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理想の姿勢

「理想の姿勢」と聞いて、皆さんは一体どのようなものを想像しますか?
背筋をピンとのばして胸を張る、いわゆる「気を付け」の姿勢でしょうか。身体を横からみたときに背中から腰までがS字カーブを描いている状態でしょうか。どこからみても美しく見える姿勢。たくましく見える姿勢。スポーツをしている人ならば、より効率よく、無駄のないベストなフォームが理想の姿勢でしょう。

人にはそれぞれの思い描く理想の姿勢があると思います。今回は体にとっての「理想の姿勢」、つまり体が本来持つ機能をしっかり発揮できる状態と姿勢が体に及ぼす影響をお伝えしていきます。

解剖学的理想の姿勢

理想の姿勢とは、本来あるべき自然な状態に体を維持すること。解剖学的によい姿勢(外から見た形)は、背骨が自然なS字カーブで骨盤が立った状態です。この理想的な姿勢の元になる「生理的S字カーブ」の形は、1歳前後で完成し、重い頭をバランスよく支え、よろけることなく二足歩行ができるようにしてくれています。しかしこの姿勢を維持するには体幹の筋力が必要不可欠。猫背やストレートネックが習慣化されている現代人にとって、慣れないうちは疲れる姿勢でもあります。

また、感覚的には姿勢を維持するときに筋肉の過度な緊張がなく、深部と表層の筋力のバランスがよい時も理想の姿勢の指標ともなります。

では、理想的な姿勢を常に保てていれば体に良いのでしょうか? 実はそうでもないのです。理想の姿勢をとること同様、もしくはそれ以上に大切な事、それは同じ姿勢で長時間い続けないことです。

人は動物と同じく、常に動いている生き物で、身体もまたそれに対応した形でできています。どんなに理想的な姿勢であっても、その形を長時間保つと、一部の筋肉だけが緊張する状態が生まれてしまいます。すると、そこの部分の筋肉は硬くなり血流が滞り、老廃物は溜まり、最終的には腰痛、肩こり、頭痛などの痛みを伴ったりします。

また、「よい姿勢」の落とし穴は「形や見た目へのこだわり」だと林好子さん(理学療法士 / アレクサンダー・テクニーク教師)は言います。形を取ることだけに必死になると、体は逆に緊張して固まってしまい、結果、体はブレーキがかかった状態となり身動きが取りにくくなるそうです。

スーパーマンのポーズを2分間やるだけで、やる気がアップ

理想姿勢のメリット

では理想の姿勢などあまり意味がなく、どんな姿勢でもいいじゃないか、と意見が飛んできそうですが……

もちろん理想姿勢を意識することのメリットは沢山あります。

  1. 一つ目は消化吸収機能の向上。姿勢と内臓機能の関係はとても深く、とくに食事中によい姿勢を保つと、消化吸収力をぐっと高めてくれます。猫背の姿勢で食事をすると、内臓が本来あるべき位置より下がりやすくなり、消化器官が食べ物を腸へ送るための「ぜんどう運動」がしにくくなり、スムーズに消化ができなくなります。すると栄養の吸収もまた滞り、折角の栄養をうまく活用できないという悪循環が起こります。栄養満点の食事も消化吸収されなければ意味がありません。よい姿勢は栄養をしっかり体に取り込む鍵でもあるのです。

  2. 姿勢が心に与える影響も大きいです。ハーバード大学の社会心理学者エイミー・カディの研究によると、両足の間隔を広めにとり、胸を張って両手を腰に当てて仁王立ちするポーズ、いわゆるスーパーマンのポーズを2分間行うと脳機能が高まりやる気がアップすると言われています。彼女の実験では自信を感じさせる姿勢とその逆に自信の無さそうな姿勢をとった人の体内の変化を測定しました。自信を感じさせる姿勢を2分間とった後で血液を調べたところ、自信を高めるホルモンの「テストステロン」が平均20%増え、ストレスホルモンの「コルチゾール」は25%減少。反対に、うつむきかげんで猫背の姿勢をとった人は、テストステロンが10%減り、コルチゾールが15%増えるという結果に。つまり、もともと自信があるかどうかにかかわらず、「自信を感じさせる姿勢」をとることでで、脳が活性化され自信がわくことが証明されたのです。

  3. 姿勢は心肺機能にも大きく影響しています。スマホ操作時に背中を丸めたり、肩が前に入り込んだ巻肩猫背の姿勢は、肺が膨らむスペースを十分に確保することができないため呼吸が浅くなります。十分な酸素を取り込めない状態が続くと、少しの運動で息が切れやすくなったり、体中の筋肉などに栄養が行きわたらず疲れが取れにくくなったりと、健康に様々な悪影響を及ぼしていきます。スマホから目を離す時間は、胸を楽に開きゆっくり大きく息を吸い込んで呼吸筋を動かしてあげてください。

姿勢を意識する練習

特別なトレーニングをしなくても、日常的に立つ、歩くなどの動きを少し意識し工夫するだけで理想の姿勢を支える筋肉が作れます。例えば長時間座りっぱなしになるのを避けるため、45分ごとにアラームを設定する。アラームが鳴ったら、大きく伸びをして、立ち上がり、5分間歩いてみてください。歩くことで血行が良くなり、脳を休めることにもなり、座り続けて仕事をするよりも、休憩後効率よくまた新たな気持ちで作業を進められるはずです。

そのほか、食事中の姿勢を意識をしたり、1日に3分だけ、朝起きて大きく伸びをして一番楽な姿勢で立ちゆっくり呼吸に意識を向けてみることなどもお勧めです。深く数回深呼吸するだけでも、姿勢が整い気持ちが良いものです。ほんの少しだけでいいのです。体が程よく気持ちが良く、気持ちも上がるご自身にとっての、一番機能する姿勢を探してみてください。

体は一生のうちにたったひとつしかないあなたの大事なパートナーです。
ぜひ、これを機に、日々の数分を自分の体と向き合う時間にも使ってみてください。

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