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#3) 「死ぬまでにやりたい〇〇のこと」は人生を豊かにするのか?

なんだかありがちなタイトルですよね。

「死ぬまでにやりたい〇〇のこと」

映画とか小説とか漫画とか。
余命宣告されて初めて今までやりたいと思って我慢していたことに気づいてリストを作るやつ。
あるいは自己達成を謳ったビジネス書とかね。
やりたいことを100個挙げて、そのうち上位10個について期限を決めて実行しなさいとか。
よくある。

この前、ふと思ったことがあって。
余命数ヶ月とかで死ぬまでにやりたい10個のことがあったとして、やってる途中で11個目のやりたいことが見つかったらどうするだろう? ってこと。
新しくやりたいことをやってたら、死ぬまでにやりたい10個のことはやりきれずに死んでしまうかもしれない。
それでもその新しくやりたくなったことをやるか?
あるいは我慢して最初に決めた10個のことをやり切るのか?

あなただったらどっちを選びますか?

究極の選択?
いやいや、そんなことはなくて超簡単な選択だと僕は思うんです。
僕だったら普通に今やりたいと思ったことをやります。
だってやりたいと思ったんでしょ? 今。

けっきょく、選択の結果がどうなるかなんて誰にもわからないんです。
やりたいと思ったことを我慢して最初に決めた10個をやりきったとして、やっぱりやっておけば良かったと思うかもしれないし、逆に我慢して最後までやりきって良かったと思うかもしれないし。
終わってみないとわからない。

ただ、想像するに、やりたいと思ったことを我慢して諦めた瞬間にやっぱりやっておくべきだったんじゃないかという気持ちをどこかに持ち続けてしまうと思うんですね。
完全に忘れることはできなくて、最後までどこかで引きずったままになる。
諦める理由が10個のリストをやり切るためという理由だったら、諦めずにやったほうがいいでしょうね。
10個のリストを死ぬまでにやり切ることの方を選んだ瞬間に、死ぬまでの時間を悔いなく生きることが目的ではなくなって、10個のリストを消化すること自体が目的になってしまうから。
人生が終わる瞬間に「悔いなく生きた」ではなく「チェックリストを全部消せた」と思うのなんて、僕はごめんです。

ToDoリストの功罪ってそこにあるのだろうと僕は思います。
リストのタスクを期限までにすべて終わらせて消し切ることに目が向きすぎる。
個々のやるべきことややりたいことそのものはおざなりになってしまい、残り何個でリストをすべてやり切るのか、すべてやり切るには今のタスクをいつまでに終わらせなければならないのかというそっちにばかり気を取られてしまうんですね。

余命いくばくもないと知ってやりたいことを考えたとき、それは確かにやりたかったことだったのかもしれない。
でも、ToDoリスト化して期限までにやり終えると意識した瞬間に、それらは終わらせる対象になって、そのやりたかったことをやっているその瞬間を楽しむことを忘れて、「楽しかった、やって良かった」ではなく「よし、一個終わった」ってなるんです、きっと。
なんのためにやってたんでしょう? いったい。

余命数ヶ月は余命80年まで伸ばしても同じことで、余命宣告されなくても……いや、人間誰しも生まれた瞬間に余命宣告はされてるんですが……まぁ、いずれにせよいつ死ぬか分かってなかったとしても同じ罠に陥る危険性があります。
人生を「逆算」で考えている限りは。

じゃあ、どうしたらいいんだよ?! って?
僕のおすすめは100個のやりたいことリストを作ったら、その場で忘れることです。
見えるところにおいたらダメ。
やりたいことを常に意識して見えるところにおいておきましょうっていう自己啓発書とかあると思うけど、僕はおすすめしません。
今、これをやりたいっていうのを一つ選んだら、その100個のリストはどこかにしまって、決めた1個のことだけをやることです。
並行してやれるんだったら2個とか3個選んでもいいけど、とにかく、今手をつけていること以外のリストは忘れる。

それからいつまでにやるというのも決めないことです。
終わらせることに意識が向いちゃうから。
期限を決めなくても、やってればいつか終わります。
それで、やってたことをやりきったな、終わっちゃったなと思ったら、改めて100個のリストを取り出してきて、そこから次のを選ぶなり、新しいことを追加してやり始めたらいいんです。

別に書き出した100個をぜんぶやり切らなくてもいいし、やっているうちに100個が120個になっても良くて、追加した分だけやりきれないことが増えていっても全然いい。
全部やり切ることが目的じゃなくて、自分の人生の時間をやりたいことをやって過ごすのが目的だから。

それが「豊かな時間」の使い方で、それを「順算」的に積み上げていくのが「豊かな人生」を送る方法なんじゃないかなぁと僕は思うのです。

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