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宝石


 助平な古典を読んでしまう。詰襟学生服でいやらしい海外文学を買った。自分、文学が好きなだけですから。ポルノショップのデブと親しくなった。ロックがきっかけだ。品行方正であってもロックは聴く。ロックとポルノは誰しもが反社会的であることを教えてくれる。「欧州のポルノはすごい」デブは深いため息をつく「セックスは戦争なんだ」。2人で死海へ旅立ち、プカプカ浮いた。牛を追いかけまわしこれを犯し、煙草を吹かしながら乳を搾りとってジョッキで飲んだ。本物は重機を使う。重機を使ってセックスをするんだ。怯えながら欧州を眺める。遠くから眺めることしかできない。あいつらは皆大蛇を飼っているんだよ。大蛇を使って子供を躾けている。だから強い。彼等の教養と美意識の根底には大蛇がいるんだ。極東の猿はラノベを読むしかない。デブは絶望感に打ちひしがれていた。ポルノ愛好家は皆紳士的だ。非常に丁寧な言葉を使う。慇懃無礼でさえある。中国人を愛している!デブは叫んだ。日本海側の崖の突端に立って叫んでいる。韓国人も愛している!全てくれてやれ。愛のバカやろう。領土も資源も愛もリボンで縛ってくれてやれ。デブは立派な子供だった。俺とは違う。よくできた子供というのは大抵店舗を増やす。支店を出さなくて何が親孝行と言えるだろうか?店舗の神になりたい。全ての内装を支配するのだ。全て俺の指示だ。俺のイズムが内装の隅々に行き渡っている。俺の店にはポップアートが飾ってある。それは表の顔だ。地下のクリムトは限られた人間にしか見せない。細長い煙草を吸いながらソファに座って酒を飲む。極東にもこんな場所があるのだ。全て内装業者に一任した。内装業者は芸術家だ。内装業者を信じている。井の中の蛙、パンティーの染みを知らず。デブは死海でそう言った。どんなに地中海が美しくともパンティーの染みにはかなわない、俺にはそれが救いだよ…。誰もいない死海で2つの影だけが揺れている。卑屈な形をした2つの影だ。いつかそれを見つけたユダヤ人が笑うだろう。

(作成:2012/03/23)

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