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解説 フィンランドで見かけた野鳥たち

 フィンランドでバードウォッチングの記事が好評でしたので、このうち、フィンランドでよく見かけた鳥を中心に詳しく紹介したいと思います。
 ちなみに説明はフィンランドの自然紹介サイト、LuontoPortti(ネイチャーゲード)を参考にしています。


ズアオアトリ(Peippo)

 全長14~16cm、体重16~30g。
 「フィンランドで最も一般的な鳥」とのこと。確かにそこかしこでめっちゃ見かけますし、「ハッピーな明るい詩」で歌ってるのがあちこちから聞こえます。ラップランドを除くフィンランドのあらゆる森林で繁殖し、その個体数は700万〜900万つがいと推定されているそうです。
 冬は西ヨーロッパに渡るそうで、秋の移動は9月~10月(~11月)、春の渡りは(3月~)4月(~5月)。フィンランドにも稀に留まるそうですので、一年通して見られるかも知れませんね。

アオガラ(Sinitiainen)

 読み方はシニティアイネン(!)日本では声に出さないほうが良いようです(笑)。
 全長10.5~12cm、体重10~13g。
 フィンランド南部からラップランド南部にかけての落葉樹林および混交林で繁殖するそう。街の公園や街路樹などでもよく見かけますね。
 アオガラはなんと、19 世紀にフィンランドに入ってきたとのことで (最初の巣は 1859 年にヘルシンキで発見)、ここ数十年でその数は増え、フィンランドの繁殖数は60万〜80万つがいと推定されているそうです。
 フィンランドにとっては夏鳥にあたり、9月から10月ごろフィンランドを離れ、3月から4月にかけてフィンランドに戻るそうで、ウグイスと並んで、春の到来を知らせる鳥とのこと。3月頃のフィンランドはまだ相当寒いですが、ぜひそのさえずりを聞いてみたいものです。

 次は、ツグミの仲間。

ノハラツグミ(Räkättirastas)

 この「Räkättirastas」、フィンランド語の翻訳で「ガラガラヘビ」とも出るんですよね。今度、知人に聞いてみようかな。
 全長22~27cm、体重82~138g。
 フィンランドのほぼ全土のさまざまな森林で繁殖するそうで、特に耕作地でよく見かけます。フィンランドの繁殖数は100万〜200万つがいと推定されているそうです。
 秋の渡りは9~11月、春の渡りは4~5月で、冬には西ヨーロッパと南ヨーロッパに移動しますが、ベリー類が豊作な年は、冬でもフィンランド内で見かけるそうです。
食べ物は、日本のツグミと同じミミズや昆虫、クモ、そしてカタツムリ(!)。また、秋から冬にかけては果実の実も食べるみたい。それでベリー類も食べるって訳ですね。
 鳴き声は、「衝撃的な音。甲高い鳴き声」とありますが、ホントそう。別のサイトでは「古いカメラ」とありました。
 意外なことに、絶滅の危機が懸念されているようです。

クロウタドリ(Mustarastas)

 これは、フィンランドと言うより、ヨーロッパ全体でよく見かけますね。
黒くて大きく、尾がかなり長いツグミで、全長23.5~29cm、体重80~135g。
 フィンランド南部および中央部の混交林および落葉樹林で繁殖しますが、その分布はラップランド南部まで広がっているとのこと。フィンランドの繁殖個体数は40万〜70万つがいと推定されています。
 越冬する個体もいるそうですが、大多数(65%)は9月から11月に西ヨーロッパへ渡り、3月から4月にフィンランドへ戻ります。
 さえずりは「大音量でメロディックで暗い」とのことですが、暗いかな?かなり良く響きます。夜明けと夕暮れ時に最も活発に鳴くとあり、そのとおりだと思います。

ウタツグミ(Laulurastas)

 全長20~22cm、体重53~79g。
 比較的小型のツグミで、背中はオリーブブラウンの無地、腹には矢じり模様の斑点があります。フィンランド全土の森で繁殖しますが、北に向かうにつれて個体数は減少。フィンランドの繁殖個体数は80万〜140万つがいと推定されています。
 こちらも冬には地中海のほうに渡ってしまい、9~10月に渡り、4~5月に戻ってくるそうです。
 さえずりは「メロディックで変化に富んでいる」とありますが、そのとおりでとてもいい鳴き声です。「1 ~ 4 音節の主題を 3 ~ 5 回繰り返し、新しい主題に変化させていきます」ってすごくない?

以上がツグミの仲間。お気づきかも知れませんが、いずれも語尾に「rastas」が付き、これが「ツグミ」という意味になります。なお、「Musta」はフィンランド語で「黒」、「Laulu」は「歌」の意味となります。

キタヤナギムシクイ(Pajulintu)

 全長11~12.5cm、体重7~12g。
 珍しいのかな、と思いきや「あらゆる種類の森林や低木地帯に生息。ズアオアトリと並んでフィンランドで最も一般的な鳥」だそうです。推定繁殖数は 500 ~ 700 万つがい。
 「小さくて優雅な体つき、細いくちばしを持ち、昆虫を食べる」とのこと。なお、ウグイスとの違いは、下腹部が淡い黄色であることと、胸にはっきりとした色の境界がないことだそう。
 冬にはアフリカに移動、8~9月ごろ渡り、4~6月にフィンランドへ戻るとのこと。なるほど、だから5月にはあまり見かけなかったのですね。
 さえずりは「柔らかく悲しい詩で、いくつかの速いビートで始まり、ピッチが下がるにつれて遅くなり、最後には消え去るように消えていく」って、詩的な表現ですね~。

マダラヒタキ(Kirjosieppo)

 全長12~13.5cm、体重10~17g。
 小さくて元気な感じの小鳥。オスは黒い背中、メスは茶色です。なんと、シジュウカラの巣を乗っ取ることがよくあるそう!ということは、シジュウカラが見つかれば、マダラヒタキも見つかるかも。
 フィンランド全土で繁殖し、繁殖個体数は25万〜70万つがいと推定されています。こちらも冬はアフリカに渡り、移動時期は8月~9月と結構早め。5月前後にフィンランドに戻ってくるそうです。
 鳴き声はよく分からなかったけど、「ピッ」という警戒音を繰り返し、明瞭でリズミカルに歌うそうです。ただ、日本のルリビタキみたいに暗い薮で多く見かけたので、見つけるのは意外と難しいかも。

ハシグロヒタキ(Kivitasku)

 全長14~16cm、体重19~29g。
 白と黒の尾を持つ活発な小鳥で、白い尾の先端には幅広の黒いT字模様となっています。
 フィンランド全国の野原で繁殖し、繁殖個体数は5万〜10万つがいと推定されています。こちらも減少しているそうです。
 冬はアフリカに移動し、秋の渡りは8~9月、春の渡りは4~5月。

アオカワラヒワ(Viherpeippo)

 全長14~16cm、体重25~35g。
 これも比較的よく見かけました。公園など市街地によくいるそうなので、納得。街中の餌台などによく来るそうです。
 ラップランド北部まで繁殖しているみたいですが、トリコモナス原虫による病害で、2008年から2009年にかけて個体数が大幅に減少したそうです。フィンランドの繁殖個体数は10万〜25万つがいと推定されています。
 フィンランド南部で冬を過ごすもの、西ヨーロッパに移動するものがいるそうで、渡る個体は 9月から11月に渡り、3月から4月に戻ってきます。
 「早春にはカナリアのような声でさえずる」ってかわいいじゃんか。

ここからはもう少し大きな鳥について。

モリバト(Sepelkyyhky)

 体長38~43cm、翼幅68~77cm、体重400~600g。ドバトよりも大きく、尾が長い感じ。フィンランドでは一般的なハトで、約30万羽いるそうです。なお、フィンランドで狩猟鳥として分類される唯一のハトとのこと。
 以前は臆病と見なされていたようですが、人によく適応し、庭に巣を作ることもあるそう。
 9月~10月(~11月)に西ヨーロッパへ移動し、(3月~)4月に戻りますが、フィンランド南西部の都市では、越冬するものもいるようです。
 「クー」という鳴き声で、フクロウの鳴き声と間違われることがよくあるんだそうな。

モリフクロウ(Lehtopöllö)

 体長37~43cm、翼幅81~96cm、体重410~800g。メスのほうが大きいそうです。
 留鳥ですが、結構レアなようで、フィンランドの繁殖個体数は 1,500 ~ 2,500 つがいと推定。フィンランド南部および中部の森林で繁殖し、北カレリアから北部の都市オウルあたりまで分布しているそうです。私が見たのは北カレリアですから、納得ですね。
 
 いかがだったでしょうか。いつかフィンランドでバードウォッチングツアーを企画したいな。

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