐ細やかなお芝居はさすがの萌音ちゃん。

改めて映像で見ながら、やはりすごい女優さんだな、としみじみ。

夏に上演される「ダディロングレッグズ」も、
その先の「ジェーン・エア」も楽しみでならない。


それから、リン役の咲妃みゆさん。
何を隠そう、わたしの推しである。

憑依型の女優さんで、宝塚時代からその情感豊かなお芝居が大好きなのだが、
リンがこれまたハマり役!
うわあ、リンだ!!!と生で観た時に大コーフンしてしまった。

今回、映像で見返していて、
もちろん原作のリンにも似ているのだけど
なんか他の誰かにも似てるなあ…とふと気がついた

誰だろう?と考えること数秒。


ちぎさんだ!!

宝塚ご在団中に、咲妃さんの相手役だった「早霧せいな」さん。
※愛称が「ちぎ」なので、ちぎさんと呼ばれている。
 ちなみに今はハリーポッターの舞台版でハーマイオニーを演じていらっしゃる。

このちぎさん、超絶美形なお顔立ちながら、超熱血、超男前!
松岡修造氏もびっくりな(笑)強烈なギャップをお持ちで。

リンの口調が、どことなくちぎさんの口調を彷彿とさせる…!!!
それがまたリンっぽくてすごく合っているのだ。
このトップコンビを推していた私としては、二重に感動してしまう出来事だった。



そして最後に。
カオナシ役の菅原小春さん。

青蛙を飲み込んでいるシーン以外は、原作通り「ア…」以外のセリフはないので、
基本的に動きだけで全てを表現していくわけだが
「ここにいるはずの者ではない」感がガンガン伝わってくるからすごい。


見ていて思わずゾワっとしてしまうような、予想の斜め上をいく動き。
地面をまるで滑るかのように重力を感じさせない移動。

いやはや、一体人間の体はどこまでの可能性を秘めているんだ…!と
万年身体硬め族の私は感動してしまうのだ。


銭婆のもとで、ようやく自分がいられる場所を見つけたカオナシ。
カラカラ、とみんなで糸を紡ぐ様子に何だか自分まで安堵してしまった。


ちなみに最後のカーテンコールでお面を外した時の
お顔の小ささに驚愕したのは多分わたしだけではないと思う。




いつ公演が止まるかわからない。
チケットを持っていても、観られる保証が全くない。

そんな状態が始まって、もう2年以上になる。

公演中止のお知らせが出るたび
たとえ観劇の予定がなかった公演でも、胸が痛くなる。


そんな中で、
キャストをあちこち入れ替えて、なんとか大千秋楽の幕を上げた千と千尋のカンパニーが
どれほどの勇気を与えてくれたことだろう。

そして、千秋楽を迎えることが叶わなかった他のカンパニーの数々にも
また幕を上げられる日が訪れるように、祈りを寄せたい。







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