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トーンポリシングについて。

昨日、ジャニーズ事務所による二回目の会見が行われた。

NHKも民放もこぞって会見の様子を生中継流していた。
流していなかったのはテレ東だけである。
さすがのテレ東、俺たちの期待を裏切らない。

会見の途中、一部の記者がマイクなしで喚きだすシーンが度々あった。
それを見かねたイノッチが抑制を促した。
その直後、記者たちの間から拍手が起こった。
本来、ジャニーズを追及・糾弾する為に集まった記者たちから、である。
にもかかわらず拍手が送られたのは、イノッチの発言内容が「至極まっとう」と評価された証左であり、一部の記者のルール無視の傍若無人な振る舞いに対する不満の現れともとれる。

ルールを無視して一方的に発言していた中の一人に聞き覚えのある声がある。

ある程度政治に関心を持ち、官房長官の会見などを見たことのある人の間では有名な女性記者だ。
記者会見の場で、自らの意見や見解を数分にわたり冗長に披露したのち、質問するというスタイルが特徴だ。
自分の意見を一方的に述べるのが目的なのかと勘ぐりたくなるほどだ。少なくとも、記者として相手の意見を聞く、情報を引出そう、という謙虚な姿勢が一切感じられない。

一社につき一問、というルールの中で行われた会見。
限られた時間内で、それぞれに多少の不満はあろうが皆黙ってルールを守り、挙手を続けていた。

するといつまで経っても自分が指名されないことを不満に思ったのだろうか、マイクもなしに一方的にその女性記者は質問を始めた。それは複数回に及んだ。

見かねたイノッチが、抑制を促した。
その後、拍手が起こった。

この事実に対し、
イノッチがやったことはトーンポリシングだ、と評価する向きがSNSに散見され、私は驚愕した。

トーンポリシングとは何か。
議論の内容ではなく、口調を理由に議論を拒否すること、が定義とされる。

正直言って私はこの概念そのものに大いなる疑問がある。私に言わせれば議論に勝てない人間が都合悪くなったときに発動できるチートカードだ。
冷静を要求する、興奮状態を指摘すること、それははトーンポリシングだからよくないというのなら議論は何も進まない。議論の進行を妨げているのは興奮状態あるいは相手の意見を聞くつもりのない人間のほうではないのか。
よって、トーンポリシングなる用語は、公正で健全な議論を妨げる有害な概念、あるいは議論に勝てない人間用のチートカードだと私は思う。

百歩譲って、トーンポリシングという概念の存在とその定義を受け入れたとする。
その上で果たして、皆が守っているルールを破り、他社の仕事の妨害までして、秩序を乱す行為に及んだものに「落ち着きましょう」というのが果たしてトーンポリシングに当たるのだろうか。
むしろ、これをトーンポリシングだと断ずること自体が私に言わせれば凶悪なトーンポリシングである。
異論封殺、言論弾圧である。
ジャニーズ側は質問に真摯に答えようと努めていたように思われる。少なくともトーンポリシングの条件とされる「議論からの逃避」には当たらない。

不当なレッテル貼りには、倍にしてレッテルでお返しする。
トーンポリシング倍返しの「トーンポリシングポリシング」である。
言葉の意味や重さを深く考えず、不用意に軽々しく使えば必ず自分に帰ってくるのだ。

トーンポリシング、
それは相手を印象操作で貶め、議論から逃げ、被害者ポジに走るのにうってつけの言葉だ。

人の話を聞く、引き出す場において興奮状態にある人間とは落ち着いた話し合いはできない。
冷静な議論を促し交通整理をすることに対しトーンポリシング呼ばわりとはなんたる不明か。

思いの強さゆえに、感情的になり興奮してしまうことは人として仕方ないことなのかもしれない。
しかし本来それは、自らの戒め、自律心によって抑制すべきものなのだ。
それを他人から言われる、となったら省みるべきはまず己の至らぬ点だ。

それを指摘することが「トーンポリシング」と言われるならば、あらゆる議論、質問による収穫は望むべくもないだろう。

そもそも、記者会見は議論の場ではない。
質問をし、事実を問いただし、相手の意図を引き出すことで真実を伝え広げることが目的とされる場であると思う。
その場において、「トーンポリシング」という言葉に違和感を覚えない向きは「会見は討論する場である」という認識を持っていると言わざるを得ない。
つまり、トーンポリシングだ、と言われることによって反発する向きは、会見の場を、情報を引き出すというよりも己の価値観を相手にぶつける討論とみなしていると自白するようなものだと思う。

印象操作によって相手を屈服させようとする向きは、理論武装そのものよりもまず言葉の概念を支配する傾向があるように思う。
「これを言えば相手は黙るだろう」と用意しておくわけである。

つまり、そういう手合いに対しての対処法は、基本的な論理に加え、相手側が都合よく操る言葉を相手以上に知することなのだと思う。


この件に関しては、「イノッチ」「ジャニーズ」「トーンポリシング」などで検索したらザクザク出てくると思うのでご興味ある方だけ是非。
ツイ消しなどもあると思うのであえて引用などはしません。

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