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JOLENTA WYDAWCA 【短歌七首抄】
でも、ずっと疑問だったんです。
この世は、最低と言うには魅力的すぎる。
(ビッグコミックス)
ずっと手を振る人たちが遠のいて見えなくなってその繰り返し
硝子片ひろってあるく夕まぐれ何度踏み潰されたのだろう
火刑すらねじ伏せる眼だ掴み取るようにあなたも空を見上げて
遠さへと眼の焦点が合ってゆく釦をはめるようだと思う
硝子瓶叩き割る手を叩き割る手を見つめればかがやきのさなか
星月夜 くつがえることばかりだね背中に薄い手が触れている
乾いている指に指輪の真鍮のいのり そろそろ日がしずむころ
■
わたしは拷問をうけたことがなくて、その痛みを想像できない。彼女が町から逃げ出してから過ごした25年間は殆ど描かれなかった。小さな手が乾いていく。繰り返し思い出した拷問の苦しみは、いったいどれほどだったろう。
夜空だけを見ていたかった眼。
血や、他人の醜い顔を見る生涯を背負って立つ、それでも凛とした背中。
彼女が話さなかった夢の数々を思う。
『硝子回覧板』という本に載せた連作からの7首抄。
読んでくださってありがとうございます! 短歌読んでみてください