リビングラボ - 新たな社会・産業のエコシステム共創する仕組み
noteをお読みいただきありがとうございます。本記事では、インタープレナーの皆様と新産業を共創していく上で、重要になるキーワードをSUNDREDのインターン生が分かりやすく解説していきます!!今回のキーワードは「リビングラボ」です。ご一読くださいませ。
リビングラボとは
リビングラボとは多様な関係者が集う場で、実現したい未来のイメージや、解決すべき社会課題を共有し、関連する知見や技術・ノウハウ、ソリューションを集約し、新たな結合(イノベーション)を構想・実証・実装することによって地域や社会の活性化を推進していくための仕組みです。(弊社 HPより)企業や行政の担当者だけでは気づきにくい、ユーザーの本当の「ニーズ」や「やりたいこと」を理解するために、ユーザーの実生活環境で対話を行い、アイデアを創出・実装していきます。ユーザーの長期的な関与、共創者としての位置づけ、実生活環境での検証、多様なステークホルダーの参加がリビングラボの重要な特徴となります。
意識せずともリビングラボに
コミュニティを形成している人がリビングラボとして表現していなくても、実際行われていることはリビングラボという場合があります。しかし、その実践者らはその価値を認識していないことが多く、参加者に聞いてみたり数えてみたりしたら、多くのプロジェクトや小さな変化が生まれていたということもあります。
私の友人に留学生向けのコミュニティを運営している方がいます。彼は、京都のヴィーガン食の歴史を辿り試食を行うイベントを開いたのですが、市から後援を受け、留学生に限らず、社会人、経営者、学生など多様なバックグラウンドの人が参加していました。イベントを実施する際は、始めはお互いの身分を明かさない形で自分の行っていることを話す機会を設けていました。それにより、お互い先入観を持たずに話すことができるため、話がとても弾み、クレジット関係なく一緒に何かやろうといったコミュニケーションも多く発生したようです。こういった場も、リビングラボとは表現されていませんが、リビングラボであるといえるでしょう。
リビングラボを身近に!!
リビングラボは、ユーザーにとっても事業立案者・開発者にとっても新たな視点をもたらします。これまでの製品開発は、企業が開発したものをユーザーに使ってもらう、企業が組成したプロジェクトに参加してもらうという一方通行のアプローチが取られていましたが、リビングラボではユーザーと開発者が対等なパートナーとなり、お互いに影響を与え合いながらアイデアを育てていきます。
オンラインコミュニティでの共創
オンラインコミュニティでユーザーと対話しながら共創するのも一つの方法です。地域や時間の境を超えたコミュニケーションを取れるのがオンラインの利点です。SUNDREDでもフューチャーボード(FTB)を行っており、オンライン会議ツールとMiroを活用し、特定のテーマに対してこういった社会がいいのではないかといった議論を重ねています。FTBのようなオンラインでの場でも開発者がアイデアを投げかけ、ユーザーからフィードバックを得ることが可能です。オンラインでのリビングラボの実施すれば、対面よりも地理的・時間的な制約を受けずに広範なニーズを把握することができるため効率的なプロジェクト組成を行うことができます。若手世代はオンラインコミュニティに親しんでいますので、こうした手法に馴染みやすいのかもしれません。
新産業共創に向けたリビングラボ
リビングラボは、単にサービスを開発・試行するだけでなく、新たな社会・産業のエコシステムを創り出すための強力な場になり得ます。企業やユーザー、行政など、様々なステークホルダーをリビングラボに巻き込むことで、社会課題の本質を掘り下げ、ビジョンに基づいたチームやプロジェクトの組成をすることができるからです。
多様な主体による価値観の融合
リビングラボでは、様々なバックグラウンドを持つ主体が一堂に集まります。例えば、地域創生をテーマとしたリビングラボでは、自治体、企業、NPO、住民などが参加することが予想されます。自治体は行政サービスの改善、企業は新規ビジネスの機会創出、NPOは市民活動の活性化、住民は生活の質の向上など、それぞれ目的は異なります。しかし、リビングラボを通して対話を重ねることで、お互いの価値観に触れ、新たな発想が生まれる可能性があります。ビジョンに基づいた新たな社会システム、産業のエコシステムの解像度も増していきます。自治体と企業が連携した新しい交通サービスのアイデアが出てくるかもしれません。あるいはNPOと住民が協力して空き家対策に取り組むプロジェクトが立ち上がるかもしれません。このように多様な主体が集まることで、一つの組織の中では生まれにくい斬新なアイデアが産まれ、プロダクトアウトでニーズのないプロジェクトを行ってしまうことが無くなります。
社会実験を通じたエコシステム構築
さらに、リビングラボではアイデアを実際の生活環境で社会実験し、検証を重ねながら具体化していきます。その過程で、新しいサービスを支えるエコシステム(つながりの仕組み)が自然と生まれてくるでしょう。例えば、ある自治体で自動運転の移動サービスを立ち上げる場合、道路インフラ、通信インフラ、決済システム、人材育成、制度整備など、様々な要素が関わってきます。リビングラボを通じて、行政、企業、市民が一体となってこれらの要素を整備・連携させることで、持続可能な新産業のエコシステムを構築できます。
まとめ
リビングラボは、新しい製品やサービスを生み出すだけでなく、産業・社会をシステムチェンジする可能性を秘めています。ユーザーと開発者が対等な立場で対話し、社会実験を通じて課題を発見し、解決策を共に創っていきます。そのプロセスから、新しい価値観やアイデア、そして社会の仕組み自体が生まれてくるのです。インタプレナーは、リビングラボに主体的に関わり、新しい社会づくりを体験し、実践できる人なのかもしれません。地域課題の解決に取り組むリビングラボの現場を体感し、自らもその担い手となっていければ、まさに「インタープレナー」としての活躍につながるはずです。
SUNDREDでは新産業共創のための多様なアクターを巻き込んだリビングラボ構築を行っております。リビングラボに興味があり、詳しく話を聞いてみたいという方は個人・企業問わず、是非お問い合わせください。