初恋の思い出

小さい頃の思い出があいまいだ。普通の人は幼稚園の先生の名前などを覚えてるようだが、僕はまるで覚えていないのだ。なのでもっと前から好きになった子がいるとは思うのだけど、覚えている範囲で、かつ語れる内容がある「初恋」というのは小学五年生のときに好きだったNさんの話をしよう。

小学校のときは毎年クラス替えがある学校だった。単純接触効果、よく行くカフェの店員さんを好きになるではないけれど、クラスが変わるたびに一学年前に好きだった人のことは忘れ、また同じクラスの中から好きな人ができるということを小学3年生あたりから繰り返していたような気がする。その流れそのままに同じクラスになったNさんを好きになり、泊まりがけの林間学校でラッキーパンチラを見るくらいしかイベントがなく、1年間が終わろうとしたときに勝手に盛り上がった僕は恐ろしく恥ずかしい思春期ならではの行動にでてしまう。そう「ラブレターを書く」である。

もはや便箋と封筒を使って愛をつづるなんて漫画やファタジーと感じる人も多いかと思うが、当時はスマホはおろかインターネットもほとんど普及してなかったのだ。厳密にいうとパソコン通信というものがありniftyサーブの掲示板に書き込んでみたら小学生だったのでヒかれたこともあるが、それはまた別の話。もうクラス替えにより、会う機会が少なくなるだろう、答えがYESだろうとNOだろうとその後先を考えずに想いを伝えたいんだ!なんて春先に現れる変質者ばりに自分本位な行動ではあるが、青春というのはそんなエネルギーの現れのことを言うんだろう。かくして5年生の終わりに手紙を出し、返事はこないまま6年生になり、また同じクラスになったというオチでした。

そのあと6年生の終わりになんとなく告白されたり、なにもせずに中学は別の学校に行ったり、災害があって引っ越ししたあとに、また地元に戻って電話帳で調べた先には本人がいなかったり、引っ越し先にNさんから手紙がきてしばらく文通したりしてフェードアウトした。そんな初恋。僕の大事な淡い記憶が薄れゆく初恋。どうか今でも元気でいますように。

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