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そういう形の親孝行

母はまだ認知症等ではないけれど、とにかく出不精で、友人らしき人もいないので(友人ぽい姉妹はいる)、家事をやって暇な時間はYouTubeを観るという、刺激に乏しい生活を送っている。

半年前に私がここに来た時は、たまには出かけなよとか、一緒に何処そこに行こうよと度々提案したけれど、「私は家にいたい」とばかり言うし、どうやら本当にそれが気に入っているらしいので、今回はそういう事を言うのはやめにしている。

もっと自分の楽しみのためにお金を使って欲しいとも思うが、結局私が何を言っても幸せの押し売りにしかならないのだろう。
私にとって母は、自分の楽しみや時間を犠牲にして私と妹を育ててくれた人なので、せめて子育てが終わった後は自由に生きて欲しいと思うけれども、YouTubeを観て部屋を綺麗に保ち、きっちり家事をして生活するのが現在の彼女の自由なライフスタイルなんだろうな。

私は今、束の間の休暇を楽しんでいる最中なので、二日に一回くらいのペースで都内にお出かけしているのだけれど、今日はここに行って何をした、みたいな話をすると、私の歩いたルートをGoogle Mapで眺めたり、寄った場所のネット検索をして楽しんでいるらしいので、私は自分のやりたい事をやって、話題を提供する人になれば、彼女は自宅に居ながらにしてヴァーチャル観光が出来るのだろう。

確か、海外旅行に行く時間がない人のために、自分のぬいぐるみに旅行に行かせる(で、ツアーガイドはぬいぐるみを預かって、色んな場所で映える写真撮影して来る)サービスがあった筈だが、それと似たようなものなのかもしれない。

私は単身でフラーと帰省して、いい御身分である事に違いはないのだけれど、確実に母のエンタメにはなっているハズで、つまりはそういう形の親孝行も存在すると勝手ながら思っている。

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