鈴鹿セブンマウンテン縦走 ワンデイ(2024/04/06-07)
所用で近くに行ったので、日程調整し前々から興味があった鈴鹿セブンマウンテン縦走を行ってきました。時間の都合上、開始が18:00〜で半分以上は夜間帯となってしまいましたが仕方ない。
基本情報
実施日: 2024年4月6日18時出発~4月7日11時頃到着
走行エリア:西藤原駅発・藤原岳-竜ヶ岳-釈迦ヶ岳-雨乞岳-御在所岳-鎌ヶ岳-入道ヶ岳-椿大神社着
距離:YAMAP実測 / 46.3km
標高差:YAMAP実測 / +4644m -4573m
鈴鹿セブンマウンテンについて
三重県いなべ市-鈴鹿市にまたがる鈴鹿山脈。かつて開催されていた鈴鹿山脈の代表的山の以下七山を縦走する同名大会が「セブンマウンテン」の由来で、今もその名が残っているとのこと。
御在所岳 / 藤原岳 / 鎌ヶ岳 / 竜ヶ岳 / 入道ヶ岳 / 釈迦ヶ岳 / 雨乞岳
北は石灰岩、南は花崗岩と異なる地質を楽しめます。隣接する伊吹山地同様、夏は暑く冬は寒い過酷な環境であり「ガレ・ザレ・根・急登・崩落」の尾根がピーク間で頻出し苦しめられます。
そのため、一応トレイルランニングに区分はしてますがほとんど走れなかったのが実情です。
詳細情報
気候条件
当日の天候:晴れ(1日中)
最低・最高高度: 130m - 1212m
最低・最高気温: 6~20℃?
→行動中は平均10℃前後?
フィードバックデータ
かかった時間:17時間15分(コースタイム170-190%)
消費カロリー:推定6707kcal
推定発汗量:4L程度
休憩時間:累計48分程度
平均移動ペース: 20:12/km
平均心拍:134bpm
摂取カロリー: 概算3000kcal(体重55kg、縦走前昼食合算1000kcal)
動画
※前半はほぼ夜間帯で映像は単調。雨乞岳からちゃんと写ってます。
縦走
見出しは7山の区間で分割します。
①藤原岳
西藤原駅~藤原岳
三岐鉄道三岐線の終着点である西藤原駅からスタート。
風情のあるローカル鉄道で、車窓からは今回舞台の鈴鹿山脈、反対側に養老山地が見渡せます。比較的なだらかな養老山地と対照的な急峻さが電車からもうかがい知ることができるわけです。
待合室で少し準備をし軽食をとったのち18時前より縦走開始。長い山行の始まりです。
5合目付近から夜間帯になっていたのでライトを点灯、10時間つけっぱなしに。夜の山をひとり進みます。
ある程度登り切ると山小屋に到着。トイレも別棟にあり、整備された良い小屋でした。更に長い全山縦走を行う場合は寝床にすると良さそうです。
小屋から山頂は10分もかからない程度。セブンマウンテン最初のピークは夜景がセット
②竜ヶ岳
~治田峠
藤原岳からの降りは道迷いしやすく、かつ急斜面でルート外れがたびたび発生。登りじゃなくてよかった。落ち葉でずるずるでした。
~竜ヶ岳
竜ヶ岳まで細かなアップダウンの続く尾根を進みます。この構成が基本であることをこの時はつゆ知らず…
竜ヶ岳は山頂付近が長く開けており、明るい時間であれば美しい稜線を堪能できるようですが、夜間だと「ただ盛り上がった何か」の影にしかならず残念。
整備された階段を登るとき何かの気配を感じ、横を見ると少し遠くに無数の光。鹿の群れでした。20頭くらいの大集団。ここは一番数が多かった。
③釈迦ヶ岳
~石榑峠
竜ヶ岳を一気に降り切ると立派なバイオトイレが(100円の協力金で使用可能)
中もかなり綺麗で、ヒノキのいい匂いがします。
石榑峠から釈迦ヶ岳方面に向かう途中、分岐で道を降ると水場があるようです。ただ3時間程度経過で水は600ml程度しか減ってなかったのでスルーしました。
~仙香山
石榑峠から先は名前がよくわからない背の低い白い花が咲いた中を漕いで進むことになります。
この先からは細かなアップダウン・斜度がきつい。コース中で一番体力的にしんどかった区間です。基本的に尾根伝いを進むため、道の最高標高を維持し登る→降る→登る→降る…をひたすら繰り返し。初見のソロ夜道でこのループは堪えます。
~釈迦ヶ岳
この付近はあまり覚えてませんが、仙香山から30分ほどで到着。すぐ隣に猫岳があります。
~根の平峠
さらに30分ほど進むと羽鳥峰に到着。
羽鳥峰前後から基本的に沢近くを進みます。尾根の側や外れたところなど。
序盤の沢の下流は水量が少なく上流にのぼると枯渇していたので、とても飲料水としては使えずパス
確か中峠あたりかな、後方を鹿がパワフルに全力疾走で横切り驚いた記憶があります。
④雨乞岳
根の平峠~杉峠
根の平峠からは水量が豊富で補給確度が高いエリア。
そろそろかな、と水を汲もうとすると…ここでトラブル!浄水器が水を通してくれません。あとでわかったのですがBeFreeはしばらく使わないと「水詰まり」が起きることがあるらしく、解決策は「一晩以上水に漬ける」とのこと(本稿作成時点でこの方法による解決済み)
残り水分が少ないのに補給できない状態で焦りましたが、沢の水は目視で水生生物がウヨウヨいるしフラスクには何か漂ってるし…でさすがに直で飲むのは躊躇します。
念のため保険として200ml程度だけ確保し、冷えた夜間・早朝帯による水分消費減を勘定に入れた結果「極力とどまらず進めば間に合う」という結論をだして補給なしで進みます。
根の平峠からは西に迂回し雨乞岳方面へ。
本格的に沢沿い、それどころか渡渉も増えて北部とは全然雰囲気の違う森林帯となります。
一本道も同然で進みやすいと思っていたら、コクイ谷出会いに差し掛かったところで急にルートファインディングが難しくなります。
地図を見ると渡渉が必須なのにそのポイントがわからず、渡った先でもどう進めばいいかわからない(地図の進行方向は川の中になっている)
10分ほどいったりきたりをすることになり、水が少ない中でのロスは大変焦りました。
結局、正解は
1.渡渉できる特定箇所で反対岸に進む
2.進行方向ではなく斜め上に進む
3.登った先にあるロープを使ってさらに登ると道に合流
でした。こんなのわかるか!
この区間は夜間だとかなり道がわかりにくくなり、立体的な考え方が必要になるのでYAMAP地図もいまいち使えません。強引に進むこともできない地形なので推奨ルートより波線を進んだほうがわかりやすいくらい。
コースタイム100%程度まで落ちながらも慎重になんとか進みました。
本来であれば見どころであろう史跡も横目に進み、這々の体で杉峠に到着(暗いのでどうせあまり見えない、という理由もありますが)
確かに長い区間ではあるけど約2時間近く彷徨い精神的にどっと疲れました。
~雨乞岳・東雨乞岳
杉峠から雨乞岳まで急な登りなので疲れた状態だとしんどいですが、時間にすると15分程度なので大したことはありません。
時刻は朝の5時前。次第に白んだ空に明るさが灯ってきます。
そして雨乞岳に到着。4座目はとても遠かった…
山頂では補給も兼ねて少しだけ休憩。東を見ると朝日が稜線を照らしていました。停滞すると冷えるので少しで切り上げて光の方へ。
朝日はなんと精神的にも良いものか。一気に元気が戻ってきました。笹がヤブになっており朝露で少し濡れますがそれすら爽やかに覚えるほど。
5時半頃に歩いた箇所は影のない開けた道ということもあってヘッドライトは不要になり収納。長い夜が明けて、残す時間は(相対的に)あとわずかとなりました。
⑤御在所岳
〜御在所岳
東雨乞岳から降り基調で沢沿いを進みます。沢の水量も豊富なので補給できそうです。水の残量はもう300mlとなっていたけれど、推定時間的に自販機がある御在所岳まで持つと判断したのでそのまま進みました。
沢谷峠から脇によって少し急な坂を登ります。
巨大な奇石が見え御在所岳っぽいなぁと思った記憶。一昨年に御在所岳は鈴鹿山地のなかで唯一単独で登っていたので(ルートは違いますが)どういう山域かはわかっていました。
〜山上公園
山頂から少々歩き、ついに求めていた自販機に到達。しかもトイレまである。文明のすばらしさを肌で感じたい方はオーバーナイトの縦走をおすすめします。
ザックの中で揉まれすっかりボロボロのパンとコーヒーは最高の朝飯で、少し休んで歩く時はすっかり元気をとりもどしました。
すでに太陽が眩しいほど晴天の朝となり、体感気温もあがって少し汗ばんできます。
⑥鎌ヶ岳
〜鎌ヶ岳
御在所岳からの降りは岩岩しており道がおもしろい。明るくなったからか夜は全く合わなかった登山者が増えてきました。
鎌ヶ岳への縦走路は非常にわかりやすくつながっています。山頂付近の見た目がごついので大変な登りになると予想していたけど、綺麗に整備された道で楽に登れました。
急登でガレているところも迂回路があるから楽ちんです。
2つの山の中間、武平峠からわずか20分弱で山頂に到着。縦走ルート中で最も間隔の短いセブンマウンテンピークでした。終盤にサクッと進めるのはありがたく、気持ちも楽になります。
⑦入道ヶ岳
鎌尾根~水沢岳
最後の目的ピーク、入道ヶ岳まであと少し…と思ってたのですが鎌ヶ岳から見ると二山くらい越えるためけっこう遠い。
山頂からはすぐ降りて鎌尾根を進みます。実は鎌尾根の方が鎌ヶ岳への登頂ルートよりしんどいです。何度も登場した斜度のきつい尾根がひたすら続きます。
さらに、大きくザレたエリアがあるなど意外とテクニカルかつスリリング。ただ後方や横を見ると鎌ヶ岳を初め遠方にも鈴鹿山脈が見渡せ景観は抜群。
降り基調かと思いきや登っては降りるを繰り返し、45分ほどかけて水沢岳に到着。いよいよ入道ヶ岳へ向かいます。と言っても更に一時間くらいかかりましたが…。
~入道ヶ岳
この道中は記憶がほとんどなく、やはり尾根のアップダウンがきつかった…くらいの印象しか残っていません。また尾根かよ〜と嘆いてました。
淡々と進み続けると開けたところに出て、ピーク手前と確信。暑さが増し水が少し心許なくなっていたのでいそいそと進みます。
四日市方面が一望できる素晴らしいピーク。看板はなかったのですが、とうとう鈴鹿セブンマウンテン縦走はコンプリート!
人でいっぱいの山頂でのんびりしようかなとも思ったけど、水も少ないしお腹もすいてちゃんとした昼飯食べたくなってきたので下山します。
〜椿大神社
残りは椿大神社にむけてひたすら降りです。二本松コースを進んでいきます。ハイキングコースって感じで気持ちよく森を歩いていけました。
やっと到着!!およそ17時間かかりました。
初見の山が9割で半分以上が夜だったので体感時間がかなり長かった。
距離にするとYAMAPで45km程度なんですが、標高差が距離x0.01のほぼイコール比率なのでとにかく時間がかかります。細かいアップダウンがしんどい。荷物は7-8kgくらいだったから、軽ければもう少し早く、楽だったろうけど。
踏破自体は確実にできると見込んだ通りでしたが、まさかコースの5割近くが細かいアップダウンの続く尾根とは…。
正直言うと最高標高自体低いし余裕でしょと思ってたけど鈴鹿山地を舐めてましたね。
神社で計測終了後は、いの一番に昼飯として併設の建物で名物の鶏めしセットを注文。めっちゃうまい。全部最高にうまい。九州の鶏めしとは味付けが微妙に違い、お吸い物も何ダシなのかわからないけど最高。
ちなみに椿大神社は由緒正しすぎる2000年の歴史をもつ神社だということに帰ってから気づきました。そりゃ建物立派なのあるわけだ。全然調べてなかった…
四日市駅までのバス発車が1時間先。
神社の敷地内で桜吹雪を眺めながら、最後に残しておいたパンを食べながらのんびりとお花見して待ちました。
バス・電車に乗りつぎホテルに着き、この鈴鹿セブンマウンテン・ワンデイ縦走が終了。もちろんベッドで即落ち気絶もワンセット。
しんどかったけど終わってみれば楽しかったしいい経験になりました。いつか鈴鹿10座、鈴鹿全山縦走にもトライしたいな。特に後者は単純な距離・標高以上に厳しく難易度は単純な倍加以上にきつそうです。
取得した記録等
■コース一覧
■印象に残ったところ
というかハイライトですね。
・竜ヶ岳山頂
前述の通り鹿の数が凄かった
・釈迦ヶ岳前後
とにかく尾根がしんどい。3歩登って2歩降りるを延々と繰り返す。夜間だと景色の変わらなさがなかなか…。
・根の平峠~杉峠
一番精神的にきつかったのはここ。初見で夜間にくるところじゃないです。
・雨乞岳
朝日で稜線が徐々に現れる様は本当に美しかった。オーバーナイトの縦走はこの瞬間がたまらないのです。
・御在所岳~鎌ヶ岳
一番ハッピーな区間。自販機最高だし、コース的にも最も楽しい区間でした。
ちなみにLAKE BIWA100はこの区間を通ります。実際縦走するとわかりますが、序盤からこれで鈴鹿山脈の区間も長いのでかなりタフな山岳レースということが理解できました。普通のトレランレースとは別物と言えるでしょう。いつか挑戦したいですね。
■難度参考:YAMAPコース定数比較
・コース定数 112
体感的にはもっと上かな。私の力では物理的に走れるところが少なく、急ぎで抜けられないためテクニカルな面でのしんどさもあります。基本的に狭くてザレた痩せ尾根なので安全確保して加速が難しく、飛ばしたら普通に滑落しそうで危ない。
根の平峠付近はコクイ谷出会いまでは道がわかればわりと走れそう。
あとは
・路面が基本的に硬いので膝にくる
・暑くなったら前半の水場が沢付近までは不確実(水量は少ない方と思われる)だったり、基本的に山から降りられず降りても市街から遠いため補給面で難しさがある。エスケープも余裕が必要
・ロード比率がかなり低い(5%あるかないか)
今回は気候条件的にはベストな時期だったので大丈夫でしたが、もう少し暑いと水問題が発生しそうです。浄水器は必須ですね。
■近しい難易度
福岡の人に向けて説明すると脊振全山縦走の脊振山くらいまでと距離・標高差のスペックは大差ないけど、コース自体を勘案すると鈴鹿セブンマウンテンのほうが難しいかな〜という印象(あちらもわりと厳しめではありますけど)
聞いた話では鈴鹿の夏はヒルが出るうえ日陰は少なく蒸し暑いし、冬は雪と風がひどいようなので最大1200m級と言えど、近しい距離のコースと比べ山力がいるので縦走の難易度は高いほうかなと。
私はまだ行ってないのですが大分県の祖母山・傾山の周回ルートが概ね似たスペックなので同じようなきつさだろうと予想してます(ちょっと楽くらいかな?)
こちらも近々出来たらやりたい縦走のひとつです。
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